ステーブルコイン普及で銀行収益「36兆円」消失リスク|キャップジェミニ報告

この記事の要点

  • キャップジェミニ、世界決済動向の年次報告書を公表
  • ステーブルコイン普及で銀行収益最大36兆円が消失リスク

まずはステーブルコインを詳しく

ステーブルコインが銀行収益36兆円を脅かす

IT・コンサルティング大手キャップジェミニの調査機関「キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート」は2026年9月24日、世界の決済動向をまとめた年次調査「World Payments Report 2027」を公表しました。

同報告書は、ステーブルコインやトークン化預金、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が実験段階から商用化へ移り、2030年までに世界の決済取扱高の約4%を占めると予測しています。

決済市場でこうしたデジタル通貨の存在感が高まれば、銀行が収益源としてきた外国為替スプレッドやコルレス銀行手数料、フロート収入、取引処理手数料が圧迫されると同報告書は分析しました。

その結果、銀行の決済収益のうち最大2,300億ドル(約36.3兆円)が失われるリスクがあるとキャップジェミニは試算しています。

さらに、取引銀行がこうした変化に追いつかなければ、約60%の企業がノンバンクからステーブルコインサービスを調達する意向を示しており、決済収益の流出が顧客の銀行離れによって加速する可能性も示されています。

国際決済の遅さに企業の7割超が不満

平均3.5日の決済遅延が企業の不満に

調査では、企業の74%がクロスボーダー決済を「遅い・コストが高い・予測できない」と評価しました。

こうした不満の一因となっているのが決済にかかる時間で、企業向け決済は送金の開始から確認・照合まで平均約3.5日を要すると同報告書は説明しています。

決済が完了するまでの間、57%の企業がリアルタイムの支払い状況や資金ポジション、透明性のある価格設定を把握できておらず、一般的なクロスボーダーB2B決済では取引額の約2%に相当する総コストが発生すると分析されています。

銀行の60%は過去3年間で法人向け決済の改革を戦略的な投資分野と見なしてきたものの、主要取引銀行に満足している法人顧客は3社に1社にとどまり、銀行側の投資と企業側の評価にはなお隔たりが残っています。

即時決済で最大630兆円の資本解放へ

こうした決済上の摩擦に対し、同報告書はステーブルコインやトークン化預金、CBDCを「加速型インテリジェント・マネー」と名づけ、24時間365日の取引実行やリアルタイム決済によってクロスボーダー決済の摩擦を減らせると説明しています。

これらが広く普及すれば、決済や流動性確保のため口座に滞留している最大4兆ドル(約630兆円)の資本を解放し、融資や投資などに回せる可能性があるとキャップジェミニは試算しました。

企業側でも新たな決済手段への需要が高まりつつあり、同等のコストと品質であれば71%がトークン化決済の提供先としてフィンテックより銀行を選ぶ意向を示しています。

一方、B2B決済取扱高の36%はすでにノンバンク経由となっており、銀行を選ぶ意向とは対照的に、法人決済の一部はすでに銀行以外へ移っていると同報告書は明らかにしました。

トークン化預金が銀行の最優先分野に

銀行幹部は、加速型インテリジェント・マネーのなかでもトークン化預金を短期的な最優先分野に挙げています。

同報告書によると、銀行のバランスシート上に残せることや、既存の規制枠組みに適合しやすいことが優先度を高める要因となっています。

ただし、加速型インテリジェント・マネーを1つ以上本格展開している「リーダー」級の銀行は全体の21%にとどまり、残る79%は自らの立ち位置を評価している段階だとしています。

同社で決済サービスを統括するイェルーン・ヘルシャー氏は、2,300億ドルの収益が懸かるなか、銀行は新たな決済エコシステムで自らが担う役割を決める必要があるとの見方を示しました。

リーダーと一般行の格差、制度整備の加速

すでに本格展開に入ったリーダー級は、新たな収益源を特定できる可能性が一般的な銀行の3倍にのぼり、減少する取引収益を15カ月以内に補えると見込む一方、その他の銀行では同じ水準の回復に25カ月を要すると同報告書は分析しています。

先行はコンプライアンス面にも及び、リーダー級はネットワークをまたいだ取引モニタリングで一般的な銀行の1.5倍、AIによる不審なウォレット行動の検知やリアルタイムのAML・KYCチェックでは実施割合が1.2倍に達しています。

その一方で、リーダー級でもトークン化やスマートコントラクト、金融ネットワーク間の相互運用を支える人材・技術基盤が整っていると答えた割合は56%にとどまり、商用化を広げるうえで内部基盤の不足が残っています。

キャップジェミニは、こうした人材・技術面の不足を解消できるかどうかが、銀行が実験段階から本格展開へ移行するうえで重要になるとみており、最大2,300億ドルの決済収益リスクを抱えるなかで、銀行各社がノンバンクへの顧客流出にどこまで対応できるかが問われています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.84 円)

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Source:キャップジェミニ報告
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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