AI決済プロトコル「x402」に重大欠陥|主要15社でセキュリティ不備

この記事の要点

  • EPFLら研究チーム、x402主要15社全社でセキュリティ不備を公表
  • 資産窃取含む攻撃4種確認、取引の99%に影響か

AI決済「x402」に重大欠陥、資産窃取も

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)などの研究チームは2026年8月13日、USENIX Security Symposiumで、AIエージェント向け決済プロトコル「x402」の主要事業者に複数のセキュリティ上の不備が見つかったとの調査結果を公表しました。

調査では、x402で支払いの検証と精算を仲介する「ファシリテーター」と呼ばれる主要事業者15社を検証した結果、すべての事業者で少なくとも1件のセキュリティルール違反が確認されています。

対象にはCoinbase(コインベース)やThirdweb(サードウェブ)、PayAI(ペイAI)、Mogami(モガミ)などが含まれ、全体で49件のルール違反と31件の未知の脆弱性が特定されました。

AIエージェントやソフトウェアが自律的に支払いを完結するx402の採用が広がるなか、研究チームは現状の基盤が実用段階で求められる安全水準に達していないと結論づけています。

研究チームは一連の不備から資産窃取やサービス妨害など4種類の攻撃手法を整理しており、実際に悪用されうるセキュリティ上の問題として報告しています。

x402で確認された4つの攻撃シナリオ

ETH署名規格の盲点突く最重要攻撃

研究チームは4種類の攻撃のうち、イーサリアム(ETH)の署名規格「ERC-6492」を悪用してファシリテーターの資産を狙う手口を最も深刻なケースと位置づけています。

この攻撃では、ブロックチェーン上にまだ展開されていないウォレットでも署名を検証できるERC-6492の仕組みが悪用され、本来の決済とは異なる処理を実行させる恐れがあります。

研究チームは実験で不正なメタデータを送り込み、任意のトークン承認取引をファシリテーターに肩代わりさせる状態を再現しました。

実際の資金移動までは行っていないものの、攻撃者がこの権限を握ればファシリテーターの資産を移す承認を得られるとして、研究チームは直接的な資産窃取につながる攻撃に分類しています。

ガス代肩代わりに約20万ドルの支出

ERC-6492を悪用した別の手口では、ファシリテーターが加盟店に代わってブロックチェーンの手数料(ガス代)を負担する仕組みを狙った攻撃も3件確認されました。

攻撃者は高コストな処理を意図的に発生させ、そのネットワーク費用をファシリテーターに肩代わりさせることで、際限なくコストを負わせられるとしています。

研究チームは、こうした費用を照合・返金する仕組みがなければ、攻撃者によって発生した取引コストをファシリテーター側がそのまま負担することになると指摘しています。

研究チームが2025年10月から12月にBaseとソラナ上の1億1,900万件超を分析した結果、ファシリテーターが負担した手数料は約20万2,000ドル(約3,220万円)にのぼり、このうち約5,800ドル(約92万円)は失敗して巻き戻ったBaseの取引に費やされていました。

決済前に商品を渡す「無料取得」攻撃

ファシリテーターに直接損失を負わせる手口だけでなく、加盟店が代金を受け取れないまま商品やサービスを提供してしまう「フリーショッピング(無料取得)」と呼ばれる攻撃も確認されました。

x402の正常な決済では、ファシリテーターによる認可の検証と支払いの成立を経てから、加盟店が商品やサービスを提供する流れとなっています。

ところが一部の実装ではこの順序が守られず、決済が確定する前に加盟店が商品を渡してしまう状態が生じており、研究チームは攻撃を最後まで再現できたケースを2件確認しています。

研究チームは一連の攻撃を「無料取得」「資産窃取」「サービス妨害」「ガス代悪用」の4種類に分類しており、加盟店の金銭損失やファシリテーターの資産流出、決済サービスの停止などにつながりうるとしています。

ただし、分析した1億1,900万件超の取引すべてに脆弱性が存在したわけではなく、どの不備が現在の稼働環境に残っているかまでは今回の調査で確定していないと説明しています。

取引の99%を担う15社全社に不備

調査時点でx402は6万を超える販売者と36万を超える購入者に利用されており、対象となった15社だけで期間中の取引の99%、決済額の98%を占めていました

こうした決済の大半を担う15社すべてでセキュリティルール違反が見つかったことから、各ファシリテーターの不備が加盟店や利用者に与える影響も広範囲に及ぶ可能性があります。

研究チームから指摘を受けた一部のプロバイダーでは、今回確認されたセキュリティ上の不備を受けて、すでに修正対応が進められています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.41 円)

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Source:USENIX Security Symposium
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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