トランプ・メディア、ビットコインとイーサリアムの複合ETFを申請|投資機会を拡大
トランプ陣営、BTC・ETH複合ETFを申請
米ドナルド・トランプ大統領が創設に関与したメディア企業「トランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMTG)」は2025年6月16日、ビットコインとイーサリアム複合型ETFの申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出しました。
提出書類によると、このETFは「Truth Social Bitcoin and Ethereum ETF」と命名されており、信託を通じてビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物を保有し、両銘柄の価格パフォーマンスに連動することを目指しています。
また、運用開始時は運用資産の75%をビットコイン、25%をイーサリアムに配分する計画で、1つのETFで主要な2つの仮想通貨に投資できる内容となっています。
TMTGは直近2週間で2件目となる仮想通貨ETF申請を行っており、承認されれば先行する「Truth Social Bitcoin ETF」と併せて市場に投入される予定となっています。
独自トークンとウォレット導入を検討
Truth Social複合ETFの構成と戦略的狙い
提出された登録書類によると、このETFはネバダ州に設立されたビジネストラストを通じて運用され、資産運用会社のヨークビル・アメリカ・デジタル(Yorkville America Digital)がスポンサーを務めます。
ビットコインとイーサリアムの現物は、仮想通貨関連サービスを展開している「Crypto.com」の関連会社Foris DAX Trust Companyが資産の保管管理(カストディ)を担い、ETFの証券はニューヨーク証券取引所Arca(NYSE Arca)への上場が予定されています。
このETFは、投資家にビットコインとイーサリアム双方への投資機会を提供し、仮想通貨の直接保有に伴う手続きの複雑さを軽減することを目的としています。
市場の専門家は、大手資産運用会社がすでに参入している仮想通貨ETF市場で、新規参入のTMTGが投資家の関心を引くには、低手数料の設定やトランプ氏の知名度を活かしたブランド戦略など、明確な差別化策が必要との見方を示しています。
Truth Socialの名称を冠したこのETFは、トランプ氏の支持者層など個人投資家に直接訴求するマーケティング展開によって独自の需要を喚起する可能性も指摘されています。
「米国株×仮想通貨」複合型ETFを提供
トランプ陣営、仮想通貨事業を加速
トランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMTG)は直近で仮想通貨分野への取り組みを急速に拡大させています。
ビットコイン購入計画を発表
2025年5月下旬には株式売却と転換社債発行によって25億ドル(約3,630億円)を調達し、ビットコイン購入計画を公式に発表しました。
調達した資金で取得するビットコインは同社のバランスシート(貸借対照表)に組み入れられ、カストディは米国のAnchorage DigitalやCrypto.comが担当する予定です。
TMTGのデビン・ヌネス最高経営責任者(CEO)は「ビットコインは金融の自由を象徴する重要な資産」と評価し、この巨額投資について「アメリカ第一主義の方針に沿った重要な一歩」と語っています。
TMTG、Crypto.comらとETF展開へ
TMTGは新たな金融サービス戦略としてフィンテック部門「Truth.Fi」を立ち上げ、仮想通貨やETFなどへの資産運用を開始する計画も打ち出しました。
また同社は2025年3月に、シンガポールを拠点とする大手仮想通貨企業Crypto.comおよび資産運用会社Yorkville Digitalと提携し、仮想通貨と米国企業株を組み合わせたシリーズETFを共同開発する契約を締結しました。
これらのETF商品は「Made in America(メイド・イン・アメリカ)」をコンセプトに掲げ、2025年中の提供開始を目指すと報じられています。
Truth Socialにウォレット機能追加を検討
さらに、同社が運営するSNS「Truth Social」において独自トークンの発行や仮想通貨ウォレット機能の導入を検討していることも明らかになっています。
TMTGは2025年4月29日付の株主向け書簡で、動画サービス「Truth+」の月額課金支払いに利用可能なユーティリティトークンの発行や、ユーザーへの報酬として仮想通貨を提供する計画を明らかにしました。
仮想通貨戦略で注目されるトランプ陣営
トランプ氏一族による仮想通貨プロジェクトも複数進行中です。
特に分散型金融(DeFi)プラットフォームのワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)では独自の米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」を発行し、短期間で数億ドル規模の資金を集めています。
こうした積極的な仮想通貨分野への展開は米議会からも注視されており、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が最近、SECに対してTMTGのETF計画に対する監督方針の説明を求めたと報じられています。
一方、4月に就任したポール・アトキンス新SEC委員長は上院公聴会で「仮想通貨に対して合理的で一貫性のある規制の枠組みを整備すること」を最優先課題に掲げており、同氏の就任によって米国における規制の明確化や関連ETF承認への期待も高まっています。
今後もTMTGの仮想通貨戦略と規制当局の動向に業界から大きな関心が集まると予想されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.10 円)
トランプ関連の注目記事はこちら
Source:SEC提出書類
サムネイル:AIによる生成画像