今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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2015年3月と似ているユーロ/ドルの動き。 みんな同じことを言い出すと相場は終わり

■米ドル高の流れはできてきているが、ペースはゆっくり 米国の2015年12月の利上げムードが高まっており、米ドル高の流れができてきたことは、前回のコラムでお話ししました。
【参考記事】
●「鉄の男」黒田健在で日銀追加緩和せず!ユーロ安・米ドル高が明らかな理由とは?(11月5日、今井雅人)
 しかし、そのスピードは、かなりゆっくりで、大きなトレンドを形成するというところまでは至っていないのが現状です。
 米ドル/円も、一気に123円台にまで上昇したものの、結局、そこで日本の輸出企業による米ドル売り・円買いに上値を阻まれました。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 そうした動きを見て、短期的に米ドル買いをしていた投機筋も、あきらめて米ドル売りをしています。
 しかし、その一方で、長期投資をする機関投資家などが、徐々にではありますが、米ドルの押し目買いを続けています。すでに122円台半ばから121円台にかけて、米ドル買い注文が入ってきているようです。
■円安トレンド形成のペースがゆっくりだと思う理由 長期的な買いが入ってきているということは、円安トレンドを形成するには大事な要素ではありますが、そのペースは、やはりゆっくりとしたものになるのではないかと思っています。
 それは、日銀の金融緩和期待が遠のいているからです。
 11月11日(水)、日銀の原田審議委員が、「当面は金融緩和をする必要はない」という発言をしていますが、これが今の日銀の本音だと思います。
 その背景にあるのは、エネルギー価格以外の物価は、上昇傾向にあるということです。
 確かに消費者物価指数で、生鮮品を除く総合指数、いわゆるコア指数は、直近の8月、9月と2カ月連続で前年同月比マイナス0.1%となっています。
 しかし、食料及びエネルギーを除く総合指数、いわゆるコアコア指数と呼ばれるものを見ると、7月から0.6%→0.8%→0.9%と、徐々に上昇してきています。
 これが、日銀の自信につながっているということです。
■米ドル/円の上昇ペースはゆっくり 何度も申し上げますが、私は2015年内の追加緩和は、ないと思っていますので、どうしても米ドル/円の上昇ペースは、ゆっくりとしたものとなってしまうのではないかと考えています。
 そうであるなら、押し目買いをするか、米ドルを買ってのんびりと待つか、どちらかではないでしょうか。
【参考記事】
●米FOMCで年内利上げ期待高まりドル高!黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?(10月29日、今井雅人)
●「鉄の男」黒田健在で日銀追加緩和せず!ユーロ安・米ドル高が明らかな理由とは?(11月5日、今井雅人)
米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
 一方で、ユーロ/米ドルは…
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「鉄の男」黒田健在で日銀追加緩和せず! ユーロ安・米ドル高が明らかな理由とは?

■前回のコラムの内容を検証してみよう! まず、前回のコラムの内容を確認しておきます。
<前回のコラムの内容>

・ 米国は12月利上げムードが高まってきているので、ユーロ/米ドルは、ユーロ安・米ドル高が進む。当面の目標は、1.08ドル台半ば
 ・ オセアニア通貨は、米国の利上げには弱いので軟調に推移する
 ・ 米ドル/円は、なかなか米ドル高に向かいにくい 
 ・ 黒田総裁は、まだ金融緩和はやりたくないのではないか。政府からの要請との板ばさみ状態である
【参考記事】
●米FOMCで年内利上げ期待高まりドル高!黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?(10月29日、今井雅人)
 さて、その後どうなったかを検証していきます。
■イエレンFRB議長が12月利上げに踏み込んだ発言! まず、11月4日(水)の議会証言で、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、以下のような発言をしています。
「米国経済は、現時点では順調だと判断している」
「FOMC(米連邦公開市場委員会)では、タイムリーな利上げ開始が賢明だと考えており、12月会合で利上げの現実的な可能性がある」
 つまり、2015年12月の利上げ可能性について、踏み込んだ発言をしているということです。
 この発言で、ユーロ/米ドルは、1.08ドル台にまでユーロ安・米ドル高が進んでいます。
ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■ドラギ総裁は、12月の追加緩和に踏み込んだ発言! ユーロに関しては、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、以下のような、これまた踏み込んだ発言をしています。
「金融緩和のあり方について、12月の政策委員会で再検討する必要がある」
「金融緩和の適切な度合いを維持するために、正当化される場合には責務の範囲内で、利用可能なあらゆる手段を用いて行動する意思と能力が政策委員会にはある」
 つまり、2015年12月に追加緩和をする可能性を明言しているということです。
 米国は利上げ、ユーロ圏は金融緩和となれば、ユーロ安・米ドル高になるのは明らかということです。
■「鉄の男」黒田健在! 2015年残りの会合でも追加緩和は… 米ドル/円に関しては、121円台にまで上昇はしていますが、レンジを上に抜けるところには、至っていません。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 さらに、10月30日(金)の日銀金融政策決定会合では、黒田総裁は、やはり追加の金融緩和を見送りました。
 やはり、「鉄の男」黒田健在といったところでしょうか。
 この先、日銀の金融政策決定会合は、11月18日(水)~19日(木)、12月17日(木)~18日(金)と、2015年は、まだ2回残しています。
 しかし、今回、同時に発表した半年に一度の「日銀展望レポート」の見通しを下方修正したにもかかわらず、金融緩和を見送ったわけですから、11月、12月に金融緩和をするきっかけは、なかなか見つからないのではないかと思っています。
 そういう意味においては、米ドル/円も、米ドル高基調がはっきりしてくるのには、やや材料不足なのだと思っています。
 その他、オセアニア通貨ですが…
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米FOMCで年内利上げ期待高まりドル高! 黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?

