ECB理事が一部ヘッジファンドを優遇!? 今回のユーロ急落の裏にあった真相とは? ブログ

ECB理事が一部ヘッジファンドを優遇!? 今回のユーロ急落の裏にあった真相とは?

■クーレECB理事の発言でユーロ/米ドルが急落! 今週(5月18日~)は、ポジション調整がまだまだ終わっていないユーロ/米ドルが5月19日(火)の欧州時間に急落。市場参加者をあわてさせることになりました。

 事の発端は、クーレECB(欧州中央銀行)理事の発言。

 「ECBは、夏の閑散なマーケットになる前に、現在の量的緩和(QE)のペースを加速させる」とのヘッドラインは、ユーロ/米ドルを200ポイント以上急落させることになりました。

 アジア時間のユーロ/米ドルの高値が1.1326ドル。翌5月20日(水)には、一時1.1062ドルまで売り込まれる事態となっています。

ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)

■ごく限られたパーティ参加者がユーロを売り込んだ!? ところで、この発言。

 実は、前日の5月18日(月)に英バークレイホテルで行われたディナーパーティーでのものでした。

 今や為替市場の方向性を作るとまで言われている英大手ヘッジファンドのブレバン・ハワードが主催したものでしたが、招待されたのは大手ファンドマネージャーなど、いわゆる「ごく限られた面々」。

 その場で発言されたクーレECB理事の「QE加速宣言」は、何と12時間以上経った翌日の朝9時に、ECBから公式に公表されたわけです。

 ブレバン・ハワードをはじめとする「ごく限られた」市場参加者がユーロ/米ドルを売り込んだのは言うまでもなく、一部からは、「発言が公になった後も、畳み掛けるように大量のユーロ/米ドルを売り浴びせた」との声も聞かれています。

 ECBからは、発言の公表が遅れた理由として「内部処理上のエラー」とのアナウンスが出てはいるものの、言葉通りに受け止める向きが少ないのは言うまでもないでしょう。

公式発表が出るかなり前に、一部の大手ファンドマネージャーなどに対してだけ「QE加速宣言」をしていたクーレECB理事。何の目的があって、そのようなことをしたのだろうか? (C)Bloomberg

■ポジションの整理が一巡しない限り、再び上値を試す動きに この一件で、ECB関係者による市場とのコミュニケーション手段の整合性を問われることになってはいますが、市場が大きく動いてしまったことも紛れもない事実。

 こういった不測のリスクとも常に面合わせしていることを認識しておきたいものです。

 ただ、冷静になって考えてみると、クーレECB理事の発言の意図は、「QEそのものを拡大する」ことではなく、あくまでも、夏休みの間のオペレーション的な問題として買取額を減額せざるを得ない中で、その分を5月、6月に前倒しするということに他ならず、結局は同じことになると考えるのが妥当でしょう。

 ユーロ/米ドルは、一時的な急落となりましたが、私としては、まだまだポジションの整理が一巡しない限りは、再び上値を試す動きとなるのではないかと考えています。

【参考記事】

●株価の「5月急落説」が考えにくいワケは?ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある?(5月14日、今井雅人)

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

 目先は乱高下となってはいるものの、市場に与えたプチショックが終われば、再び底堅くなってくるでしょう。

 一方、米ドル/円ですが…
「子くじら」の出現で、米ドル/円は122.50円 への上昇濃厚! 上抜ければ125円も視野に ブログ

「子くじら」の出現で、米ドル/円は122.50円 への上昇濃厚! 上抜ければ125円も視野に

■米ドル/円はレジスタンスの122円に再び接近 みなさん、こんにちは。

 4月23日(木)のコラムでご紹介した米ドル/円ですが、大方のコンセンサスどおり、118円台でボトムアウトし、じり高で推移。これまでの高値は5月21日(水)につけた、121.48円。

【参考記事】

●ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?(4月23日、西原宏一)

 米ドル/円は、じわじわとレジスタンスである122.00円に再び接近してきました。

米ドル/円 日足(出所:米国FXCM)

