西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

孫社長の3.3兆円買収でトレンドが反転!? 米ドル/円は節目の107円突破し110円へ ブログ

孫社長の3.3兆円買収でトレンドが反転!? 米ドル/円は節目の107円突破し110円へ

■米ドル/円は売り注文をこなし、107円台回復 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムで取り上げた「ヘリマネ」報道をきっかけに、今週(7月18日~)も米ドル/円は続伸。

【参考記事】

●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(7月14日、西原宏一)

 本邦輸出企業の米ドル売り注文が密集している105~107円のエリアを抜くのに時間を要しましたが、本日(7月21日)、ついに節目の107.00円を突破。一時、107.49円まで急騰しています。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

■ソフトバンクの大型買収報道で円安が加速 今週(7月18日~)、欧米短期筋が一斉に米ドル/円での米ドル買いに動いたのが、まず既報の「ヘリマネ」報道。

【参考記事】

●トルコクーデター鎮圧で有事の円高ならず。孫社長の英企業3.3兆円買収でポンドは!?(西原宏一&大橋ひろこ)

 ただ、それ以上にマーケットを驚かし、円安のスピードを加速させたのが、ソフトバンクによる大型買収報道でした。

ソフトバンクが英半導体設計ARMを3.3兆円で買収、IoT(Internet of Things)強化へ


ソフトバンクグループは18日、英半導体設計ARMホールディングスを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収すると発表した。

あらゆるものがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)時代を見据え、同領域に強みを持つ同社を買収することで需要の取り込みを目指す。

日本企業による海外でのM&A(合併・買収)としては過去最大規模になる。

孫正義社長はロンドンで行った会見で「IoTは人類史上もっとも大きなパラダイムシフトになる」と指摘。「IoTの時代の中心の会社はARMだ」と述べ、買収に自信を示した。

出所:ロイター

■巨額の英ポンド/円の買いがウワサになっていた 先週(7月11日~)、米ドル/円が6円急反発しているのは「ヘリマネ」期待が背景にあると多くのマーケット参加者は理解していました。

 ただ、先週(7月11日~)の英ポンド/円は約13円も急騰。

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

 しかも、東京市場で英ポンド/円が暴騰する傾向があり、多くのトレーダーの間では、何らかの大型案件が結ばれて、巨額の英ポンド/円の買い需要があるのでは?とウワサになっていました。

 それが先週末、前述のソフトバンクのARM買収の報道が流れ、大型案件のウワサは現実に。その買収金額は驚愕の3.3兆円。

■ソフトバンクは資金調達をすべて終了したとの見方も 市場参加者の間では、ソフトバンクはARM買収金額のうち、すでに1.7兆円の英ポンドの手当て(=英ポンド買い)は終わっているとの意見がある一方、報道された時点ですでに英ポンドの手当てはすべて終了しているとの見方もあり、意見は交錯しています。

 ここで、トレードの観点で相場を整理すると、ソフトバンクの大型買収のウワサが出ていた段階で英ポンド/円はすでに13円も暴騰。そして、事実として大型買収の全貌が報道されます。

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

 トレードの基本からすれば、「バイ・ザ・ルーマー セル・ザ・ファクト」(ウワサで買って、事実で売る)の流れから、英ポンド/円は13円急騰した143円でトップアウトしたと考えることもできます。

 ただし、

(1)英ポンドの手当てが半分しか終わっていない可能性が高いこと

(2)ソフトバンクが英ポンドをすべて買い終わっていると仮定したとしても、約3.3兆円の円売りがマーケットに持ち込まれたことになるため、これまでの米ドル/円における円の需給を大きく変化させる可能性があること

 つまり、買収金額があまりにも巨額であるため、マーケットのトレンドを変化させる公算が高まっています。

世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)

   アベノミクスの初動を振り返ってみると…
ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクス に反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点! ブログ

ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクス に反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!

