
この記事の要点
- 米IRS、仮想通貨保有者狙う偽手紙の拡散を警告
- Coinbaseが4段階の電話詐欺手口を独自調査で解明
IRS名乗る偽手紙、QRで偽サイトへ誘導
米内国歳入庁(IRS)の犯罪捜査部門IRS-CIは2026年7月30日、仮想通貨(暗号資産)の保有者にIRSを装った偽の手紙が郵送されているとして、注意喚起を公表しました。
偽の手紙は実在しない「デジタル資産コンプライアンスポータル」への登録を期限付きで求める内容で、IRSはそのようなポータルは運営していないと明言しています。
手紙に印刷されたQRコードを読み取ると、IRS.govを装った偽サイトへ誘導され、ウォレットや取引所アカウントの情報を盗み取られる恐れがあるとして、IRSは警戒を呼びかけました。
公的機関を装うこうした手口について、IRS-CIを率いるジャロッド・クープマン氏は「犯罪者は説得力のある偽サイトや公的機関を装った文書を作り、政府機関への信頼を悪用し続けている」と述べています。
同氏は保有者に対し、身に覚えのない個人情報の要求を受けた場合はすぐに応じず、発信元が正規の機関かどうかを確認してから対応するよう注意を促しています。
公式ストア経由でウォレット情報窃取
コインベースが追跡、偽サイトの実態と手口
通知番号も模倣、香港登録のドメイン悪用
この偽の手紙をめぐっては、米取引所大手のCoinbase(コインベース)がIRSの発表に先立つ7月28日、確認された手紙の分析結果を公表しています。
同社が確認した1通は差出人の表記がない封筒で実際の住所に届き、書面には通知番号「CP14-432RA」と2017年から2026年までの対象課税年度まで印字されていました。
本物と見分けにくい書面の一方で、QRコードの読み取り先は「irs.digitalcomplianceportal[.]com」という形式のドメインで、正規のirs.govとは別のアドレスとなっています。
このドメインについてセキュリティ企業DarkTower(ダークタワー)がインフラを追跡した結果、手紙の郵送の数日前に香港のレジストラ(ドメイン登録事業者)を通じて取得されていたことが明らかになりました。
同社の追跡ではさらに、サイトがルーマニアのネットワーク上に設置され、この環境が以前から配送業者や金融機関を装ったフィッシングページの運用に使われてきたことも確認されています。
偽サイトの誘導、電話詐欺までの4段階
コインベースは、この偽サイトが利用者を電話詐欺へ誘導するまでの流れを4段階に整理し、各段階で入力を求める情報も明らかにしました。
| 段階 | 偽サイトが求める情報 |
|---|---|
| ステップ1 | 利用している取引所・ウォレットの選択 |
| ステップ2 | 保有資産の概算額(最大「10万ドル超」) |
| ステップ3 | 取引所側の「承認」手続きへの誘導 |
| ステップ4 | 電話番号の入力と担当者からの折り返し案内 |
最初の画面では、Ledger(レジャー)やTrezor(トレザー)などのハードウェアウォレットに加え、コインベースやKraken(クラーケン)、Binance(バイナンス)といった取引所から利用先を選択させました。
次の画面では保有資産の概算額を「10万ドル(約1,560万円)超」までの区分から入力させ、その回答は攻撃者が標的を選ぶ判断材料として利用されるとコインベースは説明しています。
その後は取引所側の「承認」を装う画面を表示して電話番号の入力を求め、攻撃は折り返しの電話から始まると同社は指摘しました。
折り返しの電話では、利用者が入力した取引所や保有額の目安を把握した攻撃者が「サポート担当者」を名乗り、2段階認証のコードやリカバリーフレーズの提供を求めるといいます。
別の手口として、攻撃者が12単語のリカバリーフレーズを利用者へ伝え、「安全なウォレット」への資産移動を促したうえで、自ら管理するウォレットへ送金させるケースも確認されています。
IRS・コインベースが呼びかける防御策
こうした手口を受け、IRSは心当たりのない手紙やメールに記載されたQRコードを読み取らず、政府機関を名乗る電話を受けた場合も公式サイトの連絡先から真偽を確認するよう求めています。
IRSは、リカバリーフレーズや秘密鍵を第三者へ共有しないことを基本のセキュリティ対策とし、多要素認証の設定や取引履歴の定期確認も推奨しています。
一方、コインベースはQRコードによる登録や保有額の申告、「保護された」ウォレットへの資金移動を求める連絡をIRSも同社も送ることはないとして警戒を呼びかけました。
情報を入力したり不審な相手とやり取りしたりした場合は、取引所のパスワード変更や2段階認証の設定を確認したうえで、公式アプリやサイトからサポートへ連絡するよう案内しています。
被害が疑われる場合は、手紙やメール、画面のスクリーンショットを保存したうえで、IRS-CIの通報窓口へ情報を提供するようIRSは呼びかけています。
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Source:IRS-CI発表
サムネイル:AIによる生成画像





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