
この記事の要点
- SEC、トークン化米国株のオンチェーン取引に5年免除
- ピアース委員が免除を評価、金融監視改革も提言
ピアース委員、トークン化証券の新免除を評価
米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は2026年9月23日、ニューヨークで開かれたデジタル資産カンファレンスで講演し、SECが9月17日に発表したトークン化証券向けの「イノベーション免除」を評価しました。
SECの決定によると、この措置ではトークン化された米国上場株式(NMS株式)を、AMM(自動マーケットメイカー)や流動性プールを通じてオンチェーンで取引できるようになります。
対象となる取引の場や流動性供給者には一定の規制免除が認められる一方、恒久的な制度ではなく、条件を設けた時限的な枠組みとして導入されました。
免除の有効期間は5年間とされており、ピアース氏はアトキンス委員長の言葉を引用しながら、この措置を「恒久的なルール策定に向けた橋渡し」と位置づけています。
トークン化株式、SECが時限付き免除を発令
規制免除の対象範囲と金融監視の改革案を提示
トークン化証券ベニュー(TSV)に規制免除
ピアース氏によると、免除の対象には「トークン化証券ベニュー(TSV)」と呼ばれる取引の場に加え、そこで自己資金を使って流動性を供給する一定の事業者が含まれています。
TSVには証券取引所に関する規制の一部が免除され、一定の流動性供給者についてもディーラー規制から条件付きで除外されます。
あわせて、取引できる銘柄数や取引量には上限が設けられ、トークン化された株式には原株式と同等の権利を備えることが求められています。
ピアース委員「国内に受け皿を作るべき」
ピアース氏は講演で、トークン化証券の導入にあたっては、世界有数の流動性を持つ米国株式市場の円滑な機能を損なわないことが重要だと述べました。
同氏は、トークン化の流れ自体は避けられないとの見方を示し、米国内に受け皿がなければ、海外市場で米国株に連動するトークン化商品が広がる可能性に言及しました。
こうした状況を踏まえ、海外だけに市場が形成されるよりも、米国内の規制下でトークン化証券の取引を育てる方が望ましいとの考えを示しています。
ゼロ知識証明でKYC・AML改革を提言
講演の後半では金融監視にも話題を移し、ピアース氏は現在のKYC(顧客確認)やAML(マネーロンダリング対策)が、大量の個人情報を集める発想に依存していると問題提起しました。
同氏は、データという「干し草の山」を大きくし続ければ、犯罪者という「針」を探し出すことがかえって難しくなると述べ、現在の監視手法のコストと効果を見直す必要があるとの考えを示しています。
代替策として同氏は、氏名や収入、住所などを明かさず、必要な条件を満たしている事実だけを証明できるゼロ知識証明や、必要な属性だけを確認できる電子証明の活用を挙げました。
ピアース氏は、パブリックブロックチェーンが公開監査可能な取引記録を残す点にも触れ、新しい技術を取り入れることで、個人のプライバシーを守りながら違法行為の摘発を進められる可能性があると訴えました。
CFTC「大規模トークン化に備える」
免除は5年限定、恒久的な規制整備を視野に
SECはこれまで、株価に連動するトークンの取引を含め、トークン化証券を既存の証券規制の枠内で扱うための制度整備を進めてきました。
こうした制度整備が続くなか、今回のイノベーション免除では、正式な規則づくりに先立って市場から意見を集める手続きも設けられています。
SECは現在、免除の内容についてパブリックコメントを募集しており、寄せられた意見を踏まえて制度の修正や追加措置を検討する方針を示しています。
免除は5年間で失効するため、その間の運用状況や市場参加者からの意見を基に、トークン化証券を対象とする恒久的なルール策定が検討される見通しです。
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Source:ヘスター・ピアース委員講演
サムネイル:AIによる生成画像
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