■米ドル/円の118円台では「くじら」がサポート 米ドル/円は、2015年4月~5月にかけて、何週にもわたり、118.00円割れをトライしたのですが、執拗な米ドル買い需要にサポートされました。

 特に、4月30日(木)に日経平均が1日で500円強という急落劇を演じた局面でも、米ドル/円は118.00円を割り込めず、安値は118.50円どまり。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

米ドル/円 日足(出所:米国FXCM)

 118円台で米ドル/円が底堅い動きを見せていた背景には、マーケットのウワサどおり、くじら(日本銀行、ゆうちょ銀行、3共済、かんぽ生命、GPIF)の存在が挙げられます。

 そのくじらに関しては、「巨大くじら」であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からのリスク資産買いがそろそろ一定額を終えて、彼らからの米ドル買い需要が細ってきているという報道も見受けられます。

 しかし、ここにきて脚光を浴びているのが…
反発していたユーロ/米ドルだが短期の サポートラインを割り込み「売りシグナル」 ブログ

反発していたユーロ/米ドルだが短期の サポートラインを割り込み「売りシグナル」

■ユーロ/米ドルは月足で高値圏での乱高下だったが… 今回は、ユーロ/米ドルの分析を行なう。まずは月足チャートをご覧いただきたい。 

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は、0.8200ドル近辺)から、1.6000ドル近辺まで大きく上昇している。

 1.6000ドルの高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで大きく上下動を繰り返した。

 この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には、「高値圏での乱高下」だと、判断している。

 いつもではないのだが(必ずではないのだが)、一般的に、「高値圏での乱高下」は、「売りのシグナル」である。

 つまり、この大きな上下動は、いずれネック・ライン(下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測していた。

 このネック・ライン(下限)は、1.2000ドル近辺のことで、ネック・ライン(下限)を割り込む場合は、その後で、大きく下落する、と考える。 

 上述のように考えていたところ、1.2000ドルを割り込んだ。

 重要な節目(=チャート・ポイント)である1.2000ドルを割り込んだことで、「売りシグナル」を発した、と考える。

 サポート・ライン「緑の破線」は、その傾きを緩やかにして、2013年7月の安値1.27ドル台ミドルに合わせている。

 月足チャートを見てのとおりに、ユーロ/米ドルは、このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んでいる。 

ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだ時点で、まず「売りシグナル」を発した、と考える。

 月足チャートに長期のサポート・ライン「赤の破線」を表示した。

 見てのとおり、ユーロ/米ドルはこの長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、その時点でさらなる「売りシグナル」を発した、と考える。

 高値1.4000ドル近辺からの下落に合わせて、レジスタンス・ライン「緑の破線」を加筆した。

 中長期のチャート(この月足チャート)で判断するならば、「赤の破線」を割り込んで発せられたこの「売りシグナル」のターゲットは、「紫の破線」で表示した1.18ドル台の水平線と考える。

 そして、月足チャートを見てのとおりに、上述のターゲットは、達成した、と考える。

■月足のウェッジを下抜けし、さらなる売りシグナル点灯 チャートに、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」を表示した。2008年以降のユーロ/米ドルが、下落トレンド(下落傾向)にあることを示している、と考える。 

ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 また、1.18ドル台に「紫の破線」で水平線を表示した。

 これらの2本の「紫の破線」に注目すると、ユーロ/米ドルは、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。

 2015年年初の値動きで、重要なチャート・ポイント1.2000ドルを割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 そして、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を、割り込み、「三角保ち合い(ウェッジ)」を下に抜けて、さらなる「売りシグナル」を発した、と考える。

■下落のターゲットは1.0000ドル近辺か 続いて、もう1つ別の月足チャートをご覧いただきたい。このチャートには、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」の平行線を表示した。  

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」とその平行線「紫の破線」の値幅を示すために、「緑の破線(両端矢印)」を表示した。

