電算システムと業務提携をした狙いとは?フィナンシェ田中隆一氏が語る「コミュニティ×ステーブルコイン」

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トークンコミュニティ基盤「FiNANCiE」を展開し、数々の地域創生やWeb3プロジェクトを牽引する株式会社フィナンシェが、2026年5月20日に株式会社電算システムとの資本業務提携を発表した(※1)。

※1 参考 プレスリリース 電算システムとフィナンシェが Web3×地域創生で資本業務提携

株式会社電算システム(以下、電算システム)は2025年夏頃からステーブルコイン決済の領域でさまざまなプロジェクトを発表している企業である。この電算システムが展開する観光・地域創生共創プロジェクト「NIPPON WONDER FACTORY(ニッポン ワンダー ファクトリー)」において、フィナンシェのトークンコミュニティ基盤が実装されるそうだ。

コミュニティトークン(以下、トークン)を活用したトークンコミュニティ実装のノウハウを持つ株式会社フィナンシェ(以下、フィナンシェ)と決済インフラに強みを持つ電算システム。この両社の資本業務提携によって、どのようなプロジェクトが実現するのか。

本記事では、資本業務提携における狙いからフィナンシェが描くOEM展開の展望まで、株式会社フィナンシェの田中 隆一さん、鈴木 貴大さんにインタビューを行った。

【プロフィール】

田中 隆一(たなか りゅういち)
株式会社フィナンシェ 共同創業者・取締役。ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディング「FiNANCiE」を2019年に共同創業し、スポーツチームやリーグ、選手・クリエイターなど個人のトークン事業を統括。DeNAでの新規事業立ち上げ、海外大手ゲーム会社での大手プラットフォームとのアライアンス、東南アジアでのオンライン決済事業まで、国内外で一貫して新規事業を生み出してきた連続起業家。

鈴木 貴大(すずき たかひろ)
株式会社フィナンシェ アライアンス室マネージャー。
事業会社へのWeb3ビジネス提案を起点に、アライアンス・出資・OEM受託など様々な事業連携の組成に取り組む。

官民連携や地域創生、大手エンタメ領域まで、幅広い分野でトークン設計・トークン発行型クラウドファンディング・コミュニティ構築を支援してきた経験をもとに、フィナンシェのアセットを活かしたWeb3事業の構想から事業化までを提案・伴走する。

多様な協業と「推し活」の拡がり

NFTMedia編集部(以下、編集部):最初に、フィナンシェにおける最近の取り組みについて教えていただけますでしょうか。

鈴木貴大(以下、鈴木):企業やプロジェクトを多角的に支援する事例が増えてきています。

弊社は「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をビジョンに、2019年に創業しました。主な領域として推し活・応援の熱量を可視化するトークンコミュニティのプラットフォーム「FiNANCiE」のサービス運営やそこで培った知見をもとに新たに開始したOEM開発、自社での暗号資産「FNCT」発行やその知見を活用した取り組みを行っております。

また最近ですと、「推し活×トークン」の「トークンプラス」や「推し活プラス」という機能も提供しております。

これは、光回線やインターネット、ガス、電気、クレジットカードなどを利用すると、月額利用料の一部が還元され、その還元分を通じてトークンを買っていく仕組みです。

また、丸井グループ様やFFGベンチャービジネスパートナーズ様、J.フロントリテイリング様、TIS様、そして今般の電算システム様といった上場企業からも株主としてご支援いただいており、各社と協業の取り組みも行っています。

編集部:最近は、企業と直接組んでプロジェクトを進める案件が多いのですね。

鈴木:ありがたいことに、企業から直接「FiNANCiEのアプリ内で何かやりたい」というお話もいただきますし、今回のNIPPON WONDER FACTORYプロジェクトのように外部システムにFiNANCiEの機能を組み込みたいというお問い合わせも非常に増えています。