■米FOMCの声明文に大きな変化あり 米国では10月27日(火)-28日(水)とFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
 今回も金融政策に変更はありませんでしたが、声明文の中身が大きく変わっていました。
 これまでのFOMCでは、中国などの世界的な経済リスクについて「最近の世界的な経済・金融情勢は経済活動をやや抑制させ、目先のインフレにさらなる下方圧力を与えている可能性がある」と言及されていましたが、今回その部分が削除されました。
 これが1点。
■12月に米利上げが!? マーケットは米ドル高に! そして、利上げ開始の時期を議論する場として、12月15日(火)、16日(水)両日の「次回会合」を挙げています。
 これまで、年内の利上げがあるのかどうかが市場の大きな関心事でしたが、今回の声明文は、まさに年内利上げの可能性について言及したものです。
 この声明文を受けて、一気に利上げムードが高まったのは言うまでもないでしょう。
 為替市場でも、米ドル高が一気に進行しています。
 たとえば、ユーロ/米ドルですが、1.10ドルの壁がなかなか抜けなかったのが、昨日28日(水)に下抜けし、1.09ドル台に突入しています。
 一時、1.0896ドルまで売り込まれる場面も見られました。
ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■ユーロ/米ドルは1.08ドル台前半までは視野に つい先日、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、2015年12月に追加緩和を実施する意向を示しました。
 ユーロ圏は追加緩和、一方の米国は利上げということになれば、当然ユーロ安・米ドル高に向かっていくのは自明の理。
 チャートを見てみると、ここ半年間で、何度も下値をトライして跳ねつけられている1.08ドル台前半までは、とりあえず視野に入っているかと思います。
ユーロ/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
■対米ドルで見ると、豪ドルやNZドルはもう少し下落するか 米国が利上げするとなると、その分、マイナスの影響を受けるのは豪ドル、NZドルなどのオセアニア通貨。
 対円ではそうでもありませんが、対米ドルで見ると、また下抜けをしています。これも、もう少し下落する可能性を考えておいた方が良いのではないかと思います。
豪ドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
NZドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
 ただ、米ドル/円だけは…
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FOMC声明文に注目! 利上げは2016年へ!? 豪ドルやNZドルの上昇を望めない理由は?