■2016年前半、世界的な通貨安戦争の敗者は日本… みなんさん、こんにちは。

 為替市場では、よく通貨安戦争という言葉が使われます。

 通貨安戦争とは、失業率低下や資源稼働率上昇を図るため、自国通貨安に誘導することを指します。

 この通貨安戦争という文脈においての円という通貨は、2012年まで負けっぱなしの状態であったと言えます(通貨安誘導が必ずしも、経済活動における勝者になるというわけではありませんが…)。

 そして、2013年からアベノミクスが始まると、黒田日銀の大胆な金融政策もあり、米ドル/円は短期間に75円から125円まであっという間に上昇し、敗者から勝者に変貌。

米ドル/円 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)

 この円安につれて、日経平均も2万円台を回復。

日経平均 月足(出所:株マップ.com)

 ところが、そのアベノミクスに陰りが出てきたのが2016年初頭。

【参考記事】

●行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)

 もともと、グローバルマーケットに強い負荷がかかると、避難通貨としての「円」はあっという間に強くなります。

 前回のコラムでもご紹介しましたが、本来はスイスフランという通貨も、円と同様に避難通貨であり、株価急落時にはスイスフランは急騰していました。

【参考記事】

●英中銀が利下げ予告! 英不動産ファンドの解約増でポンド/円は120円への下落過程(7月7日、西原宏一)

 旧来、欧州圏でのリスクオフ要因、つまり、ギリシャ危機などの局面では円よりも、欧州での「避難通貨」としてスイスフランが上昇。

 ところがSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の介入により、スイスフランは避難通貨の座から一歩後退。

 結果、アジア圏のみならず、欧州、米国、つまり、世界中のいかなる地域においても、リーマンショックやギリシャ危機といったマーケットに強い負荷がかかると円は急騰します。

世界の通貨VS円 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 月足)

■2016年前半、最大の不透明材料だった「Brexit」 そして今年(2016年)前半、マーケット最大の不透明材料は「Brexit」(英国のEU離脱)。

 Brexitへの懸念により、昨年(2015年)末から英ポンド/円は続落を演じていました。

【参考記事】

●2カ月で16円暴落! ポンド/円は想定どおり急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る(1月7日、西原宏一)

 そして迎えた、6月23日(木)の英国国民投票の結果では、懸念されていたBrexitが現実のものとなります。

【参考記事】

●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(6月24日、西原宏一)

 呼応して、英ポンド/円は1日で27円も暴落し、128円まで急落しました。

 昨年(2015年)末の英ポンド/円は188円でしたから、半年強で約60円もの大暴落。

英ポンド/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)

 この英ポンド/円の暴落が米ドル/円に影響を及ぼさないわけがなく、米ドル/円も一時99円台まで急落しています。

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のカーニー総裁は、日本の通貨安誘導を批判するコメントもしていましたが、イギリスは意図せずに(?)通貨安戦争の勝利者に。

 結果として、今年(2016年)前半の日本はあっという間に通貨安戦争の負け組に転落。

 多くのメディアでは、アベノミクスの終焉といった報道が目立つようになりました。

 そして先週、7月10日(日)の参議院選挙を終えたと同時に、2016年後半に向けた、アベノミクス反撃の兆しが見えてきています。

 先週末、7月10日(日)の参議院選挙の与党大勝を受け…
英中銀が利下げ予告!英不動産ファンドの 解約増でポンド/円は120円への下落過程 ブログ

英中銀が利下げ予告!英不動産ファンドの 解約増でポンド/円は120円への下落過程

■英中銀は利下げ示唆、英ポンド安を容認 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムでご紹介したとおり、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])は下記のように利下げと通貨安(英ポンド安)誘導を示唆。

【参考記事】

●英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?(6月30日、西原宏一)

a)イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は30日、英国の欧州連合(EU)離脱選択の影響に対処するため、同中銀は恐らく数カ月内に金融政策を緩和する必要があるだろうとの見解を示した。

b)金融政策委員会(MPC)はポンド相場の動きが調整に役立つと認識

c)英景気は「大幅に減速」すると予想

出所:Bloomberg

 このカーニー総裁のコメントは前回のコラムでご紹介した、BOEの公式ウェブサイトに書かれていた内容のとおりです。

【参考記事】

●英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?(6月30日、西原宏一)

 そして、BOEの利下げ示唆は、JPモルガンの予測どおり。

 彼らの予測によると、7月0.25%、8月0.25%の利下げ予測は変わらず。彼らの予測どおりにBOEが利下げすると仮定した場合、英国の政策金利は0%に。

英国の政策金利(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)

 Brexit(英国のEU離脱)により、英国景気は減速、不透明な環境下、英ポンドの調整は必要…。

 為替市場での反応は、BOEの通貨安誘導に沿って、英ポンドは急落。英ポンド/米ドルは1.3000ドルを割り込み、一時、1.2798ドルまで急落。

英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

 英ポンド/米ドルは引き続き、1.2000ドルへの下落過程に。

 そして、英ポンドは対米ドルだけでなく、主要通貨に対し…
英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。 英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!? ブログ

英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。 英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?

