
この記事の要点
- 超党派議員がクラリティ法案の倫理妥協案をホワイトハウスへ送付
- 上院採決に向けた調整が進むなか、財務長官や業界団体も早期採決を要請
両党議員が倫理条項の妥協案を送付
2026年7月30日、米上院のトム・ティリス議員とルーベン・ガレゴ議員が、仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」の倫理条項をめぐる妥協案をホワイトハウスへ送付したことが明らかになりました。
米メディアThe Blockが関係者の話として同日に報じたもので、民主党側は倫理条項での譲歩を法案支持の条件に掲げており、成立を阻む最大の障壁とみなされてきました。
妥協案の具体的な内容は明らかになっておらず、同メディアは可決に必要な60票の確保は依然として厳しく、来週末までの本会議採決はなお不透明だと伝えています。
一方、スコット・ベッセント財務長官は同日、X(旧Twitter)への投稿で民主党側を批判し、上院に対して法案の速やかな採決を求めました。
More than a year ago, the House passed the Clarity Act.
There’s been progress since — thousands of hours of bipartisan negotiations took place at the staff and Member levels. The Senate Committees on Banking and Agriculture advanced their respective titles. And Senate…
— Treasury Secretary Scott Bessent (@SecScottBessent) July 30, 2026
(前略)上院は今すぐ、この歴史的な法案を採決すべきです。
(中略)上院民主党は、米国の技術革新と産業競争力を支持する側に立つのか。それとも政治的圧力を恐れ、世界的な成長産業における米国の主導権を手放す道を選ぶのか。
答えは単純です。
「米国がリードするか、しないか」それだけです。(後略)
DCG書簡「CLARITY法案を採決せよ」
採決へ迫る圧力と倫理条項の深い溝
一本化で初めて入った倫理規定
今回の妥協案が対象とするCLARITY法案は、仮想通貨の規制所管をSEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)に振り分ける市場構造法案で、2025年7月に下院本会議を賛成多数で通過しています。
上院でも2026年5月14日に銀行委員会が賛成15・反対9で可決したものの、下院可決版との内容に違いが残ったため、本会議へ進むには両案の一本化が必要となっていました。
その作業を引き受けたシンシア・ルミス議員は2026年7月22日、両委員会案を統合した全616ページの改訂版テキストを公開し、初めて倫理規定を盛り込みました。
この規定は大統領や連邦議会議員、連邦判事とその配偶者が在職中に対価を得て仮想通貨を発行・スポンサーする行為を禁じる一方、対象は配偶者までにとどまります。
民主党が反発、ウォーレン氏は廃案要求
The Blockによると、民主党側は利益相反を確実に防げる条項が入るまで反対の姿勢を崩さず、交渉関係者からは執行権限の司法省限定と2029年1月の失効が条項を骨抜きにするとの指摘も出ています。
上院銀行委員会の民主党トップを務めるエリザベス・ウォーレン議員も公開当日、大統領が仮想通貨で利益を得る余地は残るとして、廃案を求める声明を出しています。
ティリス・ガレゴ両議員が送った妥協案はこの溝を埋める試みで、ガレゴ氏は5月の委員会採決でも倫理規定の合意を条件に賛成へ回った民主党議員の一人にあたります。
ベッセント長官、民主党を名指し批判
一方、ベッセント長官は30日の投稿で「下院可決後も超党派協議や上院委員会での審議が進み、上院共和党は本会議に諮る準備が整った法案を用意している」と強調しました。
そのうえで長官は「米国が主導するか、しないかだ。それ以上に複雑な話ではない」と述べ、民主党が審議を停滞させていると批判したうえで、上院に今すぐ採決するよう促しています。
民主党側が消費者保護や不正金融対策の不備を指摘していることについては「法案の第2編と第3編により仲介業者の規制・コンプライアンス義務は伝統的な金融機関と同等の水準まで引き上げられる」と反論しました。
また、ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)への批判についても、非カストディ型の開発者に銀行秘密法(BSA)の登録義務を課さない米財務省の従来方針を明文化したにすぎないとの見解を示しています。
さらに長官は、法執行機関の姿勢にも変化が見られるとして、かつて法案に反対していた主要団体の全米警察友愛会(FOP)が支持へ転じたことにも言及しました。
米国シェア12%、業界が数字で危機訴え
採決を求める声は業界側からも上がっており、同じ30日には業界団体のCCI(クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション)が、法案の不成立は米国の金融市場での主導権を他の法域へ譲り渡すと警告しました。
同団体の資料によると、2025年の取引所取引高は88%が米国外の取引所で発生し、ステーブルコインの取引高も75%が米国外で発行された銘柄を経由しています。
デリバティブ取引でも84%が米当局の監督の外側で行われ、上位10取引所に占める米国拠点の事業者のシェアは12%、米国の開発者の比率も10年弱で38%から19%へ半減しました。
さらに同団体は、EU・シンガポール・UAEがすでに市場構造規制を整備したと指摘し、時価総額2.6兆ドル(約425兆円)に達した市場で米国も早急な対応が必要だと訴えています。
「法案なくても規則は出せる」
銀行業界も反発、残り1週間の攻防
倫理条項をめぐる協議が続く一方、ステーブルコイン利用者への利回り付与にも共和党内から異論が出ていると報じられており、採決に向けた調整はなお続いています。
銀行業界は利回りを認めれば預金の流出につながるとして反発を強めており、ABA(米銀行協会)など米銀5団体は5月の共同声明で規定の修正を議会側へ求めました。
こうした状況のなか、ジョン・スーン上院多数党院内総務は米FOXニュースのインタビューで、政府予算や人事案件と並べて法案の名も挙げ、まず手続き投票から進める可能性に言及しました。
本会議に残された審議時間はおよそ1週間となっており、ホワイトハウスが妥協案にどう対応するか、上院が休会入り前に手続き投票へ進めるかどうかに関心が集まっています。
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Source:The Block報道 / ベッセント財務長官 X投稿
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