
この記事の要点
- ブテリン氏がETH新草案公開、量子耐性を最優先に
- プライバシーも重点分野に、開発方針を3年ぶりに転換
まずはイーサリアム(ETH)を詳しく
ETH開発再編、量子・プライバシー重視へ
イーサリアム(ETH)共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は2026年8月10日、自身のX(旧Twitter)でロードマップ草案「ストローマップ」を公開し、量子耐性とプライバシー保護を最優先に据えた新たな開発方針を示しました。
2023年に公開したロードマップとの比較では、量子耐性の優先度が大幅に引き上げられたほか、これまで主要課題として扱われていなかったプライバシー保護も新たな重点分野に加わっています。
草案には2023年版になかった項目も複数加わり、3年前には想定されていなかった技術や構想が新たに取り入れられました。
既存技術についても優先順位や構成が見直されており、2023年版から引き継がれた複数の項目が変更されています。
I updated my 2023 roadmap diagram to overlay where the items that were there sit in the current Strawmap ( https://t.co/9deLIQWG24 ).
In general, a lot of overlap, but:
* Some things got reshuffled in order (eg. quantum safety up-prioritized)
* Some things deprioritized (eg.… pic.twitter.com/XLdIt4kAgT— vitalik.eth (@VitalikButerin) August 10, 2026
(前略)
最も注目すべきなのは、2023年のロードマップには存在しなかったまったく新しい項目が、今回のストローマップには数多く盛り込まれていることです。これはイーサリアムの優先課題そのものが変化してきたことを示しています。特に注目すべきなのは以下の点です。
・強力なプライバシーへの明確な注力
・ポスト量子時代を前提とした積極的なスケーリング
・仕様のLean(無駄のない設計)化
・BlobおよびGas Futures
・ネイティブ・ロールアップ
・「EVMの未来」に対して、よりオープンな設計空間を確保
・「新しい状態タイプ」の採用(後略)
「3度目の大変革」プロトコル骨格を再構築へ
開発方針を転換、量子耐性を最重要課題に
量子耐性を明言、プライバシーも重視
2023年版との比較についてブテリン氏は、当時のロードマップにはなかった「完全に新しい項目」が複数加わったことを、最も大きな変化として挙げています。
なかでも量子耐性は優先度が大きく引き上げられ、量子計算に強いleanSPHINCS署名とその集約に加えて、量子時代の署名と証明を束ねるzkzkフレーム(EIP-8288)が新たに盛り込まれています。
こうした技術を踏まえて同氏は「イーサリアムは量子耐性を持つ」と明言し、同じく重点分野に加わったプライバシーについても「正面から扱う初めての取り組みだ」と強調しました。
既存技術の優先順位を大幅見直し
新しい技術を取り込む一方、2023年版から引き継いだ項目では優先順位が見直され、VDF(検証可能な遅延関数)や多くのEVM改善は従来より順位を下げています。
変更は優先順位に限らず、Verkle(バークル)ツリーは「統合バイナリツリーを経てPBTへ」と置き換えられ、状態データの扱い方そのものを見直す「新しい状態タイプ」が採用されました。
この「新しい状態タイプ」についてブテリン氏は、単なる期限切れの代替ではなく「イーサリアムの拡張のやり方そのものを変える根本的に異なる考え方だ」と述べています。
拡張設計の変更はEVM(イーサリアムの実行環境)の将来像にもつながっており、zkzkフレームを通じてEVM以外の命令セット(ISA)を利用者へ直接提供する案が検討され、その候補にはleanISAとRISC-Vが挙げられています。
STARKとAI検証を設計の柱に
こうした設計変更を技術面から支える基盤として、ブテリン氏はSTARKとAI支援による形式検証(FV)を、イーサリアムの将来に向けた重要な技術に位置づけています。
そのうち再帰的STARKはプロトコルの複数層に組み込まれ、依存関係をまとめて検証する機能が実行層(EL)・合意層(CL)・データ層(DL)の3カ所で使用される構成となっています。
一方、形式検証を実現するうえでAIの役割も重視されており、同氏は「すべての完全な形式検証は、現代のAIがあって初めて可能になる」と述べました。
こうした技術の成熟によってロードマップに盛り込める領域も広がり、ネイティブロールアップに加え、2023年には発想すら無かったBlobおよびガスの先物(ブロック手数料の先物取引)も新たに加わっています
ETH機関投資家向け組織が発足
量子時代に備え「無駄のない設計」へ
今回の草案では個別技術の追加や優先順位の変更だけでなく、量子耐性やプライバシー、検閲耐性を長期的な設計に組み込む方向性がこれまで以上に明確になっています。
その背景には将来的な技術環境の変化への備えがあり、各国で量子コンピュータの開発競争が加速するなか、量子攻撃への耐性確保は主要ブロックチェーンに共通する課題となっています。
こうした将来を見据えてブテリン氏は、量子耐性とプライバシーを備えながら検閲耐性と高い性能を維持し、イーサリアムを「Lean(無駄のない設計)にする」と投稿を締めくくりました。
記事執筆時点では各項目の実装時期や開発体制までは示されておらず、ストローマップは今後の開発方針を示す草案として公開されています。
関連の注目記事はこちら
Source:ヴィタリック・ブテリン氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像






コメント