 この月足チャートを俯瞰すると、中長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込んで「売りシグナル」を発し、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を割り込んでさらに「売りシグナル」を発した、と考える。これらの「売りシグナル」のターゲットは、パリティ(1.0000ドル)近辺と考えることができる。

■「ヘッド&ショルダー」のターゲットも1.0000ドル 続いて、3つ目の月足チャートをご覧いただきたい。

 ユーロ/米ドルの中長期のチャートの形状から、「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考えていた。

(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされてい る。典型的なものは3つの山がある形で、これを人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼 ぶこともある)  

ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 当初は、3つの山で「ヘッド&ショルダー」を想定したのだが、3つの山では「ヘッド&ショルダー」を完成せずに、1.20ドル台から1.4000ドル近辺まで上昇した。

 しかし、1.4000ドル近辺から反転下落し、4つ目の山を作った、と考ええる。

 そして、1.2000ドル近辺(正確には、1.18ドル台ミドル)のネック・ラインを下に抜けて、4つの山の「ヘッド&ショルダー」を完成した、と考える。

 ネック・ライン(1.18ドル台ミドルの水平線)「紫の破線」を割り込んだ時点で、「ヘッド&ショルダー」を完成させて、「売りシグナル」を発した、と考える。

 この「ヘッド&ショルダー」のターゲットは、すでに述べたとおりに、パリティ(1.0000ドル)近辺、と考える。

 続いて、週足チャートをご覧いただき…
ドル全体の調整はしばし続く可能性大だが ドル/円は118円台死守ならやがて上放れ ブログ

ドル全体の調整はしばし続く可能性大だが ドル/円は118円台死守ならやがて上放れ

■足元の米ドルの調整は、今後の米ドル高の基盤固め 米サイドの経済指標が引き続き軟調で、米ドル全面安が進んでいる。一部市場関係者は年内米利上げなしの可能性にも言及しており、これが米ドルの圧迫要素として効いている格好だ。 

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

(※米ドルの強さを見やすくするため、このチャートには“逆転通貨ペア”が含まれています。これにより、この一覧チャートでは、米ドルが上がるとすべてのチャートが上昇する形になっています。)

 もっとも、これまで米早期利上げに対する期待感が過大で、米経済成長見通しに関する見方も楽観的すぎたところがあった。3月までの米ドル全面高はオーバーボートの疑いが大きかっただけに、足元の市場センチメントの修正は、健全化の一環として受け止められる。

 言い換えれば、足元まで続く米ドルの反落は、これからの米ドル高の基盤を固める上で、むしろ必要であり、これが米ドル高トレンドの健全化につながるとみられる。

■米ドルの調整はもう少し続く可能性大 目先の焦点は、当然のように調整のメドに集まる。

 ドルインデックスで見ると、2月安値93.25を一時下回ったから、92.25~92.50といった下値ターゲットの打診を覚悟しておきたい。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

 この下値ターゲットの根拠については、昨日(5月14日)、筆者のブログにて開示しているから、ここでは重複して説明しないが、要するに米ドルの調整は、もう少し続く可能性が大きいということだ。

■ユーロ/米ドルの売りはまだ時期尚早か となると、ドルインデックスの対極として、ユーロ/米ドルの反騰も目先なお上値余地ありという結論が得られやすい。1.14ドルの節目をブレイクしたユーロ/米ドルは、1.15ドルの節目がらみまで反騰余地を拡大してもおかしくないだろう。

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

 メインストラテジーのユーロ売りは、なお時期尚早の感があり、より良いタイミングを待たなければならないだろう。

 実際、ユーロの切り返しはドイツ国債利回りの急上昇とリンクしており、ユーロクロスの底固さも、その整合性を示している。 

ユーロVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足)

 ユーロ/英ポンド、ユーロ/豪ドルなど、ユーロクロスが揃って底割れ回避の兆しを示し、これがユーロの反騰につながっている。そして、もっとも注目されているのはユーロ/円であろう。

 ユーロ/円は今週(5月11日~)、続伸し、2月高値に接近している。この値動きは、筆者が5月1日(金)のコラムにて指摘ずみで、想定内であり、今さら特筆するところはないが、ユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の状況を再検証し、円全体のトレンドを探ってみたい。

【参考記事】

●ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか(2015年5月1日、陳満咲杜)

 主要クロス円の中では、英ポンド/円の騰勢が…
ドイツ国債利回り再上昇でユーロ高継続。 反発中のユーロ/円に注目する理由とは? ブログ

ドイツ国債利回り再上昇でユーロ高継続。 反発中のユーロ/円に注目する理由とは?