■米ドル/円は100円割れ定着予想が急増 みなさん、こんにちは。

 驚愕のBrexit(英国のEU離脱)ショックによる急激な「株安・円高」もいったん沈静化。

【参考記事】

●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(6月24日、西原宏一)

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 しかし、中期の米ドル/円は100円割れ定着予想が急増しています。

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 それは、Brexitによるマーケットの混乱で、米ドル/円の米ドル高予想を支えてきた米利上げ観測が大きく後退したことによるものです。

■米国の次の一手は「利上げ」ではなく「利下げ」という声も 英国国民投票前は、米国の7月利上げ予測がコンセンサスになりつつありましたが、Brexitにより、これらの予測は霧散。

 マーケットが極めて不透明なため、2016年年内の利上げすら疑問視されてきています。

 一部の参加者の間では、米国の次の一手は「利上げ」ではなく「利下げ」という意見も台頭。

【参考記事】

●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(6月24日、西原宏一)

 繰り返しになりますが、米ドル/円の100.60円はアベノミクス相場の50%戻しのレベル。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

 終値ベースではこのレベルを割り込んでいないため、当面は100~105円のレンジ圏でのもみ合いが続くのでしょうが、一度、米ドル/円が二桁(90円台)を覗いた為替市場では、反発時には本邦輸出企業からの米ドル売り注文が並びやすく、戻りは限定的。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 米ドル/円は依然として、アベノミクス相場の61.8%戻しである95円を目指す過程に。

米ドル/円 月足(出所:CQG)

  今週(6月27日~)は英ポンドもいったん調整中…
EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月 利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ ブログ

EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月 利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ

■コンセンサスはEU残留が多数だったが… みなさん、こんにちは。

 世紀の大イベントと化した英国国民投票ですが、事前の報道では「Bremain(英国のEU残留)」とのコンセンサスが多数でした。

 テレビ東京で放送されている早朝の経済番組「ニュースモーニングサテライト」(通称:モーサテ)では、出演している市場関係者に「モーサテ・サーベイ」というアンケートを実施していましたが、こちらは100%が「Bremain」でした。

【参考記事】

●EU残留予想はモーサテ100%、ザイFX83%。驚きの英国国民投票・緊急アンケート結果

 その影響なのか、取引所取引のくりっく365を運営する東京金融取引所の資料などによれば、ミセスワタナベのポジションも、英ポンド/円は買い建て(Long)のまま、世紀のイベントに突入したようです。

(出所:東京金融取引所のデータよりザイFX!編集部が作成)

■BBCが「Brexit確実」と報道し、英ポンド暴落 当初はマーケットのコンセンサスどおり、「Bremain」優勢。

 日本時間6月24日(金)早朝に、英ポンド/円は一時160円台、米ドル/円は106円台後半まで急騰。

【参考記事】

●英国民投票締切り直後の調査会社発表でEU残留が52%と僅差優勢。ポンド急騰!

 ただ、その後、「Brexit(英国のEU離脱)」が優勢となり、東京時間の午後に入り、英ポンド/円は急反落。

 そして、BBC(英国放送協会)が「Brexit確実」との報を流すと、英ポンド/円は一気に133.42円まで暴落。

【参考記事】

●ついに英国のEU離脱が確定的な状況に!! 英ポンド暴落、米ドル/円も100円割れ!

英ポンド/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 30分足)

■米ドル/円は一時、99.11円まで暴落 米ドル/円は、最近の当コラムで最初のターゲットとしていた100.60円を一気に突き抜け一時、99.11円まで暴落。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

米ドル/円 30分足(出所:CQG)

 マーケットの一部では、「Brexit」も織り込み済みという意見もありましたが、それを否定していたのがオプションのボラティリティ。

 1カ月ものの英ポンド/円のボラティリティが30%と高騰しているということが、今回の「Brexit or Bremain」というイベントの影響のすごさを示していました。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

 仮に「Brexit」がすでに織り込み済みであれば、このような高いボラティリティをオプション市場が示すわけがありません。

英ポンド/円1カ月ものボラティリティ 日足(出所:CQG)

  BBCの「Brexit」宣言を受け、米国の利上げ予測は大きく後退…
ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!? ブログ

ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?