■レンジ相場続く…。市場の主体は「短期投機筋」 この原稿を書いている10月22日(木)のアジア市場でも、米ドル/円のレンジが朝方から119.74~96円(※)と、なんと22銭の極めて狭い動きとなっていることからもわかるように、特段、材料のないまま方向感なく、さまよう相場展開が続いています。
(※編集部注:その後マーケットは、当コラム編集中に、やや円高方向へ動き、米ドル/円の下値は119.60円近くまで広がった)
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 当コラムでもここ何回か、こういう動きになると予想してきましたが、依然として、レンジ相場が続いているというのが現状です。
【参考記事】
●ドル/円ブレイク材料は10月最終週に集中!それまでは「弱含みのレンジ相場」か(10月15日、今井雅人)
●追加緩和に応じない黒田総裁の本音とは?ポイントは昨年秋から急落した原油価格!(10月8日、今井雅人)
 市場でのプレーヤーを見ても、短期取引をする人、いわゆる「短期投機筋」といった層が主体となっています。
■米ドル/円は、レンジ下抜け期待もむなしく買い戻し… 先週、10月15日(木)の欧州市場で、一度、米ドル/円が118.065円まで下落した時も、8月24日(月)の「チャイナブラックマンデー」以降のレンジであった118.25円(8月25日安値)から121.76円(8月28日高値)を下抜けしたとの期待感から、短期の投機筋が米ドル売りを仕掛けたのですが、あとが続かなかったので、結局、買い戻しを余儀なくされています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 その影響もあって、米ドル/円は、昨日10月21日(水)のNY市場では、一時120.095円まで値を上げる展開も見られました。
 現在の為替市場は、その程度の動きが続いているということです。
 そして、今週も同じ結論ではありますが、こうした動きは、このまま続いてしまうと思っています。
■一時強くなった豪ドルやNZドルだが… さて、別の通貨に目を向けてみると、豪ドルやNZドルなどが、一時少し強くなりました。
 豪ドル/円は、10月12日(月)に、一時88.62円まで買い戻されたあとは、87円を挟んだ動きとなっています。
豪ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
 NZドル/円も、10月16日(金)に、81.93円の戻り高値をつけましたが、その後は81円を挟んだもみ合いです。
NZドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
 10月7日(水)の某FX会社主催のセミナーでは、豪ドルやNZドルは、チャート上では底打ちした感があると話しました。
 その後、両方とも上昇してきたのですが、今は、やや息切れを起こしています。
 資源国通貨と連動性の強い…
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ドル/円ブレイク材料は10月最終週に集中! それまでは「弱含みのレンジ相場」か

■市場は、全面的な「米ドル安」相場に変わってきた 今週(10月12日~)は、週明けの12日(月)が体育の日の祝日で東京市場が休場となったほか、NY市場もコロンブスデーとあって米債券市場が休場。市場は、かなり流動性の薄いマーケット環境を余儀なくされました。
 そんな中、先週(10月5日~)1週間を通して展開された「リスクオン」の動きも一服。14日(水)のNY市場では、全面的な「米ドル安」相場へと、市場の雰囲気が変わってきた様がうかがえます。
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
■弱い米経済指標結果が、追い打ちをかける格好に… 前回のコラムで、私は、「米国の年内利上げの可能性は、ほぼなくなったのではないかと考えている」とお伝えしましたが、14日(水)は、市場がその認識をさらに強める展開となりました。
【参考記事】
●追加緩和に応じない黒田総裁の本音とは?ポイントは昨年秋から急落した原油価格!(10月8日、今井雅人)
 このところ、毎回、市場参加者を落胆させることが多く、一部からは、「鬼門」とまで呼ばれている米小売売上高が発表されましたが、その数字は、前月比0.1%と、市場予想の0.2%を下回る弱いものとなりました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
 そして、さらに追い討ちをかけるように、同時に発表された9月米PPI(生産者物価指数)が、前月比マイナス0.5%と、市場予想のマイナス0.2%を大幅に下回る弱い結果となりました。
 コアの数字は、0.1%の予想だったにもかかわらず、なんとマイナス0.3%とかなりひどい数字。
■さらに、米利上げ時期の先延ばし観測が高まっている その後に公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、「賃金上昇は、ほとんどの地域で抑制された」との見解が示されたほか、「米ドル高が製造業や観光業を打撃、と多くの連銀が指摘している」ことが判明すると、米長期金利の大幅な低下とともに、米ドル/円は、一時118.61円まで売り込まれました。
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
 米10年債利回りは、一時1.9718%まで低下しています。
米10年債利回り 1時間足(出所:CQG)
 市場では、さらに米利上げ時期の先延ばし観測が高まる結果となっています。
 FFレート先物(※)価格から算出される予想織込み度ですが、昨日10月14日(水)に発表された一連の米経済指標を受けて、10月の利上げ確率が前日13日(火)の10.0%から6.0%、12月の利上げ確率が37.0%から28.5%にまで急低下していることからも、その様子を感じることができます。
(※編集部注:FFレートはフェデラルファンド金利のことで、米国の政策金利。「FFレート先物」はそれを対象とした先物)
 ただ、本日10月15日(木)の…
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追加緩和に応じない黒田総裁の本音とは? ポイントは昨年秋から急落した原油価格!