■英ポンド/円は節目の190円に急接近 みなさん、こんにちは。

 前々回の当コラムでご紹介させていただいた英ポンド/円ですが、英国の総選挙前後から上げ幅を拡大して、一時、188.60円まで急騰。

【参考記事】

●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)

●ポンド/円取引が熱い熱い熱い熱い! 急上昇中のポンドを取引するならここだ!

 5月に入って、英ポンド/円はすでに9円弱高騰しており、節目の190円に急接近。

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 そして、先週のコラムで取り上げたユーロですが、ユーロ/英ポンドの影響で下落する局面もありましたが、今週(5月11日~)に入って再び上値追いが続き、ユーロ/円も英ポンド/円の上昇に遅れながらも、135円台を回復しました。

【参考記事】

●人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか(5月7日、西原宏一)

ユーロ/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)

■ドイツ国債利回り再び上昇で、ユーロ高に こちらも先週のコラムでご紹介させていただいた、ドイツ10年物国債ですが、いったん0.80%付近まで利回りが急騰した後は、あっという間に反落。

【参考記事】

●人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか(5月7日、西原宏一)

 しかし、今週(5月11日~)に入っても、ECB(欧州中央銀行)トレードの調整が続き、ドイツ10年物国債利回りは、13日(水)に再び0.74%まで上昇してきました。

ドイツ10年物国債利回り(ドイツ長期金利) 1時間足(出所:CQG)

 ドイツ10年物国債利回り急騰から、独DAXは反落。そして、ユーロ/米ドルは1.14ドル台まで回復しています。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 ECBが大量に資金を供給していることから、ドイツ10年物国債にはいずれ買いが戻ってくるというのがコンセンサス。

 ただ、今年(2015年)に入って、急激に展開されたデフレトレード(独国債ロング、独DAXロング、ユーロショート)によるポジションのアンワインド(巻き戻し)がもうしばらく続きそうです。

  こうしたユーロ反発の中、注目は英ポンド/円と…
株価の「5月急落説」が考えにくいワケは? ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある? ブログ

株価の「5月急落説」が考えにくいワケは? ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある?

■ユーロ/米ドルはもう少し上昇余地があると考えたい 前回のコラムの中で、米ドル/円は、ポジションがあまり溜まっていないので、下落リスク(米ドル安・円高)はそれほどないが、ユーロ/米ドルはポジションが、まだかなりショートなので、もう少し上昇(ユーロ高・米ドル安)するかもしれないという予想をしました。

【参考記事】

●日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意(5月7日、今井雅人)

 直近の動きを見てみると、大体そのような動きになっていると思います。

米ドル/円 日足 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 直近のIMM(国際通貨先物市場)のポジションの様子を見ても、あまりショートポジションが減っていません。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

 であれば、もう少し上昇の余地はあると考えておいた方が良いのではないかと考えています。

■GPIFなどが米ドル/円の利益確定売りを飲み込んだか そこで、1つ疑問があります。

 IMMの米ドル/円ポジションを見ると、2015年に入って米ドル買い・円売りポジションが、段階的に減ってきていたにもかかわらず、相場は崩れませんでした。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 つまり、投機筋が、米ドル/円の買いポジションを減らすために米ドル/円を売っても、米ドル/円は下がらなかったということになります。

 それは、どうしてでしょうか?