■米ドル/円は重要サポートの105円が決壊 みなさん、こんにちは。

 今月(6月)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀会合、英国国民投票と金融市場にとって重要なイベントが続きます。

【参考記事】

●鉄鉱石急落で豪ドル下落! 市場はいつリスクオフに変貌しても不思議ではない!(5月26日、西原宏一)

 本日(6月16日)、その2大イベントであるFOMCと日銀会合が終了。

 FOMCはコンセンサスどおり、無風。

 FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長は理事会後の記者会見で、6月23日(木)の英国国民投票でEU(欧州連合)離脱が決まれば、「米経済見通しに影響を及ぼす可能性がある」と語っており、Brexit(英国のEU離脱)に対して警戒感を強めています。

 そして、昨日(6月15日)から開催されていた日銀会合では、金融政策の現状維持が発表されました。

 マーケットのコンセンサスは「英国のEU離脱に関する国民投票を来週(6月23日)に控える中、日銀は緩和カード温存」という見方だったのですが、結果も多くのマーケット参加者の見立てどおり。

【参考記事】

●EU離脱派が55%へ急増との世論調査も! 流れはリスクオフも日銀サプライズは警戒(西原宏一&松崎美子)

 ただ、マーケットの一部では、本日(6月16日)の追加緩和を期待する参加者も増えていたため、マーケットの反応は「セル・ザ・ファクト」にならず、素直に米ドル売り・円買いに。

 結果、米ドル/円は重要なレベルである105.00円がついに決壊。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

■米ドル/円は100.60円に向けて下落中 繰り返しになりますが、米ドル/円の105~106円は極めて重要なレベル。

 確認すると、アベノミクス相場の米ドル/円の高値は125円台。これに、上海合意での調整があると仮定のもと、15%の調整が行われるとすると106円。

【参考記事】

●安倍首相が米国に「介入しない」と宣言!? 上海合意で、米ドル/円は100円も視野に!(4月7日、西原宏一)

 加えて、米ドル/円のフィボナッチでもサポートを確認してみます。

 アベノミクス相場の安値と高値の38.2%戻しは106.57円。

 加えて、2014年10月31日(金)の日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるダブルバズーカが炸裂する直前の米ドル/円の急落時の安値が105.23円。

【参考記事】

●日銀とGPIFのダブルバズーカ炸裂で、ドル/円は120円へ向け上昇の可能性濃厚(2014年11月6日、西原宏一)

2014年8月末~2015年2月の米ドル/円 日足(出所:CQG)

 このように、105.00円は重要な米ドル/円のサポートであることがわかります。

 その105.00円が本日の「日銀現状維持」という報道により、ついに決壊。

 一時、103.60円近辺まで急落しています。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

 105.00円が決壊したことにより、米ドル/円はいよいよアベノミクス相場の安値と高値の上昇幅の50%戻しである100.60円に向け、下落中。

米ドル/円 月足(出所:CQG)

  この環境下、マーケットはいよいよ来週、6月23日(木)に、今年…
ソロスが世界経済悲観トレード開始! 米ドル/円は中期で100円を目指す過程に ブログ

ソロスが世界経済悲観トレード開始! 米ドル/円は中期で100円を目指す過程に

■弱い米雇用統計で、米ドル/円は106円台前半へ急落 みなさん、こんにちは。

 以前コラムでも紹介したとおり、米ドル/円の110円以上のレベルでは、本邦輸出企業からの断続的な米ドル売り圧力があり、これによって上げ止まり。

【参考記事】

●米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?(5月19日、西原宏一)

 そして、6月3日(金)の米雇用統計が想定以上に弱い数字であったことに呼応して、米ドル/円は反落。

【参考記事】

●米雇用統計ショックで6月利上げ消滅! 英国のEU離脱支持が増えたワケとは?(6月7日、西原宏一&松崎美子)

 110円レベルでもみ合っていた米ドル/円は、あっという間に106.38円まで急落しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 米ドル/円は引き続き、105~110円の±1円程度のレンジ圏内での推移。

■6月はビッグイベント満載! ドル/円は100円を目指す流れ ただ、前回のコラムでも紹介したように、6月はビッグイベントが目白押し。

【参考記事】

●英国国民投票はなぜ、英ポンドだけでなく、豪ドル/円や米ドル/円にも影響するのか?(6月2日、西原宏一)

1.FOMC(米連邦公開市場委員会)

