SBI・住友商事がステーブルコイン向け新チェーンに参加。2社の異なる狙いを分析

※本記事は、2026年8月6日時点で確認できたCircle、SBIホールディングス、SBI VCトレード、住友商事などの公開情報をもとに作成しています。

※SBIグループと住友商事によるArcの具体的な利用計画は、現時点では公表されていません。本記事には、公開情報と各社の事業内容をもとにした分析を含みます。

 

SBIグループと住友商事が、ステーブルコインや金融取引向けの新しいブロックチェーン「Arc」の創設バリデーターに参加します。

Arcは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を発行するCircleグループが開発を進めるブロックチェーンです。

 

企業間決済、海外送金、外国為替など、実際の金融やビジネスでステーブルコインを利用するためのネットワークとして開発されています。

SBIグループと住友商事は、Arc上の取引が正しいかを確認し、ネットワークの安全性を支える「創設バリデーター」に加わりました。

 

同じ日本企業でも、Arcとの接点は異なると考えられます。

SBIグループは銀行、証券、暗号資産などの金融事業を持ち、USDCの国内普及も進めています。一方、住友商事は世界各地で商取引を行う総合商社として、企業間決済などにArcを活用できるか検討できる立場にあります。

 

SBIは金融サービス側、住友商事は実際の商取引側から、新しい決済ネットワークへ関わる構図です。

ただし、住友商事がArcを企業間決済や海外送金に利用すると正式に発表したわけではありません。本記事では、現在公表されている情報をもとに、2社にとってArcへ参加する意味を読み解きます。

 

SBI VCトレード公式サイトでUSDCの取引条件を確認する

Circleの新チェーン「Arc」とは?ステーブルコイン向けの決済ネットワーク

Arcは、ステーブルコインを使った送金や企業間決済などを、短時間で処理するために開発されているブロックチェーンです。

USDCを発行するCircleグループが開発を進めています。

 

USDCとは、1USDCの価値が1米ドルに連動することを目指して発行されているステーブルコインです。

Arcでは、取引手数料の支払いにもUSDCを使用します。

 

一般的なブロックチェーンでは、手数料を支払うためにETHなど価格が変動する暗号資産を用意することがあります。

ArcではUSDCで手数料を支払うため、企業は費用を米ドル単位で把握しやすくなります。

 

Arcの特徴 一般的な利用者向けの説明
USDCで手数料を支払う 手数料の金額を米ドル単位で把握しやすい
短時間で取引が完了する設計 送金や決済を素早く処理できる可能性がある
許可を得た企業が取引を検証する 金融機関が求める安全性や運用体制を重視している
複数の金融サービスを想定する 送金だけでなく、外国為替、融資、金融商品にも利用できる可能性がある

 

Arcは、仮想通貨を売買するためだけのネットワークではありません。

企業間の支払い、海外送金、外貨交換、資金管理など、実際の金融やビジネスで利用することを想定している点が特徴です。

 

Arcは現在、100を超える企業や機関などが構築に関わる、限定公開のプライベートメインネット段階にあります。

開発者や企業が利用できるパブリックテストネットは、2025年10月28日から公開されています。

 

誰でも接続できるパブリックメインネットは、2026年9月16日に公開される予定です。

ただし、Circleは機能や予定が変更、延期または中止される可能性があると説明しています。

 

項目 内容
ネットワーク名 Arc
開発 USDCを発行するCircleグループが推進
主な用途 送金、企業間決済、外国為替、金融商品など
現在の段階 限定公開のプライベートメインネット
パブリックテストネット 2025年10月28日から公開
パブリックメインネット公開予定 2026年9月16日
日本の創設バリデーター SBIグループ、住友商事

 

バリデーターとは?取引を確認して安全性を支える参加者

バリデーターとは、ブロックチェーン上で行われる取引を確認し、正しい記録かどうかを検証する参加者です。

銀行の決済システムでいえば、取引が正しく処理されたかを確認し、システムを安定して動かす役割に近いと考えると分かりやすいでしょう。

 

Arcでは、企業や開発者は原則として許可を得ずにサービスを開発できます。

一方、取引を検証するバリデーターへの参加は許可制です。

 

Circleは、金融機関や決済企業など、身元や運営体制を確認できる組織をバリデーターにすることで、金融サービスに求められる安全性、運用体制、コンプライアンス基準に対応しやすいネットワークを目指しています。

つまり、SBIグループと住友商事はArcを利用するだけでなく、取引の検証を通じてネットワークの安全性を支える側に入ったことになります。

SBIと住友商事がArcの創設バリデーターに参加

Circleは2026年8月5日、Arcの創設バリデーターを発表しました。

日本企業では、SBIグループと住友商事が参加します。

 

海外からは、BlackRock、Mastercard、Visa、MoneyGram、Standard Charteredなど、金融や決済に関わる大手企業も加わっています。

今回のポイントは、両社がサービスを試すだけではなく、取引の検証に参加し、ネットワークの安全性を支える企業として加わることです。

 

