BIS論文、預金金利上昇でステーブルコインの成長鈍化と推計。DeFi残高にも影響

預金金利1bp上昇で成長率が約3ポイント低下と推計

国際決済銀行(BIS)が、ステーブルコインと銀行預金の代替関係を分析したワーキングペーパー「Are stablecoins and bank deposits substitutes?」を10月13日に公表した。銀行の預金金利が上昇すると、ステーブルコインの時価総額の成長率が低下する傾向が示された。

論文はBISのイニャキ・アルダソロ(Iñaki Aldasoro)氏とアンダーセン金融経済研究所のラシャド・アーメド(Rashad Ahmed)氏が執筆。2019年1月から2025年6月までの米国の週次データを分析した。

通常の推計では、預金金利が1ベーシスポイント(bp、0.01パーセントポイント)上昇すると、その後10週間のステーブルコイン時価総額の成長率が約2.8ポイント低下する結果となった。対象期間の平均成長率約15%が、約12%に鈍化する計算だ。

逆方向の因果関係などに対処するため、米連邦準備制度(FRB)の政策金利が約3%を超えると預金金利の反応が強まる性質を利用した操作変数法(IV)でも分析。この推計では成長率の低下幅は約9.1ポイントとなった。一方、ステーブルコイン以外の暗号資産(仮想通貨)の時価総額には同様の影響が確認されなかった。

銘柄別では、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の反応が「USDT」より大きく、10週間後の成長率の低下幅はUSDCが約4.8ポイント、USDTが約1.9ポイントだった。論文は、USDCが米国の機関投資家や分散型金融(DeFi)の利用者に多く使われる一方、USDTは米国外や新興国での利用が多い点を挙げている。

また、普通預金などに代えて定期預金(CD)金利を用いた分析でも同様の傾向が確認され、成長率の低下幅は通常の推計で約2.2ポイント、操作変数法による推計で約15.5ポイントだった。

DeFiレンディング残高にも影響

論文はDeFiデータ集計サイト「DeFiLlama」のデータを使い、USDCとUSDTの供給量をDeFiレンディングプロトコルに預けられた残高と、それ以外に分けて分析した。レンディングに回っていた比率の中央値はUSDCが12.8%、USDTが4.1%だった。

DeFi利回りの変動を考慮した推計では、預金金利が1bp上昇すると、10週間後のレンディング残高は金利上昇がなかった場合と比べ、USDCで約3.4%、USDTで約6.1%低くなる結果となった。ただし、論文はUSDCの推計精度が低いとしている。

レンディング以外の残高も同様の比較で、USDCは約5.5%、USDTは約0.8%低くなると推計された。ただし、USDTの結果は統計的に有意ではなかった。

推計上の限界と規制への示唆

論文は、成長率の低下が必ずしも時価総額そのものの減少を意味するわけではないと説明している。通常の推計に基づくと、平均的な10週間の成長率約15%を打ち消すには、1週間で約5bpの預金金利上昇が必要になるという。

また、操作変数の強さを示すF統計量は9.78と一般的な目安の10を下回り、分析期間に含まれる高金利局面も2022年から2025年の1回に限られる。線形の時間トレンドを加えた場合、操作変数法による成長率の低下幅は約4ポイントとなった。

政策面では、ステーブルコインの準備資産の一部を銀行預金で保有するよう義務付ける案について、銀行の資金調達への影響を抑える可能性がある一方、預金保険の対象外となる大口預金が少数の銀行に集中する問題を挙げた。発行体による保有者への利息支払いを認めるかどうかも論点としている。

こうした利回り規制は、米国でも議論となっている。2025年に成立した「GENIUS法」は、決済用ステーブルコイン発行体による、ステーブルコインの保有・利用・継続保有のみを理由とした利息・利回りの支払いを禁止する規定を設けている。

一方、「CLARITY法案」をめぐっては、銀行業界が取引所などにも利回り規制を広げるよう求めてきた。5月に報じられた上院議員らの妥協案は、保有に対する受動的な利回りを禁じる一方、実際の利用に応じた報酬を認める内容だった。

ただし、同法案は9月15日、上院で審議を進めるための手続き上の採決に必要な票数を確保できず、成立には至っていない。

参考:BIS・米アルソブルックス上院議員公式サイト・Reuters
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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