2.日銀金融政策決定会合

3.EU(欧州連合)離脱の是非を問う英国の国民投票

 と控えています。

 こうしたビッグイベントを控えて、マーケットが不透明な中、米ドル/円の中期の流れは引き続き100円へと続く円高過程へ。

米ドル/円 週足(出所:CQG)

■直近の市場はミニリスクオン相場に 一方、直近のマーケットはミニリスクオン相場に。

 要因は米雇用統計の悪化が、6月の米国の利上げ予測を大きく後退させたこと。

【参考記事】

●米雇用統計ショックで6月利上げ消滅! 英国のEU離脱支持が増えたワケとは?(6月7日、西原宏一&松崎美子)

 呼応して、原油相場はもみ合いながら、51ドル台へ上昇し、久しぶりに50ドルの大台を回復。

WTI原油先物 日足(出所:CQG)

 NYダウも少しずつ値を上げ、ついに1万8000ドル台へ。

NYダウ 日足(出所:CQG)

 ただ、日本株は「米ドル安・円高」の影響で、軟調な展開が続いており、3大イベントを控え、ミニリスクオンながら方向性が明確ではなく、気迷い相場が続いています。

日経平均株価 日足(出所:CQG)

  このような環境下、マーケットの話題をさらったのが…
英国国民投票はなぜ、英ポンドだけでなく、 豪ドル/円や米ドル/円にも影響するのか? ブログ

英国国民投票はなぜ、英ポンドだけでなく、 豪ドル/円や米ドル/円にも影響するのか?

■米ドル/円は、一時111円台ミドルまで急騰も伸び悩む みなさん、こんにちは。

 安倍首相が消費増税延期を発表するという報道を受け、米ドル/円は一時、111円台ミドルまで急騰しました。

 多くの日本の市場参加者にとって、消費税増税延期はコンセンサスどおりなのですが、欧米勢には一定のサプライズを与えたようです。

【参考記事】

●イエレン発言で米利上げ観測が高まったが常識的に考えれば、6月米利上げはない(5月31日、西原宏一&松崎美子)

 ただ、以前のコラムでご紹介したように、米ドル/円の110~115円では、社内レートを引き下げた本邦輸出企業からの米ドル売りが断続的に持ち込まれており、上げ止まり。

【参考記事】

●米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?(5月19日、西原宏一)

 引き続き、米ドル/円の110円台より円安のエリアは、彼らにとって米ドルを売る好機。

米ドル/円 日足(出所:CQG)

■ポンド/円が35円以上急落したあと、いよいよ英国国民投票 今週(5月30日~)に入り、6月がスタート。もう今年(2016年)も半分が終わろうとしていて、月日が立つのは早いですね。

 ともあれ、6月はビッグイベントが目白押しで、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合、そして過去半年間、毎日のように話題になっていた、「英国がEU(欧州連合)を離脱すべきかどうか?を問う国民投票」が6月23日(木)に実施される予定です。

 このコラムでも今年(2016年)の最重要通貨ペアであり、急落する可能性が高いとご紹介させていただいた英ポンド/円ですが、昨年(2015年)後半から大暴落し、188円台から151円台へ、あっという間に35円以上も急落。

【参考記事】

●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)

英ポンド/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)

 そして、注目される英国の国民投票まで、あと3週間と迫りました。

 Brexit(英国のEU離脱)リスクを織り込む展開で、2016年前半は急落を続けてきた英ポンド。

英ポンド/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)

 結果、仮にBrexitとなった局面でのリスクヘッジとして行う最低限の英ポンドのヘッジという作業は終了。

■新たな造語「Bremain」とは? そして、現在は「Bremain(イギリスのEU残留、Britain【英国】とRemain【残留】を組み合わせた造語)」という言葉も登場。

 マーケットはBrexitのリスクを織り込んで進んできたわけですので、Bremainとなれば、逆に英ポンドが急騰するリスクも出てきたわけです。

 結果、国民投票までの英ポンドは、ヘッドラインリスクによって乱高下する展開が続きそう…。

英ポンド/米ドル 日足 (出所:CQG)

 実際、今週(5月30日~)の英ポンドは乱高下。先週(5月23日~)まで、Bremainの可能性の高さに注目が集まり、英ポンドは底堅く動いていましたが、5月31日(月)に発表された、調査会社ICM実施の世論調査で、Brexitリスクが高まると一気に急落。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 英国の国民投票実施日までの今後3週間の英ポンドは、このようなヘッドラインリスクに翻弄される展開が続きそうなので、注意してトレードするのが肝要。

 つまり、2016年前半の英ポンド/円の急落のような簡単な相場は終わったと認識したほうが良さそうです。

 一方、気になるのが日米の株価の動向…
鉄鉱石急落で豪ドル下落! 市場はいつ リスクオフに変貌しても不思議ではない! ブログ

鉄鉱石急落で豪ドル下落! 市場はいつ リスクオフに変貌しても不思議ではない!