ただし、創設バリデーターへの参加は、SBIや住友商事による一般利用者向けサービスの開始を意味するものではありません。

両社がArcを使って、どのような商品やサービスを提供するかは現時点では発表されていません。

SBIはUSDCを日本の金融サービスへ広げている

SBIグループは、以前からUSDCの国内普及を進めてきました。

SBI VCトレードは2025年3月26日、日本国内で一般利用者向けのUSDC取引サービスを開始しています。

 

その後、SBIホールディングスは2025年8月、Circle側との合弁会社「SBI Circle Holdings」の設立を発表しました。

SBIホールディングスとSBI新生銀行は、Circleの上場時に合計5,000万ドル相当の同社株式も取得しています。

 

時期 SBIグループの主な取り組み
2023年11月 Circleとの業務提携に向けて基本合意
2025年3月 SBI VCトレードがUSDCの一般向け取扱いを開始
2025年6月 Circle株を合計5,000万ドル相当取得
2025年8月 Circle側との合弁会社「SBI Circle Holdings」の設立を発表
2026年5月 ARC Tokenのプレセールに参加
2026年8月 Arcの創設バリデーターとして参加

 

SBIは、USDCを取引所で取り扱うだけでなく、Circleへの出資、国内事業の開発、Arcの取引検証まで関与範囲を広げています。

SBIグループは、銀行、証券、保険、暗号資産、資産運用など、複数の金融事業を展開しています。

 

SBIはCircleへの出資時に、日本の既存金融サービスへUSDCを広く組み込むための基盤を構築する方針も示しました。

具体的にどの銀行や証券サービスへArcを導入するかは発表されていませんが、SBIにとってArcは、USDCを日本の金融サービスへ広げるための基盤になり得ると考えられます。

住友商事は実際の商取引から活用方法を探る?

住友商事は、2025年10月28日に公開されたArcのパブリックテストネット段階から参加していました。

その後、今回の発表で、取引の検証とネットワークの安全性を支える創設バリデーターに加わりました。

 

住友商事は、2026年3月31日時点で62カ国・地域に123拠点を持ち、商品・サービスの販売、輸出入、三国間取引、国内外への事業投資などを展開する総合商社です。

こうした事業では、取引先への支払い、代金の回収、通貨の交換、グループ会社間の資金移動などが発生します。

 

Arcが想定する企業間決済や海外送金は、総合商社の業務と接点を持つ可能性があります。

たとえば、海外の取引先への支払いを短時間で処理したり、営業時間に左右されずにグループ会社間で資金を移動したりする用途が考えられます。

 

ただし、これらはArcの機能と住友商事の事業内容から考えられる可能性です。

住友商事は、Arcをどの事業に利用するかを現時点では公表していません。

SBIと住友商事のArcとの接点はどう違う?

両社の立場を整理すると、次のようになります。

 

項目 SBIグループ 住友商事
主な事業 銀行、証券、保険、暗号資産など 商品・サービスの販売、輸出入、三国間取引、事業投資など
Arcとの関係 Circleへの出資、USDC取扱い、創設バリデーター テストネット参加、創設バリデーター
考えられる接点 USDCを金融サービスへ組み込む 企業間決済などで実用性を検討する
具体的なArcサービス 現時点では未発表 現時点では未発表

 

SBIは、USDCやArcを金融サービスとして提供する側に近い立場です。

住友商事は、世界各地で実際に商品やサービスを取引する事業会社として、Arcが企業活動に利用できるかを検討できる立場にあります。

 

金融サービスを展開するSBIと、世界規模の商流を持つ住友商事が同じネットワークに参加することで、金融と実際の企業取引を接続できるかが注目されます。

金融会社と商社が同じネットワークに参加する意味

新しい決済ネットワークを実際の経済活動へ広げるには、金融に関する知識と、取引現場の両方が必要です。

金融機関が参加することで、本人確認、資産管理、金融規制、取引の安全性など、金融サービスに必要な課題を検討できます。

 

一方、実際の商取引へ導入するには、貿易、物流、小売、企業間決済など、それぞれの現場で発生する課題への対応も必要です。

SBIと住友商事が同じネットワークに参加することで、金融サービスと実際の企業取引の両方から、Arcの使いやすさや課題を検討できる可能性があります。

 

ただし、SBIと住友商事が共同でArcを使った事業や実証実験を行うと発表したわけではありません。

現時点では、両社が同じネットワークの創設バリデーターに参加するという関係です。

日本の利用者にはどのような影響がある?

