
この記事の要点
- CFTC委員長、大規模トークン化へ規制見直しを表明
- ステーブルコイン担保・24時間取引・即時決済を制度化
「大規模トークン化」に備え規制枠組み見直しへ
CFTC(米商品先物取引委員会)のマイケル・セリグ委員長は2026年9月22日、ニューヨーク連邦準備銀行が主催する米国債市場会議で講演し、金融市場の「大規模トークン化」に備えて既存の規制枠組みを見直す必要があるとの見解を示しました。
セリグ委員長は、トークン化やオンチェーン金融、24時間・週7日取引が広がり、ブロックチェーンやAI(人工知能)が金融市場に取り込まれるなか、市場の構造そのものが大きく変わりつつあるとの認識を示しています。
こうした変化について、同委員長は「今後10年間で金融市場は、それまでの数十年間を合わせた以上の変化を経験する可能性が高い」との見通しを示しました。
なかでも世界のデリバティブ市場は、過去20年間で想定元本が約1,200兆ドル(約19京円)へとほぼ倍増しており、その半分近くをCFTCが監督する規模となっています。
セリグ委員長はこうした市場の拡大と構造変化を踏まえ、先物やスワップを個別に監督する従来の枠組みから、現物市場も含めてポジションやレバレッジ、流動性を横断的に把握する体制へ移行する方針を示しています。
仮想通貨規制案をWHへ提出
CFTCが進めるデリバティブ市場改革
証拠金担保にステーブルコイン追加へ
セリグ委員長は、2025年に成立したステーブルコイン規制「GENIUS(ジーニアス)法」のもとで、CFTCがデリバティブ市場でもステーブルコインを証拠金担保として扱えるよう制度整備を進めてきた経緯を説明しました。
CFTCは2026年2月、顧客の証拠金担保として受け入れられるデジタル資産について、国法信託銀行が発行する一定のペイメントステーブルコインも対象に含めるノーアクションレターを発行しています。
続く3月には、先物取引業者(FCM)やデリバティブ清算機関(DCO)がデジタル資産を証拠金担保として扱う際の考え方を整理した11項目のFAQ(よくある質問と回答)を公表しました。
セリグ委員長は、こうした措置を踏まえ、市場参加者や取引所、清算機関によるステーブルコインの責任ある採用をさらに促していく方針を明らかにしています。
24時間取引、資産ごとに適否を慎重判断
トークン化担保に続き、CFTCはデリバティブ市場における24時間・週7日取引を見据えた制度見直しも進めています。
CFTCスタッフは2026年5月、24時間の取引・清算・決済へ移行する際の運用上の留意点をまとめた勧告を公表し、6月には標準的な先物契約を24時間取引へ拡大することの是非についてパブリックコメントを募集しました。
セリグ委員長は、仮想通貨(暗号資産)や貴金属など一部の資産クラスは24時間取引に適する可能性がある一方、農産物やエネルギー、一部の金融商品では同じ枠組みが適さない可能性があると述べています。
そのためCFTCは、すべての市場を一律に24時間取引へ移行させるのではなく、資産ごとの特性を踏まえながら監視や証拠金、運用面の安全措置を検討していく考えを示しています。
清算インフラの整備とトークン化の展望
清算・決済インフラの改革では、CFTCが2026年4月、SEC(米証券取引委員会)と連携し、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とFICC(債券清算機関)のクロスマージン制度を顧客取引まで拡大する免除命令を承認しました。
SECが定めた米国債の中央清算義務は、現物国債が2026年12月31日、レポ取引が2027年6月30日に施行される予定で、CFTCはFCMが顧客資金を用いた清算済みレポ取引に参加できるよう規則の調整を進めています。
こうした清算制度に加えて、セリグ委員長は将来的な市場インフラとしてトークン化担保にも言及し、質の高いトークン化担保には流動性をより動的にし、市場のレジリエンスを高める可能性があるとの認識を示しました。
さらにブロックチェーン技術とトークン化資産について、清算機関や仲介業者、最終利用者の間でほぼ即時の決済とリアルタイムの担保移動を可能にする金融システムの基盤になり得るとの見方を示しています。
1京円規模の米国株にトークン化の道
SEC・CFTC、議会待たず独自に制度整備
仮想通貨市場の包括的な規制を定めるCLARITY(クラリティ)法案は9月15日、上院で審議入りに必要な60票に届かず、手続き上の採決は否決されました。
議会で包括的な市場構造法案の審議が停滞するなか、SECは9月17日、トークン化された米国上場株式のオンチェーン取引を一定の条件下で認める5年間の「イノベーション免除」を公表しました。
CFTCでも、セリグ委員長が9月22日の講演で大規模トークン化や24時間取引を見据えた規制枠組みの見直しを掲げ、ステーブルコイン担保や清算・決済インフラを含む市場制度の改革を進める考えを明らかにしています。
SECがトークン化株式の取引制度を打ち出す一方、CFTCはデリバティブ市場の担保や取引時間、清算制度を見直しており、オンチェーン金融を巡る取り組みは両機関それぞれの監督領域で展開されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.51 円)
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Source:CFTC公式講演
サムネイル:AIによる生成画像
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