預金金利がステーブルコイン普及を抑制、銀行の「対抗手段」に|BIS論文

この記事の要点

  • BIS論文が預金金利とステーブルコインの競合関係を実証
  • 金利上昇で成長率が最大約9ポイント低下と推計

まずはステーブルコインを詳しく

BIS「銀行預金とSCは資金を奪い合う」

国際決済銀行(BIS)は2026年10月中旬、米国の銀行預金金利が上昇すると、ステーブルコインの時価総額の成長が鈍化することを示した研究論文を公表しました。

論文では、ステーブルコインと銀行預金が資金の受け皿として部分的に競合しており、預金金利が上昇すると銀行預金の魅力が相対的に高まり、ステーブルコインの成長を抑える方向に働くと分析しています。

実際の推計では、預金金利が1ベーシスポイント(bp)上昇すると、10週間のステーブルコイン時価総額の成長率が約3〜9ポイント低下する結果となり、米ドル連動型のUSDコイン(USDC)はテザー(USDT)よりも強く反応する傾向が確認されました。

この結果は、銀行が預金金利の設定を通じてステーブルコインの普及速度に一定の影響を与える可能性を示しており、論文は金融政策やステーブルコイン規制への影響についても考察しています。

2推計手法でステーブルコインと預金の競合を分析

金利1bp上昇で成長率が約3pt低下

論文を執筆したBISのイニャキ・アルダソロ氏とアンダーセン・インスティテュートのラシャド・アフメド氏は、ステーブルコインと銀行預金が価格安定性や換金性、決済機能を共有している点に着目し、両者の代替関係を分析しました。

分析には2019年1月から2025年6月までの米国の週次データ(339観測値)が用いられ、対象となった準備資産裏付け型ステーブルコインの時価総額は、この期間に50億ドル(約8,000億円)未満から2,200億ドル(約34.8兆円)超へと拡大しています。

両氏はフェデラルファンド(FF)金利や米国債利回り、ビットコイン(BTC)価格などの変動を考慮しながら、銀行の預金金利がステーブルコイン需要に与える影響を推計しました。

通常の最小二乗法(OLS)による推計では、預金金利が1ベーシスポイント(bp)上昇すると10週間の時価総額成長率が約3ポイント低下し、平均的な成長率が約15%から約12%へ減速する結果となりました。

再推計で低下幅が約9ptに拡大

ただし論文は、ステーブルコインへの資金流入によって銀行預金が流出し、銀行側が資金を引き留めるために預金金利を引き上げるという逆の因果関係が、OLSの推計結果に影響している可能性を指摘しています。

この影響を考慮するため、両氏は米国の銀行がフェデラルファンド(FF)金利の水準に応じて預金金利の改定幅を変える傾向に着目しました。

FF金利が約3%を下回る局面では預金金利の改定が限定的となる一方、約3%を超えると預金獲得競争によって金利転嫁が加速するため、両氏はこの非線形性を利用した操作変数(IV)法で再推計を実施しています。

その結果、預金金利1bpの上昇に対する10週成長率の低下幅はOLSの約3倍となる約9ポイントに拡大し、平均的な成長率が15%から約6%へ減速するとの推計が示されました。

USDCで金利上昇の影響が顕著に

この代替効果を銘柄別に比較した分析では、預金金利1bpの上昇に対する10週成長率の低下幅が、OLS推計でUSDCは約5ポイント、USDTは約2ポイントとなり、USDCの反応がより顕著であることが確認されました。

論文はその理由として、USDCが米国の機関投資家やDeFi(分散型金融)利用者との結び付きが強い一方、USDTはオフショア取引や新興国での利用が中心となっており、銀行預金との間で資金を移動させる保有者層の違いが影響しているとの見方を示しています。

預金金利との関係が仮想通貨市場全体の変動によるものではないかを検証するため、両氏はステーブルコイン以外の仮想通貨時価総額を対象としたプラセボテストも実施し、操作変数法による推計では統計的に有意な影響が確認されなかったと報告しました。

預金商品の種類を変えた分析やDeFi利回りを考慮した追加検証でも成長鈍化の傾向は維持されたものの、論文は操作変数の強さを示す統計量が一般的な基準をわずかに下回ることや、分析期間に高金利局面が1回しか含まれていないことを推計上の制約として挙げています。

準備資産の銀行預金保有にリスクも

銀行預金との代替関係を踏まえ、BIS論文はステーブルコインの規制設計にも言及し、発行体による保有者への利回り提供や、準備資産の一部を銀行預金として保有させる制度の是非を検討課題に挙げています。

米国では2025年7月に成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」で発行体による直接的な利回り提供が禁止されており、2026年4月にはホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)が利回り禁止による銀行融資の保護効果は限定的とする分析を公表しました。

ステーブルコインの準備資産に関する規制も具体化が進んでおり、FRB(米連邦準備制度理事会)は同年9月、発行体の準備資産や資本要件、銀行子会社による発行手続きなどを定める規則案を公表しています。

BIS論文は、仮想通貨(暗号資産)市場で流通するステーブルコインの準備資産を銀行預金で保有させる場合、銀行の資金調達を支える一方で、少数の銀行に多額の無保険預金が集中する恐れもあると指摘し、銀行預金との競合を踏まえた規制には金融システムの安定性への配慮も必要だとの見解を示しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.75 円)

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Source:BIS論文
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参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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