今回の発表によって、一般利用者がすぐにArcを使って買い物や海外送金をできるようになるわけではありません。

パブリックメインネットの公開も、SBIや住友商事による一般消費者向けサービスの開始を意味するものではありません。

 

各社が具体的なサービスを開始するには、システム開発、法令対応、本人確認、取引先との連携などが必要です。

そのため、創設バリデーターへの参加と、一般利用者向けサービスの開始は分けて考える必要があります。

 

将来的には、次のような変化につながる可能性があります。

 

  • 国内でUSDCを利用できるサービスが増える
  • 企業間の支払いや海外送金が短時間で処理される
  • 休日や営業時間外でも資金を移動できる
  • ステーブルコインを使った金融商品が増える
  • 日本円と外貨のステーブルコインを交換しやすくなる

 

ただし、これらは将来考えられる変化であり、サービス開始が決定したものではありません。

今後は、SBIと住友商事が具体的にどの事業へArcを取り入れるのかを確認する必要があります。

Arcの普及に向けた注意点

Arcには世界的な金融・決済企業が参加していますが、ネットワークの普及やサービスの成功が約束されたわけではありません。

住友商事の具体的な利用方法は未公表

住友商事がArcを企業間決済や海外送金へ利用すると正式に発表したわけではありません。

現段階で確認できるのは、パブリックテストネットへの参加後、創設バリデーターに加わったことまでです。

誰でもバリデーターになれるわけではない

Arcではサービスの開発には広く参加できますが、取引を検証するバリデーターへの参加は許可制です。

金融サービスに必要な安全性や運用体制を確保しやすい一方、誰でもネットワーク運営へ参加できるブロックチェーンより、特定の企業や機関の影響が大きくなる可能性があります。

日本の利用者向けサービスの開始時期は未定

Arcのパブリックメインネットは、2026年9月16日に公開される予定です。

ただし、Circleは機能や予定が変更、延期または中止される可能性があると説明しています。

 

SBIや住友商事による日本の一般利用者向けサービスの内容や開始時期も発表されていません。

 

SBI VCトレードではUSDCを取り扱っている

国内でUSDCを取り扱うSBIグループのサービスを利用したい人向け

 

SBI VCトレードは2025年3月26日、国内で一般利用者向けのUSDC取引サービスを開始しました。

SBI VCトレードで取り扱われるUSDCは、日本の資金決済法上、暗号資産ではなく「電子決済手段」に位置づけられます。

 

USDCは米ドルとの価値の連動を目指すステーブルコインですが、日本円で売買する場合の価格は為替相場の影響を受けます。

また、市場の需給や発行体などへの信用によって、価格が一時的に1米ドルから乖離する可能性があります。

 

売買方法、取引上限、対応するブロックチェーン、入出庫、手数料などの条件を確認したうえで利用しましょう。

 

SBI VCトレード

 

SBI VCトレード公式サイトで詳細を見る

よくある質問

Arcとは何ですか?

USDCを発行するCircleグループが開発を進める、ステーブルコインや金融取引向けのブロックチェーンです。

送金、企業間決済、外国為替、資金管理などへの利用が想定されています。

バリデーターとは何ですか?

ブロックチェーン上の取引を検証し、ネットワークの安全性を支える参加者です。

SBIグループと住友商事は、Arcの創設時から取引の検証に参加する企業として発表されました。

SBIはArcで何をするのですか?

具体的なサービスは発表されていません。

ただし、SBIはUSDCの国内取扱い、Circleとの合弁会社設立、Circleへの出資などを進めており、Arcを金融サービスへ活用する可能性があります。

住友商事はArcで何をするのですか?

具体的な利用計画は発表されていません。

世界各地で商取引を行う総合商社として、企業間決済や資金移動などでArcを利用できるか検討する可能性があります。

一般利用者はすぐにArcを利用できますか?

Arcのパブリックメインネットは、2026年9月16日に公開される予定です。

ただし、SBIや住友商事による一般利用者向けサービスの内容や開始時期は発表されていません。

まとめ:SBIは金融、住友商事は商取引から参加

SBIグループと住友商事が、ステーブルコインや金融取引向けのブロックチェーン「Arc」の創設バリデーターとして参加します。

Arcは、USDCを使った送金、企業間決済、外国為替、資金管理などに向けて開発されているネットワークです。

 

SBIグループは、USDCの国内取扱い、Circleとの合弁会社設立、Circleへの出資などを進めています。

そのため、金融サービスを提供する側から、USDCとArcの国内利用を広げる接点を持つと考えられます。

 

一方、住友商事の具体的な利用計画は公表されていません。

ただし、世界各地で商品・サービスの販売、輸出入、三国間取引、事業投資などを行う総合商社として、企業間決済や資金管理など、実際の商取引でArcを検討できる立場にあります。

 

SBIが金融サービス側、住友商事が実際の商取引側から参加することで、ステーブルコインの用途が仮想通貨取引の枠を超え、企業決済や金融サービスへ広がるかが今後の注目点です。

 

ただし、両社による具体的なサービスやArcの利用方法は発表されていません。

今後は、パブリックメインネットの公開後、SBIと住友商事がどのような事業やサービスへArcを取り入れるのかを確認する必要があります。

 

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出典・参考

 

※本記事は、特定の暗号資産、ステーブルコイン、株式、金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。

※ステーブルコインやブロックチェーン関連サービスには、価格変動、為替変動、規制変更、システム障害、スマートコントラクト、発行体やサービス提供者などに関するリスクがあります。利用する場合は、各社の公式情報と最新の取引条件を確認したうえで、自身の判断で行ってください。

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