BTCウォレット「Coldcard」流出140億円規模に、3波目を確認

この記事の要点

  • Galaxy Researchが3回目の資金流出を確認、被害総額は約140億円に拡大
  • 乱数生成の欠陥を悪用した攻撃が続き、利用者に緊急対応と資産移動を呼びかけ

Coldcard被害拡大、約140億円に

Galaxy Research(ギャラクシー・リサーチ)は2026年8月1日、ビットコイン向けハードウェアウォレット「Coldcard(コールドカード)」で発生した乱数生成の欠陥を悪用した攻撃について、3回目の資金流出を確認し、観測ベースの被害総額を1,367.05BTC(8,860万ドル/140億円相当)引き上げました。

同社の集計対象は4,585アドレスに広がり、Chainalysis(チェイナリシス)が7月31日時点で3,800万ドル(約60億円)、500ウォレットとした集計を上回っています。

被害の集計を続けるギャラクシー・リサーチは、攻撃が現在も続いているとして、コールドカードの単一署名(シングルシグ)ウォレットに置かれた資金を直ちに安全な場所へ移すよう利用者に呼びかけました。

一方、JAN3(ジャンスリー)のCEOを務めるサムソン・モウ氏は同日、コールドカードの乱数生成の欠陥で資産を失った利用者に向けて、5つの緊急対応手順をXで公開しました。

モウ氏は、被害の拡大を受けて、事実関係の記録、被害届の提出、資金追跡の監視、端末とシードフレーズ(ウォレット復元用の単語列)の保全、復旧詐欺の回避を優先すべき対応として挙げています。

(前略)何人かの方から「今後どうすればいいのか」という相談を受けました。私なら次のように行動することを勧めます。

1⃣ 分かっている事実をすべて記録する
日時、アドレス、ファームウェアのバージョンなど、把握している情報をできるだけ詳細に書き残してください。

2⃣ 警察へ被害届を提出する
公的な記録を残すことは、さまざまな場面で役立ちます。可能であれば、サイバー犯罪対策部門や、各国のオンライン通報窓口(米国であればFBIのIC3など)、暗号資産犯罪を専門とする捜査機関にも連絡してください。

3⃣ 資金の追跡活動を注視する
盗まれた資金の移動を追跡するための共同調査やコミュニティの取り組みが始まる可能性があります。そうした動きを確認してください。

4⃣ COLDCARD本体やシードフレーズは処分しない
今後、盗難資金が取引所へ送金され凍結された場合、自分が正当な所有者であることを証明しなければならない可能性があります。そのため、COLDCARD本体とシードフレーズは必ず保管してください。
PINコードも忘れないように記録しておきましょう。長期間使わないと、思い出せなくなることがあります。

5⃣ これは非常に重要です
個人情報やシードフレーズを誰にも教えないでください。また、「資金を取り戻せる」と称する人物にお金を送ってはいけません。
被害者の焦りにつけ込む詐欺師が必ず現れます。

(後略)

乱数生成エラーが招いた大規模流出

ビルド通過した設定ミスの構造

こうした被害の起点について、米Block(ブロック)のビットコイン技術・セキュリティ両チームは2026年7月30日、コールドカードのファームウェアに乱数生成器(RNG)の統合エラーがあるとする技術レポートを公開しました。

同レポートによると、基板側の設定でMICROPY_HW_ENABLE_RNGが0と定義されていた一方、暗号ライブラリlibnguはマクロの値ではなく定義の有無だけを確認していたため、ビルドは止まらずに通過していました。

その結果、シード生成はハードウェアの乱数生成器ではなく、チップ固有の識別番号(UID)やタイマーの値で初期化される予備の生成器「Yasmarang(ヤスマラン)」を利用する状態になっていたと記されています。

レポートでは、攻撃者が初期値を絞り込めば、候補となるシードを生成し、公開中のブロックチェーン上のアドレスと照合するだけで、一致する秘密鍵を特定できると指摘しました。

