国税庁、暗号資産取引の申告漏れ「156億円」を公表|令和6年度の追徴税額は46億円に

暗号資産の申告漏れ急増、国税庁が警鐘

国税庁は2025年12月11日、令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の所得税及び消費税の調査状況を公表しました。

今回公表された調査結果の中でも、特に注目されたのが暗号資産(仮想通貨)取引を行う個人に対する実地調査で、その件数は613件に上り、申告漏れ所得金額の総額は156億円、追徴税額の総額は46億円に達しました。

国税庁資料によると、前事務年度(令和5事務年度)の実績(535件・35億円)に対し、調査件数は約14.6%増加し、追徴税額は約31.4%増となりました。1件当たりの追徴税額も平均745万円に達し、所得税実地調査全体の平均(299万円)の約2.5倍となっています。

国税庁は暗号資産取引を含むインターネット取引について資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しており、暗号資産分野の申告漏れに対する取締りを強化する姿勢を示しています。

追徴増加で浮き彫りに、暗号資産課税の実態

暗号資産調査にAI導入、摘発率93%超

国税庁資料の画像画像:国税庁資料

国税庁によれば、暗号資産取引の税務調査では、1件当たりの申告漏れ所得金額が平均2,538万円と高額で、所得税実地調査全体の平均(1,486万円)を大きく上回っています。

同庁では調査全体にAI(人工知能)を活用した対象者の選定を導入しており、暗号資産取引を含む実地調査と簡易な接触を合わせた追徴税額は過去最高を記録しています。

暗号資産取引に関する調査の結果、対象者の93.8%(575件)に申告漏れなどの非違行為が見つかっており、こうした高い違反率が国税当局による摘発強化の一因と見られています。

このような高い違反率の背景には、損益計算の正確性やDeFi(分散型金融)エアドロップなど特殊な取引の処理の難しさがあり、税務調査ではこれらが重点的にチェックされます。

暗号資産取引で注意すべき申告ポイント

複数の取引所を利用している場合は全ての取引を合算して申告する必要があり、一部のみの申告では申告漏れと見なされるケースがあります。

また、マイニングステーキングで得た報酬も適切な時期に申告を行う必要があり、これらが遵守されず申告漏れが発覚した場合、本来の税額に加えて延滞税・加算税が課されます。

さらに、無申告だった場合には最大20%の無申告加算税、意図的な隠蔽には35〜40%の重加算税が科される可能性があります。

国税庁の調査では、所得税無申告者の1件当たり追徴税額が524万円と過去最高に達しており、非申告者への対応が一層厳格化していることが示されました。

暗号資産の金商法移行、金融庁が正式発表

金商法でインサイダー取引も規制対象に

税制改正の動きと並行して、金融規制の面でも新たな動きが見られています。

金融庁の審議会ワーキンググループは2025年12月10日、暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移行させる方針を正式決定しました。

暗号資産が決済手段ではなく投資対象として利用されている実態を踏まえ、投資者保護の強化を図る狙いがあります。

この方針に基づき、新たな規制の下ではインサイダー取引の禁止や価格操作などの厳しい規制が暗号資産取引にも適用されます。

金融機関の参入解禁で取引拡大に期待

一方で、銀行や保険会社による暗号資産の自己保有が条件付きで解禁されるなど、市場拡大を後押しする措置も盛り込まれました。

金融庁はこの報告を踏まえた金融商品取引法改正案を作成し、次期通常国会への提出を目指す方針です。

こうした制度整備が進めば、日本の暗号資産市場は世界で厳格かつ透明性の高い市場となり、グローバルなWeb3ハブへの一歩になると期待されています。

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Source:国税庁資料
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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