IMF専務理事「ステーブルコイン規制は国際協調で」3つの課題を提示

この記事の要点

  • IMF専務理事、ステーブルコイン規制の国際協調を提唱
  • 「規制・新興国・発行国」の3つの政策課題を提示

ステーブルコイン規制で国際協調を提唱

IMF(国際通貨基金)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は2026年8月28日、ジャクソンホール経済政策シンポジウムで講演し、ステーブルコインとトークン化の普及には国際的に協調した規制対応が欠かせないとの見方を示しました

同氏は、金融システムの流動性が高まればリスクの伝播も速まり、政策判断を誤った際の市場の反応も厳しくなるとして、健全な規制とマクロ経済政策の重要性が一段と増していると指摘しています。

こうした環境では中央銀行が本来の役割を果たすことも重要だとして、物価安定に集中するよう求めるとともに、「財政救済に乗り出すマネタリー・カウボーイになってはならない」と述べ、金融政策による財政の穴埋めを行うべきではないとの考えを示しています。

そのうえでゲオルギエバ氏は、ステーブルコインが各国にもたらす政策課題を「規制」「新興国」「発行国」の3つに整理し、それぞれの領域で必要となる対応を挙げました。

IMFが示す3課題「規制・新興国・発行国」

規制の抜け穴防止と銀行仲介排除の懸念

ゲオルギエバ氏は、ステーブルコインが「ブロックチェーン上の現金」として普及するのであれば、どのような状況でも額面どおりに償還できることが重要だと指摘しました。

その信頼を維持するには準備資産の安全性と流動性を確保する厳格なルールが欠かせないとして、各国が足並みをそろえて基準を整備し、共通の規制枠組みを構築することが望ましいとの考えを示しています。

国によって規制水準に差があれば、事業者が規制の緩い地域へ移る動きも生じるため、類似する金融商品には同等のルールを適用し、規制裁定を防ぐ必要があるとしています。

一方、ステーブルコインとの競争が銀行サービスの改善につながることは歓迎しつつ、銀行から預金が流出して調達コストが上昇すれば、家計や中小企業への融資が縮小する「過度な銀行仲介排除」を招く恐れがあると警鐘を鳴らしました。

新興国の資本規制が抱えるリスク

ゲオルギエバ氏は、新興国ではステーブルコインの普及により、脱税による税収減や通貨代替による金融政策の弱まり、資本規制の実効性低下が生じる恐れがあると指摘しました。

なかでも資本規制にはIMF加盟国の約4分の1が今なお依存しており、その一部では金融抑圧(政府が国内貯蓄者に低利の国債購入などを強いる仕組み)によって政府の借入負担を国民に転嫁していると説明しています。

こうした国でステーブルコインを通じて資本規制を回避できるようになれば、通貨代替や不安定な資本移動が進み、為替の安定や金融主権まで損なわれる恐れがあると指摘しました。

そのため中央銀行には、銀行システムの健全性を監督するとともに、ステーブルコイン仲介業者を適切に規制し、急激な資金流出に備えて外貨準備を積み増すよう求めています。

ゲオルギエバ氏は、多くの新興国が財政ルールの整備や中央銀行の独立性強化を進めてきた実績にも触れ、手厚い財政支援が続いたことで財政再建への意欲が弱まっているとして、「今ここで緩めれば代償は大きい」と警告しました。

発行国の財政悪化が世界金利を押し上げる

一方、ステーブルコインを利用する国だけでなく、裏付け資産を発行する国にも責任があるとして、ゲオルギエバ氏は基軸通貨ドルを供給する米国の財政運営にも言及しました。

経済学者ケネス・ロゴフ氏の分析を引き、ドル建てステーブルコインは米国外にあるとされる約15兆ドル(約2,400兆円)規模のドル資金を取り込む手段になり得ると述べています。

こうした需要が米国の資金調達コストを押し下げる可能性はあるものの、その効果には限界があり、「責任あるマクロ経済政策運営の代わりにはならない」と明言しました。

その背景として、米国・フランス・日本の10年国債利回りがそれぞれ2007年・2008年・1996年以来の水準に達していることを挙げ、先進国で財政規律を維持する重要性を強調しています。

先進国で公的債務が膨らみ続ければ、借入コストの上昇を通じて世界の金利水準を押し上げ、新興国が縮めてきたスプレッド(上乗せ金利)の改善まで相殺しかねないと警告しました。

さらに、財政悪化を金融政策で支えれば中央銀行が「財政支配」(財政の都合が金融政策を縛る状態)に陥る恐れもあるとして、金融政策による穴埋めを避け、歳出削減と増税による財政再建を進めるべきだと訴えました。

繰り返されるIMF警告と進む法整備

IMFは以前からステーブルコインへの警戒を示しており、2026年8月7日にはダン・カッツ筆頭副専務理事が南アフリカ・ケープタウン大学での講演で新興国へのリスクに言及しています。

カッツ氏は、自国通貨建てステーブルコインの普及を促しても、米ドル建てトークンへの移行を防げるとは限らず、かえって各国のドル化を加速させる恐れがあるとの見方を示しました。

一方、各国ではステーブルコインを含む仮想通貨の制度整備が進んでおり、米国では2025年7月にGENIUS法が成立し、市場構造を扱うCLARITY法案(クラリティ法案)の上院審議も続いています。

ステーブルコインの普及と規制整備が並行して進むなか、ゲオルギエバ氏は今回の講演を通じて、一国ごとの規制だけではなく、各国が協調して対応する必要性を改めて示しました。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.99 円)

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Source:IMF講演
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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