■6月は英国民投票など、ビッグイベントが目白押し みなさん、こんにちは。

 早いもので、来週に入ると6月がスタートします。

 そして、6月はFOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合、そして、過去半年間毎日のように話題になっていた、「英国がEU(欧州連合)を離脱すべきかどうか?を問う国民投票」が6月23日(木)に実施される予定です。

【参考記事】

●6月米利上げ織り込み度が33.8%へ急上昇! 今週、イエレンのどんでん返しはあるのか?(5月24日、西原宏一&松崎美子)

 こうしたビッグイベントを控え、為替市場は小動き。2016年年初から急落を演じていた英ポンドも反発気味。

英ポンド/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)

 そして、高値から15%急落したあとに調整局面入りした米ドル/円は、依然レンジ圏内での推移。

【参考記事】

●豪ドルはなぜ、急落しているのか? 豪州はゼロ金利へ向かっているとの予想も!?(5月12日、西原宏一)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 6月FOMCでの米利上げ期待の高まりから、主要通貨が総じて米ドル高に傾く中、米ドル/円は上げ渋っています。

 前回のコラムでもご紹介しましたが、米ドル/円の社内レートを110円に変更している本邦企業が増えてきたため、110円台では彼らからの米ドル売り注文が、米ドル/円の上値を抑えている展開。

【参考記事】

●米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?(5月19日、西原宏一)

 ちなみに、本邦企業の社内レートの概要は以下のとおり。

105円=トヨタ、日産、スズキ、富士重工

110円=日立、富士通、旭化成、三菱重工

115円=NEC

■米ドル/円は調整局面入りも上値は限定的 今年(2016年)の米ドル/円の動きを整理すると、125円の高値から20円急落しました。

 106円台は高値から15%の下落ですので、このレベルから反発。その後、5円上がったレベルでもみ合っているという展開です。

【参考記事】

●麻生財務相の口調強く、介入の可能性も!? 豪州利下げで、豪ドル安の行方にも注目!(5月10日、西原宏一&松崎美子)

 そして、前述のように本邦輸出企業からの米ドル売り注文で上値が抑えられています。

 米ドル/円の110円、さらに言えば115円に社内レートを設定している企業にとって今回の米ドルの反発は、輸出予約を押さえる好機です。

 米ドル/円は引き続き、戻り売りスタンス継続。

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  今週(5月23日~)はNYダウや日経平均がジリ高で推移する中…
米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか? ブログ

米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?

■FOMC議事録は6月利上げを示唆する内容に マーケットで大きく後退していた米国の利上げですが、5月19日(木)に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では6月利上げの可能性を示唆。これに呼応し、米ドルが一時全面高となりました。

米ドルVS世界の通貨 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 30分足)

 米ドル/円は久々の110円台。ユーロ/米ドルは1.12ドル台前半。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

ユーロ/米ドル 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 30分足)

 このコラムで注目の豪ドル/米ドルは07200ドル割れ目前の0.72ドル台前半で推移。

【参考記事】

●豪ドルはなぜ、急落しているのか? 豪州はゼロ金利へ向かっているとの予想も!?(5月12日、西原宏一)

豪ドル/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)

 FOMC議事録は、FRB(米連邦準備制度理事会)が依然として中国経済の動向を筆頭に世界経済の下ぶれリスクを注視していること、加えて、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が、マーケットの不透明さを増す要因になるのではないかとの懸念があることをうかがわせる内容となっています。

 一方、米国の6月利上げ予測の台頭による米ドル高を嫌気して、米国株は軟調。商品相場は下落しました。

NYダウ 15分足(出所:CQG)

WTI原油先物 15分足(出所:CQG)

 マーケットはリスクオフへとシフトしつつあり、これが米ドル/円の上値を抑えています。

 しかし、この米ドル全面高の流れの中、米ドル/円の戻りは限定的…