■日銀は当面、追加緩和はやらないだろう 前回のコラムで、日銀の金融緩和の可能性は低いという話をしました。
【参考記事】
●株価低迷の背景に産油国の苦しい事情!?日銀追加緩和が実施される可能性は?(10月1日、今井雅人)
 今回は、それについて、もう少し詳しくお話してみることにします。
 黒田日銀総裁は、直近の会見で、「物価の基調は確実に改善している」という認識を示しています。
 さらにその理由として、「企業の価格設定行動は、日次価格指数や週次価格指数などを見ると、昨年と様変わりしていて、価格の引き上げが続いている」、「賃金も昨年以上のベアが決定されており、予想物価上昇率は長い目で見れば、全体として上昇しているという判断は変える必要はない」と語っています。
黒田日銀総裁に、当面、追加緩和の意志はないか?10月30日の日銀会合はどうなる!? (C)Bloomberg
 これだけを聞いていると、当面、追加金融緩和はやらないというのが普通の見方ではないかと思います。
■原油価格の下落が物価上昇を抑制している? もう1つ、黒田総裁がよく言っている話として、2014年の秋以降、原油価格が急落して、その影響で物価上昇が抑えられているということがあります。
NY原油 週足(出所:米国FXCM)
 直近の消費者物価指数を見ると、2015年8月は、前年同月比でマイナス0.1%ということになっています。
 1年前の2014年8月の原油価格は、大体90ドル台でした。現在は40ドル台です。この差が、物価を押し下げているという理屈です。
 原油価格は、2014年の9月以降、急落していったワケですから、2015年9月の消費者物価指数から、その影響が徐々に薄らいでいくということになってきます。
 それを確認したい、というのが黒田総裁の本音ではないでしょうか。
■首相官邸からは追加緩和期待が高まっているだろうが… しかし、一方で、政府からの追加金融緩和期待は、日増しに高まっているのでないかと考えられます。
 おそらく首相官邸からは、そういう要望が日銀にいっているような気がします。
 さて、黒田総裁は、そうした声にどう答えるのでしょうか?
 私は、彼がこれまで主張してきたことが崩れない限り、なかなか追加緩和には応じないのではないかと見ています。下手をすれば年内は、金融緩和しないのではないでしょうか。
 さて、米国に…
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株価低迷の背景に産油国の苦しい事情!? 日銀追加緩和が実施される可能性は?

■相場に活気なし。米ドル/円は119円~121円のレンジ続く ここのところ、毎週毎週、同じようなことばかり書いていますが、それだけ、市場の活力がないということでしょう。
【参考記事】
●中国経済低迷は長期化、値頃感で資源国通貨を買ってはダメ!株の強気相場も終了(9月24日、今井雅人)
 こういう相場は、これからも続いてしまうと思っています。
 毎週毎週で申し訳ないのですが、米ドル/円は、これから特段の新しい材料がない限り、119円~121円を中心としたレンジ相場が当面の間、続いてしまうのではないでしょうか。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■年初来で見れば、日経平均は上昇していないという事実 ところで、9月29日(火)、日経平均が1日で700円以上、下落しました。
日経平均株価 日足(出所:株マップ.com)
 これは、どうやらスイスの資源商社グレンコアの株価が、ロンドン市場で30%ほど急落したことが原因となっていたようです。
グレンコアの株価 1時間足(出所:CQG)
 その後、グレンコアの株価も回復し、ほぼ30%の下げ幅を取り戻したので、日経平均も落ち着きを取り戻しています。ただ、10月1日(木)現在でも、結局、年初来で言えば、日経平均は、プラスマイナスほぼゼロの水準で推移しています。
 つまり、日本の株価は2015年、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの特殊な買いがあったにもかかわらず、上昇していないという結果になっているということです。
 先日発表された消費者物価指数がマイナスとなり、また、GDPもマイナス成長となるなど、残念ながら、政府の想定していたような経済情勢にはなっていません。
 ファンダメンタルズが良好でない以上、株価もこれからの上昇は、あまり期待できないのではないでしょうか。
 ただ、1点あるとしたら…
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中国経済低迷は長期化、値頃感で資源国 通貨を買ってはダメ!株の強気相場も終了