最近では、官民連携の事例やステーブルコインといった取り組みの中で何かできないか、というご相談も増えている状況ですね。

編集部:FiNANCiEの培ってきたロイヤルティ設計やコミュニティ形成のノウハウが、幅広い場面で求められているのですね。

電算システムとの出会い──「NIPPON WONDER FACTORY」と継続的な支援

編集部:今回の電算システムとフィナンシェとの資本業務提携では、「NIPPON WONDER FACTORY」プロジェクトの地域創生プラットフォームを共同展開されますよね。地域創生も言い方を変えれば一つのファンマーケティングとして捉えられそうです。

今回の電算システムとの提携に関して、最初のきっかけや経緯はどのようなものだったのでしょうか。

田中隆一(以下、田中):最初のきっかけは、電算システム様が「NIPPON WONDER FACTORY」という、地域の事業者を応援するプロジェクトをちょうど立ち上げられたタイミングで、継続的に続く仕組みを模索している最中でした。一方で弊社は「FiNANCiE」のプラットフォーム自体で約400のプロジェクトを運営してきた実績があり、地域の事業者とも数多くの取り組みがあります。

編集部:FiNANCiEの中にすでにたくさんの地域創生コミュニティがあり、成功事例や失敗事例のノウハウが蓄積されているわけですね。

田中:そうなんです。そうした事例を活用しながら、「NIPPON WONDER FACTORY」で目指す世界観を一緒に達成できるのではないか、という議論をさせていただいたのがきっかけですね。

ステーブルコインの課題──「使われるユースケース」をどう創るか

編集部:電算システムはJPYC関連で各企業との取り組みを加速させています。今回の電算システムとの提携でも、ステーブルコインを含めた事業展開はあるのでしょうか。

田中:ステーブルコインを社会実装するうえでの大きな課題として「どうやってユースケースを作っていくか」という点を重視しています。仕組みを導入しても、実際に使われなければ意味がないですからね。

そこでステーブルコインが実際に使われるような施策を一緒に考えるなかで、FiNANCiEのトークン設計や、事業者を巻き込む仕組みに可能性を感じていただきました。

編集部:FiNANCiEのエコシステムにステーブルコインを導入すると、事業の幅が広がりそうですね。具体的には、どのような活用が考えられますか。

田中:例えば、弊社サービス内での決済や、地域の店舗や観光施設での決済など、デジタルとリアルでのシームレスな経済圏の構築を想定しています。

FiNANCiEにおける従来の事業では、事業者ごとにトークンを発行していました。しかしステーブルコインと連携することで、より広大な地域に経済圏を作っていくことができます。

すでにトークンを発行しているプロジェクトへの接続やインフルエンサーを巻き込んだ提案もできるので、支援できる領域が非常に大きいと考えています。

編集部:FiNANCiEのコミュニティを盛り上げるノウハウと、電算システムのステーブルコイン技術が融合することで、より地域に根ざした決済手段やトークンが使えるようになるのですね。

自治体の反応と手応え──三島市「伊豆ファン倶楽部」の事例

編集部:今回の電算システムとの資本業務提携では、「Web3×地域創生」をテーマとされています。

FiNANCiEの内部でも地域創生を目的としたコミュニティが活動していると思いますが、各自治体や行政関係者の方はWeb3に対してどれほどの関心を示されているのでしょうか。

鈴木:そのあたりは、自治体によって本当に千差万別ですね。

例えば、静岡県三島市様とは、「Whiskey&Co.様(ウイスキーアンドコー)(※2)」での取り組みや、官民連携型DAOの「伊豆ファン倶楽部様(※3)」などの事例を通じてお話をさせていただいております。

※2 参考 プレスリリース 都市型小規模蒸留所の全国展開による各地域の連続的活性化を目指すWhiskey & Co.が、三島限定Whiskeyづくりに挑戦
※3 参考 プレスリリース 伊豆エリアの産業活性化に取り組む「伊豆ファン倶楽部」FiNANCiEにてトークンを活用した官民連携型DAOを始動!