 おそらく、米ドル/円が120円を達成したことで、投機筋の中に高値警戒感が出てきて、1回利益を確定しようという動きが出たのでしょうが、その間も、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような公的資金から断続的に米ドル買い・円売りが出てきたので、利益確定の米ドル売りを飲み込んでしまったのだと思います。

■ユーロ/米ドルはショートカバーの影響で上昇 一方、ユーロ/米ドルは、売り材料が満載だったため、投機筋は全力で売りを仕掛けてきたのですが、どうも分が悪くなってきました。

 そのため、ユーロ/米ドルの買い戻しを少しずつ出しているのですが、米ドル/円であったような実需の米ドル買いが出てこないため、相場もショートカバーの影響で上がってしまうという状態になっています。

ユーロ/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)

 おそらく、市場では、このようなことが起きてきたのではないかと私は考えています。

 そう考えれば、ユーロ/米ドルは、まだ上昇する余地があるという見方もできるということではないでしょうか。

 さて、金融市場全体に目を…
豪ドル/米ドルの大局は下落トレンドだが、 本格的な調整反発となる可能性に注意! ブログ

豪ドル/米ドルの大局は下落トレンドだが、 本格的な調整反発となる可能性に注意!

■月足の「高値圏での乱高下」が後々の下落を示唆 今回は豪ドル/米ドルの分析を行なう。まず、月足チャートからご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、豪ドル/米ドルは一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」を割り込み、その時点で「売りシグナル」を発したと考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 上のチャートでは、一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」の傾きを緩やかにして、実際の相場に合わせ調整している。

 豪ドル/米ドルは高値圏で「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」を形成していたと考える。

 そして、ボックス相場「紫の破線」の下限を割り込み、さらなる「売りシグナル」を発したと考える。「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」は、「高値圏での乱高下」と考えることができる。

 「高値圏での乱高下」は、後々の下落を示唆するケースが多々ある。

このボックス相場「紫の破線」の下限を割り込んだことで、大きく下落する可能性を示唆していると考える。

■ボックス相場下抜け後も乱高下を続ける 豪ドル/米ドルは0.9400ドルを割り込み発せられた「売りシグナル」に従い、0.88ドル台にまで下落したが、0.88ドル台から急反発して、0.97ドル台にまでリバウンド(反転上昇)した。  

豪ドル/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 しかし、2013年12月18日(木)のFOMCで、「テーパリング(量的緩和策の縮小)実施」が発表されたことを材料に、豪ドルは再度大きく下落し、0.86ドル台の安値をつけている。

 しかし、0.86ドル台の安値から今度は大きく急騰し、戻り高値は0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)をつけている。

 戻り高値の0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)から、再び大きく下落している。

 豪ドル/米ドルは、「ピンクの破線」で示した「上値0.9800ドル程度-下値0.8600ドル程度」のボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 このボックス相場「ピンクの破線」の下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 この「売りシグナル」に従い、豪ドル/米ドルは、大きく下落した。それで、一番右のレジスタンス・ライン「緑の破線」を表示した。

 月足チャートには、ボックス相場「赤の破線」とボックス相場「ピンクの破線」を表示している。これは、後で掲載する週足チャートに表示したボックス相場と同じものだ。

 0.8600ドル近辺を下に抜けたことで、ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込んだ時点で、新安値を更新したので、「売りシグナル」を発した、と考えることもできる。

 この「売りシグナル」に従い、相場は下落して今のところ、0.75ドル台の安値をつけている。

 すでに大きく下落したが、まだ底打ちしたとは言えない、と考えている。

 安値を更新する場合は、その時点で、さらなる「売りシグナル」点灯になる状況が続いている、と考える。

■週足では、ボックス相場を上抜けし、ターゲットを達成 次に、週足チャートをご覧いただきたい。

 豪ドル/米ドルは、0.6000ドル近辺から、1.1000ドル近辺に大きく上昇したが、その上昇過程では、サポート・ライン「緑の破線」に従っていたと考える。 

豪ドル/米ドル 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 豪ドル/米ドルは、「赤の破線」で示した「下値0.8000ドル-上値0.9400ドルのボックス相場」を上に抜けたことで、「買いシグナル」を発して上昇した。

