
この記事の要点
- IMF、トークン化資産650億ドル市場のリスク増幅を警告
- 投げ売りの連鎖や金融市場への波及を指摘
まずはトークン化株式を詳しく
IMF報告書が示すトークン化の光と影
IMF(国際通貨基金)は2026年10月、最新レポートを公表し、トークン化資産の市場拡大が金融市場の混乱を増幅させるリスクについて警告しました。
報告書によると、レポ取引を除くトークン化されたRWA(現実資産)の公開市場規模は2026年7月末時点で約650億ドル(約10.2兆円)に達しており、トークン化レポの30日平均取引量も1日あたり3,030億ドル(約47.9兆円)に上っています。
IMFは、取引や決済の効率化が進む一方、流動性リスクやレバレッジ、金融機関同士の相互連関性が新たな経路で増幅され、投げ売りや取り付け、金融市場への連鎖的な波及を招くおそれがあると指摘しました。
現時点では金融システム全体へのリスクは限定的と評価しつつ、市場のさらなる拡大に備え、政策当局に対して技術中立的な規制の採用や、中央銀行マネーを基盤とする安全な決済環境の確保を求めています。
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債券中心のトークン化市場、株式は成長途上
市場最大はクレジット商品、4.8兆円に
同報告書の市場分析によると、トークン化された債券・クレジット関連商品は約480億ドル(約7.6兆円)と、市場全体の大半を占めています。
内訳ではトークン化クレジットが304億ドル(約4.8兆円)と最大で、資産担保型クレジットが中心となっており、トークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)も約175億ドル(約2.8兆円)に達しました。
IMFによると、債券やMMF、レポ取引は主に機関投資家が参加する市場となっており、特にMMFは利回りを生む現金類似の担保として保有され、発行体との間で組成・償還されるケースが中心となっています。
一方、個人投資家が中心のトークン化株式市場は約23億ドル(約3,600億円)と比較的小規模で、Ondo Finance(オンド・ファイナンス)とBacked Financeの2つのプラットフォームに市場価値の70%超が集中しています。
トークン化株式、「時間外」が主戦場に
IMFはこの株式市場の取引実態を調べるため、米国株式5銘柄を対象に、11の取引所から収集した200万件超の価格・出来高の観測データを分析しました。
調査では取引の50%超が米国株式市場の通常取引時間外に行われており、IMFは
取引規模では約80%が1株未満の少額取引となっており、IMFは端株取引(フラクショナル・オーナーシップ)に対する需要の強さを示す結果だと分析しました。
時間外取引で形成された価格についても、トークン化株式の夜間リターンが翌日の従来市場における寄り付き後5分間のリターンに87〜99%の割合で反映されるとの推計結果が得られ、IMFは両市場が類似した情報に反応しているとの見方を示しています。
価格変動は従来の1.5倍、4つの課題も
従来市場との価格連動が確認された一方、トークン化株式の実現ボラティリティは従来の株式市場の約1.5倍に達しており、特に分散型取引所(DEX)では流動性が低く、価格の乖離も大きい傾向がみられました。
IMFは、こうした流動性の問題に加え、トークン化市場全体の成長を妨げる要因として「法的確実性」「規制の明確性」「相互運用性」「安全で健全かつ拡張可能な決済」の4点を挙げています。
法制度については、トークン化資産の保有者に認められる権利を明確にするとともに、「同じ活動・同じリスク・同じ規制上の結果」という原則に基づき、既存の証券・銀行・決済規制を適用する必要があると指摘しました。
市場基盤については、ネットワーク間の分断が大口投資家の参入を妨げていると指摘し、ステーブルコインやトークン化預金など民間の決済資産に伴う信用・流動性リスクを踏まえ、中央銀行マネーによる安全な決済環境の整備を提言しています。
英金融71%「トークン化で金融変革」
IMFが求める「常時稼働市場」の安全策
トークン化による金融リスクについては、IMFが2026年4月に公表した報告書でも警告されていました。
同報告書は、取引と決済を同時に完了させるアトミック決済が、従来の金融システムで危機時の緩衝材となってきた時間的余裕を失わせる可能性を指摘しています。
同年7月の公式ブログでも、連続的な決済によって銀行が予期せぬ資金需要に対処する時間が短くなり、金融機関や監督当局が介入する前に市場の混乱が波及する可能性に警鐘を鳴らしています。
今回の報告書では、トークン化の普及がネットワーク効果によって一定の規模から急速に加速する可能性を示しており、市場拡大による効率化の恩恵とともに、金融システム全体へのリスクも増大しうると分析しました。
IMFは今回の報告書で、24時間取引や自動清算が市場の混乱時に投げ売りを増幅させる可能性を指摘しており、トークン化市場の拡大に備え、サーキットブレーカーや取引停止措置、流動性保護策の有効性を検証し、必要に応じて見直すことが政策当局の課題となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.04 円)
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Source:IMFレポート
サムネイル:AIによる生成画像






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