ユーロ/円130円、ユーロ/ドル1.23ドルへ。 上昇を示唆するサイン、複数点灯!

■米ドル全面安、ユーロ/円は130円も視野に! 米ドル全面安が続き、ドルインデックスは2018年4月以来の安値を更新した。
ドルインデックス 週足(出所:TradingView)
 一方、筆者が繰り返し指摘してきたように、主要外貨のうち、円は一番弱く、対米ドルにおける円高があっても受動的で、米ドル全面安とはいえ、巷でもてはやされた「リスクオンの円高」は大袈裟だ。
 ゆえに、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円安の進行が続くだろう。
 なにしろ、米ドル全面安は外貨高を意味し、円が比較的「出遅れ」たことで外貨高・円安といった流れが維持されやすい。
 これをリードするユーロ/円は、近々2020年年初来高値を更新する見込みで、その流れを一層強化していくだろう。
 ユーロ/円の日足を観察すればわかるように、10月末安値を「ヘッド」とみなした場合は、「ヘッド&ショルダーズ・ボトム(※)」というフォーメーションを形成。また、上放れを果たした。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「三尊底」とも呼ばれる。また、「三尊底」の逆で、天井を示す典型的な形が「ヘッド&ショルダーズ」(三尊型))
ユーロ/円 日足(出所:TradingView)
 指し示しているターゲットで計算すると、2020年年初来高値の更新は通過点にすぎず、128円台の打診がターゲットとなり得るだろう。
 実際、年初来高値の更新があれば、時間がかかっても、また紆余曲折があっても130円の心理的大台の打診が視野に入る。
■ユーロ/円は月足でも上昇のサインを示している より長いスパンでは、2008年高値から、ユーロ/円は大型シンメトリカル・トライアングルというフォーメーションを形成してきた。
 今年(2020年)5月安値114.39円をもって底打ちを果たしたのみならず、同フォーメーションにおける最終子波の完成を示唆していたから、同安値から継続的な上昇波の展開が期待される。
ユーロ/円 月足(出所:TradingView)
 この場合は、早晩シンメトリカル・トライアングルのメインレジスタンスラインをブレイクし、長いスパンにおける上昇波の展開をさらに推進していくだろう。
 スパンが大きいから、目先、遠い将来のことは置いておいても、2008年高値から引かれてきたメインレジスタンスラインが位置する130円の節目前後のターゲットは現実的かと思う。
■ユーロ/米ドル上昇の根拠は月足で2つ見られる ユーロ/円の上昇トレンドが維持されるには、ユーロ/米ドルの上昇が当面維持されることが欠かせない。
 2020年年初来高値の更新で、ユーロの強気変動が一段と鮮明となり、目先、上値をトライしやすい環境にある。
 月足におけるサインとして、やはり3月の足型が重要であった。同足型は「十字線」であり、いったん安値を更新してから切り返しを果たしたから、「フォールス・ブレイクアウト(※)」のサインを点灯した。
(※編集部注:「フォールス・ブレイクアウト」とは、過去の相場が示した重要なレジスタンスゾーン、あるいはサポートゾーンが突破されたものの、その動きは続かず、一転して、反転の値動きが加速することを示唆するサイン)
ユーロ/米ドル 月足(出所:TradingView)
 その値幅が大きかったから、6月の値幅まで「はらみ」(すなわちインサイドのサインを形成)。7月の大陽線で上放れを果たし、目先の上値トライにつながったわけだ。
 そして、3月値幅が大きかった分、同値幅で測る「倍返し」のターゲットなら1.23ドル後半まで見通せるから、ユーロの一段上昇が見込まれる。
 ユーロの強気変動は、もう1つの視点からでもフォローできる。それは、長期スパンにおける元レジスタンスラインの「役割転換」だ。
 2008年高値から引かれてきた元レジスタンスラインが、7月の上昇でブレイクされ、その後、9月~11月に渡って再確認されたが、今度は一転してサポートの役割を果たし、目先の高値更新につながった。
ユーロ/米ドル 月足(出所:TradingView)
 この側面を重視すれば、やはり、当面ユーロの強気変動が続く公算は大きい。
■一番弱い「円」が出遅れを取り戻すような局面はない 同視点で米ドル/円を改めて見ると、より理解できる。
 円は米ドル全面安の流れの中、対ドルの上昇(円高)はあったものの、いまだに3月安値をトライできずにいるから、主要通貨のうちで一番弱いというわけだ。
米ドル/円 月足(出所:TradingView)
 「リスクオンの円高」云々が事実であれば、これから円は「出遅れ」を取り戻すような急上昇を果たせないといけない。
 しかし、そもそもリスクオンなら円安の方が「あるべき姿」だ。
 米ドル全面安かつ典型的な金融相場(金余り相場)において、リスクオンの円安を演じ切れないことは理解されやすいが、無理やり「リスクオンの円高」を持ち出すことはない。
 言い換えれば、金余りのマクロ環境が当面変わらない限り、円が「出遅れ」を取り戻すような局面はなかろう。
 つまるところ、今の相場の状況は、本来の姿だ。
 リスクオンの円安は見られないと言うなら、クロス円における円安のトレンドを見てみよう。
 株高・円安のセットは、米ドル/円に代わってユーロ/円でフォローしていくと、なお健在だとわかる。
 市況はいかに。

参照元:ザイFX! 陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

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