 そして、ボックス相場のセオリーどおりに、ボックスの値幅分(1400ポイント)上昇してターゲットを達成したと考える。

 「赤の破線」で示したボックス相場を上抜けしてからは…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む

■米雇用統計がどうあれ、米ドル/円は底割れ回避か ドルインデックスが反落を続ける中、米ドル/円が保ち合いを維持しているがゆえに、ユーロ/円、英ポンド/円の強さが目立つ。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 特に英ポンド/円は、英選挙情勢を反映し、英ポンド/米ドルの切り返しとリンクした形で2月高値を突破し、前回のコラムで指摘した187円の上値ターゲットに一段と近づいてきた。

【参考記事】

●ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか(2015年5月1日、陳満咲杜)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 選挙の最終結果、また、本日(5月8日)の米雇用統計次第で、市場がまた波乱となってもおかしくないが、円買い基調は当面遠のいたと言える。

 もっとも、たびたび指摘してきたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)経由の影響を考えると、ドルインデックスがブル(上昇)基調を保った上でスピード調整を行っている間は、米ドル/円の底堅さにつながりやすいから、今はまさにそのような市況だと思う。

 本日(5月8日)の米雇用統計の影響を考慮しても、基本的には米ドル/円は底割れを回避でき、上放れの公算が高いとみる。

米ドル/円 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■ドルインデックスの反落はあくまでスピード調整 言うまでもないが、ドルインデックスのメイン基調も重要だ。

 3月高値を起点とした反落波の値幅が拡大されている足元では、米ドル高のトレンドがすでに転換されたのでは…といった見方も浮上しているが、米金融政策が規定路線どおり進んでいる以上、米ドル高トレンドの早期終焉といったシナリオ自体、かなりリスクの高い判断だと思う。

 言い換えれば、3月高値からの反落は、あくまで米ドル高に対するスピード調整と見なした方が無難だ。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

 今晩(5月8日)の米雇用統計次第で、利上げ時期に関する思惑はまたくすぶるが、利上げ路線が変わらない限り、それは時間の問題であり、FRB(米連邦準備制度理事会)の出口政策は、すでに実施されているという事実も変わらない。

 また、足元まで米ドル全体の反落の値幅が拡大している原因は、米ドル自体の問題のみではなく、諸外貨サイドの要素も重なったところが大きい。

 ユーロサイドでは、ギリシャ問題の先送りや… 
人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか ブログ

人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか

■ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入る みなさん、こんにちは。

 2015年のマーケットの主役は、相変わらずユーロ圏ですが、ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入っています。

ユーロVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)

 先週のコラムでご紹介した英ポンド/円は、182円台と高値圏で推移していますが、英総選挙を直前に控え、いったん調整気味。

【参考記事】

●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)

英ポンド/円 日足(出所:米国FXCM)

 その間隙をぬって、ユーロ/円が135円を超える上昇を見せています。ユーロ/米ドルも1.13ドル台へ。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

■ビル・グロス氏の発言きっかけにドイツ国債利回りが急騰 このところ、ドイツ10年国債利回りが急騰しています。

 これは、4月21日(火)のビル・グロス氏(※)による下記のコメントがきっかけ。


「人生最大のドイツ国債売りのチャンス」

 彼のコメント以降、ECB(欧州中央銀行)がQE(量的緩和策)を実施しているにもかかわらず、ドイツ10年国債利回りは急騰しています。

【参考記事】

●すさまじいECBのQE開始でユーロ急落! ユーロ/円は120円に向けて続落か(3月12日、西原宏一)

(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、「債券王」との異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー。2014年にPIMCO社を退社し、現在は、米 国の資産運用会社「ジャナス・キャピタル・グループ」に所属している)

ドイツ10年国債利回り(ドイツ長期金利) 日足(出所:CQG)

