
この記事の要点
- Bullishら5社がトークン化証券の業界連合を設立
- トークン化でも株主権を維持する市場基準を策定へ
まずはトークン化株式を詳しく
トークン化証券の業界連合が始動
仮想通貨取引プラットフォームのBullish(ブリッシュ)と株主名簿管理会社Equiniti(エクイニティ)は2026年9月24日、トークン化証券の業界連合「IST Coalition(発行体スポンサー型トークン連合)」を設立したと発表しました。
証券インフラ企業のAlpaca(アルパカ)、Apex Fintech Solutions(エイペックス・フィンテック・ソリューションズ)、DriveWealth(ドライブウェルス)も最初の参加企業に加わり、5社で技術標準や市場インフラ、運用枠組みの策定に取り組む方針です。
同連合は、トークン化株式として提供される商品の中に、発行体との直接的な株主関係や従来株式と同等の権利を伴わないものがあることを課題に挙げています。
こうした問題に対し、トークン化証券を発行体の公式株主名簿と直接結び付ける「発行体スポンサー型モデル」を中核に据えました。
同連合は、議決権やコーポレートアクション、投資家保護を維持しながら、既存の資本市場とブロックチェーン基盤を接続できる市場環境の構築を目指すとしています。
SEC委員「トークン化は避けられない」
株主権維持のトークン化基準策定へ
「名ばかりのトークン化株式」に警告
IST Coalitionが設立された背景には、現在「トークン化株式」として提供されている商品の一部で、投資家が発行体の正式な株主として扱われないという問題があります。
DriveWealthのナウリーン・ハッサンCEOは「現在『トークン化株式』として販売されているものの多くは、実際には株式ではない。投資家は株式を所有していると思っているが、実際には所有していない」と述べました。
同氏はその解決策として、発行体スポンサー型であれば、取引基盤をオンチェーンへ移しても実際の株式所有や議決権、コーポレートアクションに関する権利を維持できるとの考えを示しています。
連合はこの仕組みを通じて、オンチェーン取引へ移行した後も、発行体が管理する株主情報と実際の保有関係を一致させる市場モデルを目指す方針です。
米上場株のオンチェーン取引に道筋
こうした株主権の維持はSEC(米証券取引委員会)の制度措置でも重要な条件となっており、SECは2026年9月17日、トークン化されたNMS(全米市場システム)銘柄を対象とする「Innovation Exemption(イノベーション免除)」を発表しました。
この措置では一定の条件下で米国上場株式のオンチェーン取引が認められる一方、取引所などには、トークン化された株式が対応する従来株式と同じ権利や特権を保有者に与えていることの確認が求められます。
免除措置の適用期間は5年間で、SECは制度の今後のあり方についてパブリックコメントも募集しています。
Bullishのトム・ファーリーCEOも「現在構築する市場アーキテクチャが重要だ」と指摘し、発行体と株主の関係を保ちながらブロックチェーン技術を取り入れる必要があるとの考えを示しました。
4領域の標準策定とインフラ整備へ
発表によれば、IST Coalitionは今後、「発行体と株主の権利保全」「既存市場との相互運用性」「導入に必要なインフラ整備」「市場参加者の拡大」という4領域を中心に活動するとしています。
| 領域 | 概要 |
|---|---|
| 発行体・株主権の保全 | トークン化証券の法的権利・投資家保護を従来株式と同等に維持する規制モデルの推進 |
| 相互運用性の構築 | 従来の清算・決済インフラとブロックチェーンをつなぐ共通技術・運用アプローチの策定 |
| 導入基盤の整備 | 発行・移転・決済・カストディ・流通市場取引に関する規制・運用・商業要件への対応 |
| 市場エコシステムの拡大 | 発行体からブローカー・ディーラー、取引所、名義書換代理人まで幅広い参加者の招集 |
こうした取り組みの一環として、ブロックチェーンやスマートコントラクトのアーキテクチャ評価、相互運用性標準の策定、規制・コンプライアンス要件の分析、プロトタイプや実証実験も進める方針となっています。
BullishとEquinitiはすでに、発行体の公式株主名簿を維持しながら、既存の資本市場インフラとブロックチェーン市場を接続する基盤の開発を進めています。
Bullishは2026年5月、Equinitiを42億ドル(約6,600億円)で買収することで合意しており、買収後のプラットフォームではトークン化証券の発行から株主名簿の管理、取引までを一貫して扱う計画です。
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IST連合、10月NYSEで初の会合
こうした取り組みを次の段階へ進めるため、IST Coalitionのメンバーは10月27日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で発行体や資本市場の関係者と会合を開く予定となっています。
会合では、上場企業がトークン化にどう取り組むかに加え、発行体スポンサー型を支える市場インフラや、既存の証券市場とブロックチェーンを接続する方法について議論するとしています。
連合側は今後数週間のうちに追加の参加企業や新たな取り組みも発表する方針で、発行体スポンサー型の市場基盤づくりをさらに進める構えを示しています。
トークン化証券を発行体の公式株主名簿と結び付け、従来株式と同等の権利を維持できる市場モデルをどこまで具体化できるか、10月のNYSE会合が次の議論の場となる見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.30 円)
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Source:Bullish公式発表
サムネイル:AIによる生成画像
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