■レンジ相場に入り込んでいる米ドル/円 米ドル/円は、120円を挟んでのレンジ相場に入り込みそうだという話をここ2~3回の当コラムでしてきたと思いますが、大体そのような相場展開になっています。
【参考記事】
●FOMC後の相場の動きをシミュレーション!利上げは10月か12月へ持越しの可能性大(9月17日、今井雅人)
●中国がバブル崩壊を認めたことの意味は?レンジ入りの米ドル/円はFOMC待ち!(9月10日、今井雅人)
●9月米利上げの可能性は、まだ五分五分!この先、イケイケ相場にならない理由とは?(9月3日、今井雅人)
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■年初来の上昇をほぼ吹っ飛ばした日本の株式市場… その一方で、日本の株式市場は冴えません。
 本日9月24日(木)の日経平均終値は、先週末比500円ほど下落して、1万7571.83円で引けています。これで、年初来の上昇をほとんど吹っ飛ばしてしまいました。
日経平均株価 週足(出所:株マップ.com)
 年初の米ドル/円は、118円台後半だったことを考えると、2015年は、為替相場も株式市場もスタート地点に戻ってきてしまったということになります。
米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
 結局、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など、特殊な買いが玉切れしてしまったことが一番大きな要因ではないかと思います。
【参考記事】
●9月米利上げの可能性は、まだ五分五分!この先、イケイケ相場にならない理由とは?(9月3日、今井雅人)
●驚きのGPIF資産残高構成。もう、玉切れで株高・円安の流れが変わる可能性も…(4月2日、今井雅人)
■株式市場の強気相場は、終わってしまった さらには、米国の株式市場が低迷してしまっているのも影響していると思っています。
米国株(US30) 週足(出所:米国FXCM)
 そう考えると、これも何回も話をしていますが、株式市場の強気相場は終わってしまったのだろうと考えています。
【参考記事】
●FOMC後の相場の動きをシミュレーション!利上げは10月か12月へ持越しの可能性大(9月17日、今井雅人)
■資源国通貨は大きく下落! 豪ドル/円は14円も… 一方、資源国通貨は、年初来で見ると大きく下落しています。
 たとえば、豪ドル/円で見てみると、2015年は98円近辺で始まっていましたが、現在は84円程度。14円も下落しています。
豪ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足 週足)
 これは言うまでもなく、中国経済の低迷と資源価格下落の影響です。
 もちろん、資源価格下落の大きな要因は中国経済の低迷にあるので、とどのつまり、中国ショックが原因だということです。
【参考記事】
●中国ブラックマンデーから衝撃の急落劇!戻りの弱い米ドル/円の上値メドは?(8月27日、今井雅人)
 IMF(国際通貨基金)は、先日、2015年の中国…
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FOMC後の相場の動きをシミュレーション! 利上げは10月か12月へ持越しの可能性大

■市場関係者の間でもがっぷり四つ! 米利上げはいつ? 本日9月17日(木)、日本時間でいえば18日(金)午前3時に米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表になります。
 1カ月ほど前までは、私は9月に一度利上げをすると考えていましたが、現段階では、今回は見送りになり、10月か12月に持ち越しになるのではないかと考えています。
【参考記事】
●9月米利上げの可能性は、まだ五分五分!この先、イケイケ相場にならない理由とは?(9月3日、今井雅人)
●FOMC議事録受け、米9月利上げ期待後退!ポイントとなった3つのキーワードとは?(8月20日、今井雅人)
 市場関係者の中でも、見方が分かれています。
 実際、市場のアナリスト113名中、利上げ予想が59名、据え置き予想が54名と、がっぷり四つの状況です。
 そこで、今回の会合で利上げを実施した場合と見送られた場合に、市場がどういうふうに反応するのかという点について、少し考えてみたいと思います。
■利上げが「実施された」場合のマーケットの動き まず、利上げをした場合でありますが、米ドルは一時的に上昇するのではないかと思います。
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 しかし、その後の定例記者会見で、おそらくイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、これで当面利上げはしないというようなメッセージを出すのではないかと推測されます。
 そうなると、逆に材料出尽し感が出てきて、それ以上、米ドル高には向かわなくなるのではないかとイメージしています。
 株式市場の反応ですが、最近の動きを見ていると、かなり理屈に合わない動きをする時があるので、予想するのが難しい状態です。
米国株(US30) 日足(出所:米国FXCM)
 ただ、一般的に考えれば、利上げが発表された直後は下落するものの、その後は持ち直してくるという動きになるということではないでしょうか。
■利上げが「実施されなかった」場合のマーケットの動き では逆に利上げをしなかった場合はどうでしょうか?
 現在は、利上げをすると予想している人の方が若干多いので、こちらの場合は、市場の反応は鈍いかもしれません。
 しかし、若干は米ドル安に反応するのではないかと思います。
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 ただ、10月から12月には利上げをするのではないかという見方が次第に市場に影響を与えて、米ドルが買い戻されていくという展開になる可能性が高いのではないかと思っています。
 あくまでもざっくりとした予想であるので、そのとおりに反応するかどうか、わかりませんが、一応のイメージングだけはしておきたいと思います。
 ただ、今回のFOMCの決定がどちらになったとしても、大きなトレンドを作るような動きになる可能性はあまり高くないと思っています。
 市場の変動幅は、それほど大きなものとならないと考えておきたいと思います。
 ところで、9月17日(木)に…
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中国がバブル崩壊を認めたことの意味は? レンジ入りの米ドル/円はFOMC待ち!