編集部:ウイスキーを製造したり、地域共通のトークンで街を活性化させるプロジェクトですね。

鈴木:このようなユースケースを通じて、「トークン(コミュニティトークン)とはどういうものか」、「Web3とは何か」といった議論をしているところです。

編集部:私も以前、Web3のイベントで三島市の市役所の方とお話しさせていただきましたところ、行政全体でWeb3に対する熱量を感じましたね。

第1弾プロジェクトに向けて──2026年夏の始動と水面下の動き

編集部:電算システムとの資本業務提携について、プレスリリースでは「2026年8月頃を目処に共創プロジェクトの第一弾を発表予定」と記載されています。

水面下では特定の事業者等との協議が進んでいるのでしょうか。

鈴木:まだ詳細にはお話できませんが、「NIPPON WONDER FACTORY」というブランドの中で各地の事業者と取り組みを進めています。

具体的には、事業者が実際にトークンを発行してコミュニティを作っていく取り組みが動いています。2026年の夏ごろにかけて始動する予定ですね。

編集部:まだ詳細は公開できないものの、第1弾に向けて進められているのですね。

鈴木:はい、水面下では第2弾以降も進行している状況です。

編集部:第2弾以降も計画されているのですね。それは楽しみです。

新設「アライアンス室」の狙い──OEM提供と伴走型支援へのシフト

編集部:「NIPPON WONDER FACTORY」の取り組みに関して、プレスリリースの中で「本提携を起点にフィナンシェのトークンコミュニティ基盤をOEMという形で広く外部へ開放する」とあります。この内容について、詳細を教えていただけますか。

鈴木:今回、トークンコミュニティの基盤をOEMとして提供する新事業が始まりました。この役割を担うのが、新設されました「アライアンス室」という部署です。

この背景として、FiNANCiEがこれまで培ってきたWeb3のノウハウを社内に閉じ込めるのではなく、どんどん社外にも展開していきたいとの思いがあります。そして、地域創生を含め、日常生活のさまざまな場面でWeb3を日本に浸透させていきます。

そのために、一緒に取り組むパートナー企業向けに、我々のノウハウをOEMとして提供したり、トークン保有者に対するマーケティングを提供していきたいと考えています。

金融機関様やSIer様、小売事業者様、観光旅行業様など、幅広い企業と今回のような連携ができたら嬉しいですね。

田中:補足させていただくと、今までは「FiNANCiE」というサービスの中で活用いただくケースが多かったのですが、我々のコアは「国内でWeb3のトークンを流通・発行できる基盤を持っていること」です。

それを相手先のサービスやブランドに組み込んでいただく、いわゆるOEM提供によるオープン化を進めています。

ただ機能を提供するだけでなく、実際に店舗や事業でWeb3をどう活用していくかという戦略の策定から、実際のシステム構築、そして事業化まで伴走させていただくことが、今回新しくリリースさせていただいた肝となる部分です。

編集部:システムだけを提供されても、なかなか上手くいかないですもんね。FiNANCiEのノウハウも一緒に提供しながら伴走していただける形なんですね。

田中:おっしゃる通りです。結局「Web3を導入する目的は何だっけ?」となったとき、最終的なゴールはビジネスの成長や新たなビジネス機会の創出だと思います。

それをしっかり踏まえた上で、どういう機能を組み込んでいけばいいかを逆算して設計し、基盤も含めてご提供できることが我々の強みだと思っています。

編集部:これまで培ってきたノウハウや技術をどんどん展開して、外に広めていくフェーズに入られているのですね。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

インタビューを終えて

本インタビューを通じて最も印象的だったのは、フィナンシェが「自社プラットフォームの拡大」というフェーズから、「培ってきたWeb3ノウハウと基盤のオープン化」という新たな次元へ明確にシフトしている点だ。

電算システムとの資本業務提携は、ステーブルコインという金融インフラに「トークンコミュニティ」という実用的な血を通わせるためのマッチングであると感じた。

2026年夏に予定されている「NIPPON WONDER FACTORY」枠での第1弾プロジェクトを皮切りに、水面下で動いている多数の地域創生案件がどのように世に出てくるのか。フィナンシェが仕掛ける「Web3の社会実装」から、今後も目が離せない。

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