
トークン化預金での国際決済の実証実験へ
国際銀行間通信協会スウィフト(Swift)が、開発を進めてきたブロックチェーンベースの共有台帳(Shared Ledger)が初期利用の準備を整えたと7月9日に発表した。これにより、早期参加行はトークン化預金を活用した24時間365日対応のクロスボーダー決済に向けたライブ取引の試行準備を進める。スウィフトは、規制下にあるデジタル資産の普及に向けた重要な節目になるとしている。
この共有台帳を活用した初期のライブ取引の試行に向けた準備を進めているのは、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)、BNPパリバ(BNP Paribas)、BNY(BNY)、シティ(Citi)、DBS銀行(DBS)、第一アブダビ銀行(First Abu Dhabi Bank:FAB)、ファーストランド銀行(FirstRand Bank)、HSBC(HSBC)、イタウ・ウニバンコ(Itaú Unibanco)、ロイズ銀行(Lloyds Banking Group)、マシュレク銀行(Mashreq)、三菱UFJ銀行(MUFG Bank)、OCBC銀行(OCBC)、スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)、UBS(UBS)、UOB銀行(UOB)、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)の17行だ。
この共有台帳は、各銀行がそれぞれの台帳上で発行するトークン化預金を安全に取り扱うための共通のオーケストレーションレイヤーとして機能する。銀行はこれを利用することで、最終的な決済を既存システムで完了させる前に、夜間や週末を含めていつでも顧客資金を移動できるようになる。
これにより、コンプライアンスや与信・リスク管理、統制に関する既存の基準を維持したまま、顧客へのサービス向上やグローバルな資金効率の改善が期待されるという。
スウィフトは2025年9月にこの共有台帳構想を公表して以来、世界各国の金融機関からの意見を取り入れながら、約9カ月で設計・構築を進めてきた。
今回の取り組みは、世界のGDPに相当する資金を2〜3日ごとに200以上の市場間で移動させているスウィフトの既存インフラを基盤に、デジタル資産時代に向けた新たな相互運用基盤の構築を目指すものとなる。
スウィフトの最高事業責任者(CBO)ティエリー・シロシ(Thierry Chilosi)氏は、、この新たな共有台帳について、「確立された金融システムの信頼性と安定性をデジタルマネーの世界へ広げるものだ」とコメント。コンプライアンスやレジリエンス、セキュリティといった高い基準を維持しながら、国境を越えたトークン化された価値の移転スピードや柔軟性を高めることができると説明した。また、プログラマブルマネーやAIエージェントが自律的に行う商取引(エージェンティック・コマース)など、今後の新たなユースケースにも対応できる基盤になるとの見方を示している。
スウィフトによると、同ネットワークでは決済の75%が10分以内に受取銀行へ到達しており、多くは数秒以内に処理されているという。また、G20が掲げる国際送金の改善目標に向けた取り組みも継続している。
現在は、手数料の事前透明性や送金額の全額着金、より一貫した利用体験を実現するリテール決済フレームワークの導入も進めており、今回の共有台帳とあわせて、規制下にあるさまざまなデジタル資産を安全かつ相互運用可能な形で移転できるインフラの構築を目指すとしている。
参加銀行各社も今回の取り組みに期待を示している。
ANZのトランザクション・バンキング担当マネージングディレクターのリサ・ヴァシッチ(Lisa Vasic)氏は、リアルタイムかつ24時間365日対応の国際送金の実現に向けた重要な前進だとコメントした。
HSBCのグローバル・ペイメント・ソリューションズ責任者のマニシュ・コーヒ(Manish Kohli)氏は、複数市場で進めてきた同行のトークン化預金サービスをスウィフトの共有台帳へ接続できることに期待を示した。
また、三菱UFJ銀行のシニアフェロー兼トランザクション・バンキング担当グローバルヘッドである松本雅弘氏は、次世代の金融市場インフラの検討を前進させる国際的な取り組みに参画できることを歓迎するとコメントしている。
参考:発表
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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