この誤った接続は2021年3月1日のコード変更で入り込み、同年3月17日公開のファームウェアv4.0.0から実際の製品に載って出荷されたと、同レポートは時系列を整理しています。

流出3波、4,585アドレスに拡大

この欠陥を突いた流出について、Chainalysisは7月31日、攻撃開始から10分間で累計約3,000万ドル(約47億円)が抜き取られ、25分間で500のウォレットに被害が及んだとする分析を公開しました。

同社によると、被害額上位10ウォレットのうち3件は10BTC(63万6,000ドル/1億円相当)以上を保有しており、最大の被害者は約180万ドル(約2億8,600万円)を失っています。

Chainalysisの分析に続き、Galaxy Researchも同日、7月30日1時10分から41分間で1,196アドレスから1,082.65BTC(7,020万ドル/110億円相当)が流出したとする第1波の集計を公表しました。

Galaxy Researchはその後も調査を続け、翌8月1日には同一犯によるとみられる第2波を確認し、さらに第3波の流出も報告しています。

公表日 集計主体 流出規模 対象
7月31日 Chainalysis 3,800万ドル超(約60億円) 500ウォレット
7月31日 Galaxy Research(第1波) 1,082.65 BTC(7,020万ドル相当) 1,196アドレス
8月1日 Galaxy Research(第2波まで) 1,158.81 BTC(7,510万ドル相当) 2,673アドレス
8月1日 Galaxy Research(第3波まで) 1,367.05 BTC(8,860万ドル相当) 4,585アドレス

Galaxy Researchによれば、攻撃者側に渡ったビットコインのうち1,366.3865 BTCが、8月1日時点でも使われないまま攻撃者のアドレスに滞留しています。

あわせて同社は、攻撃者のものとみられる約600のアドレスを、連邦捜査当局や業界のコンプライアンス企業、サイバーセキュリティの調査機関へ報告したと明らかにしました。

広がる対象機種、保有者の確認点

開発元のCoinkite(コインカイト)は8月1日、勧告を更新し、Mk2・Mk3のファームウェア4.0.1〜4.1.9に加え、修正版より前のMk4・Mk5・Qで生成したシードも対象になると明記しました。

更新後の勧告では、対象となるMk4・Mk5・Qのシードは想定される128ビットではなく、約72ビットのエントロピー(乱数の予測しにくさ)しか持たないと説明されています。

修正版はMk2・Mk3向けの4.2.0、Mk4・Mk5向けの5.6.0、Q向けの1.5.0Qなど全対象機種に公開されたものの、更新しても生成済みのシードは影響を受けた状態のまま残ると注意を促しています。

一方でCoinkiteは、シード作成時に50回以上の独立したサイコロ入力を加えていた場合、この問題単独では当該シードを危険とはみなさないとの整理も示しました。

Blockは、脆弱な端末だけで構成したマルチシグ(複数署名)では影響がそのまま残るため、安全な端末で定足数を確保する必要があると指摘しました。

リスクの有無を分ける基準は端末の製造時期ではなく、シードを生成した時点で動いていたファームウェアのバージョンだと、Blockのレポートは強調しています。

攻撃手口は変化、単一ベンダー依存に警鐘

攻撃の手口をめぐってはGalaxy Researchが、第1波と第2波が同じ送金先形式や似た取引パターンを踏んでいたのに対し、第3波は異なるP2WSH形式(条件付きの送金先形式)を使ったと分析しています。

同社は、第1波と第2波を同一犯とみる根拠はあくまで取引の類似性にとどまると断ったうえで、第3波まで同じ攻撃者によるものと断定できる段階にはないとの見方も示しました。

こうした被害の広がりを受けてモウ氏は、単一のベンダーに依存しないマルチベンダーのマルチシグ構成を推奨し、自己管理は単一障害点(1カ所の欠陥が全体に及ぶ弱点)を減らす形で運用してこそ機能すると訴えました。

CoinkiteとGalaxy Researchはいずれも調査を継続しており、攻撃者アドレスの動向や追加の調査結果が待たれています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.34 円)

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Source:Galaxy Research X投稿 / サムソン・モウ氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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