■G20で中国がバブル崩壊を認めた! 市場には安堵感 トルコのアンカラで先週末にかけて開催されたG20(財務大臣中央銀行総裁会議)では、中国が、「一連の世界的株価下落の原因が、上海株式市場のバブルがはじけたことにある」と認めた上で、財政政策を含む対応でコミットメントしたことが、「心理的不安」を一時的に取り除くことになりました。
 これまで表向きには「米国の利上げ観測が株価の急落を引き起こした」との立場だった中国自身が、自らの市場が引き起こした「チャイナブラックマンデー(8月25日のFT(フィナンシャル・タイムズ)紙一面)」の対応を世界中に約束した意味は、かなり大きなもの。
上海総合指数 日足(出所:CQG)
 周小川中国人民銀行総裁の表明を受けて、麻生副総理兼財務金融相が、「上海市場に端を発した株価急落に対して世界中が関心を持っている現実を中国が知った意味は大きかった」と発言しているほか、「我々は会議の中で中国と言ったのは確かで、分かりやすいように言った。声明文に載らなかったからといって、日本の立場に孤独感はまったく感じていない」と、その内幕を一部暴露しているように、市場には「G20での対立」という「最悪の事態」を免れたことで、「一種の安堵感」が生まれたことは確かでした。
【参考記事】
●中国ブラックマンデーから衝撃の急落劇!戻りの弱い米ドル/円の上値メドは?(8月27日、今井雅人)
■不安定な心理状態を表すように繰り返される乱高下 ただ、今後は中国が自国のプライドにかけても政策対応において「同じような過ちを犯すことはない」との認識が高まっている一方で、中国側からは「このバブル崩壊から回復するまでには10年はかかる」との見通しが表明されているワケで、市場では「長期に渡る中国経済の低迷がもたらす世界経済への影響」を危惧する声が増大してしまったことも隠しようのない事実です。
 市場では、そんな不安定な心理状況を如実に表すような乱高下が繰り広げられています。
 今週(9月7日~)に入って、レイバーデー休暇明けの9月8日(火)、日経平均に「11日のメジャーSQに向けた短期投機筋の売り仕掛け」が観測されると一気に下げ幅を拡大。
 年初来で見ても、「ついにマイナス圏」に突入するといった「売り方にとっては絶好の材料」も加わると、さらに売りが重なる展開となりました。
 米ドル/円もランチタイムに、一時118.855円まで下押ししています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■突如起こった怒涛のクロス円買い! ところが、株式市場終了の15時を過ぎ、すでに7日(月)に報道されていた「本邦機関投資家による英損保会社買収」が正式にアナウンスされると、ここから「怒涛のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)買い」という動きとなりました。
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 欧州市場の十分な流動性のなかで、「ユーロ/円の買い上げ」や「ユーロ/英ポンドの売り浴びせ」となりましたが、結果として「英ポンド/円」を買うというオペレーションが一気に市場に持ち込まれることになりました。
 本邦企業によるM&A案件の急増は、本邦年金資金などの買いと同様に、これまでも何度となく相場の下支えを担ってきていますが、このように、かなり目に見える形で相場が押し上げられてしまったことで、本来直接関係のなかった株価や、その他のクロス円といったもののショートがあぶり出されることにつながりました。
 理由の是非はどうであれ、「極度のリスクオフ」モードから…