量子耐性の共通基準策定へ、ブロックチェーン9組織が新団体を設立

この記事の要点

  • 業界9組織が量子耐性の共通基準策定へ新団体設立
  • 458兆円規模の暗号資産市場に量子攻撃リスク

まずは仮想通貨量子リスクを詳しく

ブロックチェーン量子対策で9組織が結束

ブロックチェーン業界の9組織が2026年10月16日、量子コンピュータによる暗号解読の脅威に備え、ポスト量子(耐量子)暗号の業界標準を策定する団体「Quantum Alliance」の設立を発表しました。

同アライアンスは、ブロックチェーン・ウォレット・関連インフラに求められる量子耐性を定義し、安全性を評価するための共通基準や検証方法を公開する方針です。

標準化が求められる背景には、ビットコイン(BTC)を含む主要ブロックチェーンで広く使われる楕円曲線暗号が、将来的に量子コンピュータによって解読されるおそれがあるという問題があります。

創設メンバーHackenの報告によると、仮想通貨(暗号資産)市場の約2.9兆ドル(約460兆円)が従来型の暗号方式に依存しており、量子攻撃への対策は特定のネットワークだけでなく、取引所やウォレットなどにも関わる課題となっています。

Quantum Allianceは、こうした業界全体に及ぶリスクを踏まえ、取引所・カストディアン・開発者・資産保有者が各プロジェクトの量子耐性を共通の尺度で評価し、移行に向けた判断を行える環境の構築を目指しています。

量子脅威と業界横断の対策体制

量子攻撃の実現予測が前倒し

2026年には、ビットコインなどで使われる楕円曲線暗号の解読に必要な計算資源について、従来の推定値を大幅に引き下げる研究成果が相次いで公表されました。

3月31日にGoogle Quantum AIが公表した研究結果では、イーサリアム財団・スタンフォード大学の研究者らとの共同研究により、256ビット楕円曲線暗号の解読に必要な物理量子ビット数が従来推定の約20分の1となる50万未満で済む可能性を示しています。

9月8日にはIonQも、約2万個の物理量子ビットを備えた耐障害性トラップイオン量子コンピュータで、ビットコインが採用する楕円曲線暗号「secp256k1」を約26日間で解読できるとする設計図を発表しました。

こうした研究が進むなか、Quantum Allianceの創設メンバーであるPostquant Labsの共同創業者らが開発した予測モデル「Quantum Doom Clock」は、暗号解読が可能な量子コンピュータの登場時期を2028年3月と予測しています。

開発・監査・ウォレットの9社が参画

量子攻撃に備えた業界共通基準の策定には、ブロックチェーン開発・プライバシーネットワーク・ウォレット製造・セキュリティ監査など、異なる技術分野の9組織が創設メンバーとして参加しています。

参加組織は、Quip Networkを開発するPostquant Labsのほか、Abelian、American Fortress、Hacken、Intmax、Keystone、Midnight財団、Quantus、The Vaultで、Postquant Labsからは共同創業者のコルトン・ディリオン氏とリチャード・カーバック博士が名を連ねました。

こうした異なる技術基盤を持つ組織の間で共通基準を策定するため、運営にはインターネット技術の標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)をモデルとする方式を取り入れ、創設メンバー以外の個人にも参加を認めるとしています。

提案の採用にあたっては、公開された検証結果や参加者間の大まかな合意、実際に動作する実装を重視する方針で、セキュリティ監査を手がけるHackenも同ブログで公開テスト基準やベンチマークの策定に貢献する意向を表明しました。

4部会で量子対策基準を策定

同発表によると、標準化を担う作業部会は「ブロックチェーン移行」「ウォレットセキュリティ」「ポスト量子ゼロ知識証明」「クロスチェーン互換性」の4分野に分かれており、それぞれの技術領域で共通仕様や評価方法を策定する方針です。

ブロックチェーン移行部会では、稼働中のネットワークで資金や暗号鍵をポスト量子方式へ移すための参照設計を策定し、公開鍵が露出したアドレスや休眠アカウントの扱いも検討対象としています。

資産移行に関わるウォレットの安全性については、暗号鍵の生成・保管・署名方法の標準化を進めるほか、プライバシーネットワークやロールアップで用いられるゼロ知識証明についても、量子攻撃への耐性と性能を評価する計画です。

クロスチェーン互換性部会では、異なるブロックチェーン間でウォレット・ブリッジ・ハードウェアサイナーがポスト量子鍵を共通の方法で扱うための技術仕様を策定するとしています。

ビットコインの量子移行に残る課題

ポスト量子暗号の標準化はすでに進んでおり、米国立標準技術研究所(NIST)は2024年8月13日、デジタル署名に用いる「ML-DSA」「SLH-DSA」などを含む最初の3つの標準を公表し、既存システムへの導入を呼びかけました。

ブロックチェーンでは、こうした耐量子方式への移行が課題となっており、ビットコインでも2026年4月に量子攻撃に脆弱な署名方式の段階的廃止を提案する「BIP-361」が公開されましたが、現在も草案段階にとどまっています。

既存資産への量子リスクについては、ブロックチェーン分析企業Glassnodeが2026年5月、ビットコインの30.2%にあたる604万BTCで公開鍵が露出しているとする分析結果を公表し、アドレス形式や利用状況によって脆弱性が異なる実態を明らかにしました。

既存資産の保護や署名方式の変更にはネットワークごとの技術的な課題が残されており、Quantum Allianceが策定する共通基準についても、実際の導入に向けて各ブロックチェーンの開発者やウォレット事業者による検討が求められます。

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Source:Quip Network公式ブログ
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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