フィリピン中銀、VASPによる匿名性強化型暗号資産の上場・取扱を禁止

VASPにデューデリ強化求める

フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)が、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対し、暗号資産の上場審査や継続モニタリング基準の強化を求めている。急速に拡大するデジタル資産市場に対応し、投資家保護や市場健全性確保を目的とした規制強化の一環とみられる。現地紙「The Philippine Star」が6月14日に報じた。

現地報道によると、BSPのリン・ハビエル(Lyn Javier)副総裁は通達で、VASPに対し「堅牢なデューデリジェンスおよび認定プロセス(accreditation process)」の構築を義務付けた。対象となるのは、取引所などが顧客向けに提供するコインやトークンの上場・取扱審査だ。

今回のガイドラインでは、VASPが暗号資産を評価する際、発行体の背景、市場成熟度、ユースケース、透明性・追跡可能性・セキュリティ、償還・流動性・準備資産、法務・コンプライアンスといった複数の観点から審査するよう求めている。

発行体審査では、定款や一般情報シート、監査済み財務諸表、所有・グループ構造、最終受益者(UBO)、取締役や役員、運営者、発起人などの適格性確認などが確認項目となり得る。また、発行体と規制当局、他VASP、政府関係者などとの利益相反リスクについても確認が求められる。

市場成熟度については、時価総額や市場シェア、過去30日間の平均取引量、発行価格、市場での経過年数、オンチェーン保有者数、対応取引所などを考慮する方針だ。さらに、トークンの目的や用途、トークノミクス、購入方法、対応ブロックチェーン、各種リスクなどを記載したホワイトペーパーを、利用者が容易に確認できる状態にする必要があるとしている。

特にBSPは、ステーブルコインなどの資産担保型・法定通貨担保型トークンへの監視を重視している。VASPには、トークンの発行(ミント)、償還、焼却(バーン)といったライフサイクル全体に加え、価格安定維持メカニズムについても評価するよう求めた。

また、準備資産の構成や検証可能性、流動性提供者、償還権なども確認対象となる。BSPは、これらの要素が市場安定性や投資家信頼維持に重要だと説明している。

法務・コンプライアンス面では、所有条件、購入者の権利義務、所有権移転制限、苦情・紛争解決手続き、他国での規制上の位置付け、会計・評価処理なども審査項目に含まれる。

さらにBSPは、VASPに対し、上場後も継続的なモニタリングを行い、基準から逸脱した場合には上場廃止(デリスティング)を行うための閾値設定も義務付けた。また今回の措置(通達番号:M-2026-023、6月5日付)では、匿名性を高めるプライバシー系暗号資産について、フィリピン国内のVASPによる上場・取扱いを明示的に禁止している。なお、個人がプライバシー系資産をセルフカストディ(自己管理)で保有することは今回の禁止の対象外とされている。

なおBSPは、今回示した基準は「網羅的ではない」と説明しており、各VASPが独自の上場審査フレームワークを構築することも認めている。ただし、その内容はBSPガイドラインとの整合性が必要となる。

アジア各国では近年、暗号資産規制の整備が進んでおり、フィリピンでも投資家保護やマネーロンダリング対策(AML)強化を背景に監督体制の強化が進められている。今回の措置は、特にプライバシー系暗号資産やステーブルコイン、新興トークンに対する審査厳格化の流れを示すものとなった。

参考:報道
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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