 ドイツ10年国債利回りは、本稿執筆時点までの段階で一時、0.58%と、4月下旬のボトムから50ベーシスポイントもの急騰(※)。

 呼応して、米国10年国債利回りも、2.2%台と3月上旬以来の水準まで上昇しています。

(※編集部注:その後、ドイツ10年国債利回りはさらに爆上げ。5月7日(木)の欧州時間に一時、0.79%付近まで上昇している模様)

米10年国債利回り(米長期金利) 日足(出所:CQG)

 グローバルな国債利回りの急騰に連れて、株式相場も反落。

 欧州や米国など、他の株式相場の下落に連れて、日経平均も急落しており、本稿執筆時点では、1万9290円と1万9300円を割り込んでいる展開。

 この動きは「セル・イン・メイ(Sell in May)」と…
豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい! ブログ

豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい!

■豪ドル/円は月足でボックス相場を形成中 今回は豪ドル/円の分析を行なう。まずは、月足チャートをご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、右端のサポート・ライン「緑の破線」に沿った上昇が続いた結果、「紫の破線」で示した「下値72円-上値90円のボックス相場」を上に抜けて、「買いシグナル」を点灯させて上昇したことがわかる。

豪ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この「買いシグナル」で、豪ドル/円は、105円台の高値をつけているが、105円台から86円台にまで大きく急落している。

 86円台からは、再び大きく反発(上昇)して、今のところ、102円台後半の高値をつけている。

 俯瞰すると、豪ドル/円は、「赤の破線」で示したボックス相場を形成中と考える。

 現在の豪ドル/円は、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、右端のサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだようにも見える。

 明確に、割り込む場合は「売りシグナル」だが、現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない状況だ。相場が、このまま反転上昇する場合は、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを緩やかにして、修正することになるからだ。

 この月足チャートでは、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを少し緩やかにして、修正している。

■最近の動きは2007年、2008年ごろの値動きに似ている 参考に、2007年、2008年ころの値動きに「ピンクの破線」でボックス相場を表示した。

豪ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この頃は、ボックス相場「ピンクの破線」の内側で、サポート・ライン「緑の破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を何回か発したのだが、その都度、反発(上昇)している。

 そして、最終的には、ボックス相場「ピンクの破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した。

 最近の値動きが、この頃に似ている、と感じている。つまり、時間が経過すると、現在のボックス相場「赤の破線」を割り込むことで明確な「売りシグナル」を発することになるのではないか、と考えている。

■週足では2009年半ばから2012年までボックス相場 続いて、週足チャートをご覧いただきたい。豪ドル/円は2009年半ばから2012年までの期間、「緑の破線」で示した「下値72円-上値90円の18円幅のボックス相場」を作った。 

豪ドル/円 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 2013年の初めに、このボックス相場を上に抜けたことで「買いシグナル」を発して、上昇を始めた。

 ボックス相場のセオリーに従うならば、ボックス相場上抜けの場合は、上限からボックス相場の値幅分上昇したところがターゲットになる。

 このケースでは、上限が90.00円、ボックス相場の値幅が18円だから、ターゲットは、108円になる。

 しかし、すでにターゲットを達成した可能性があることに留意する必要がある。

 この時点での高値は、105円台半ば(105.40-50円)程度だ。

 ターゲットは108円程度なので、まだ2円ほど余地がある、と考える人もいることだろう。

 しかし、チャート分析でのターゲットは、そのような厳密なものではなく、「だいたいこのくらい」といった「いいかげんなもの、大まかなもの」だ。

 豪ドル/円は105円台の高値から下落に転じ、「紫の破線」で示したボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/円 週足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、ボックス相場「紫の破線」の上限を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。

 月足チャートに表示したボックス相場「赤の破線」を、週足チャートにも、同じように、「赤の破線」で表示した。

 繰り返しになるが、現在は、「赤の破線」で示した大きなボックス相場を形成中であり、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、サポート・ライン「青の破線」を割り込んだようにも見えた。しかし現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない、と考える。

 サポート・ライン「青の破線」の傾きを、少し緩やかにして、修正した。

 次に、日足チャートをご覧いただき…