※当サイトには広告が含まれます。
2025年10月27日、国内初の円建てステーブルコインとして、JPYCの正式発行が開始されました。それから半年が経過した2026年4月時点で、累計発行額は約22億円を突破。直近3ヶ月で見ると、約2.6倍のペースで成長を遂げています。
一方、累計発行額から償還額を引いた現在の流通残高は約5億円にとどまります。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、これはJPYCが保有を目的としたものではなく、実際に使い続けるお金として動いている証拠です。発行された円が使われ、戻ってくる。そのサイクルが毎日回り続けています。
さらに、実店舗での決済対応やクレジットカード連携、大手金融機関との提携など、ユースケースも着実に広がっています。
この記事では、JPYCの基本的な仕組みや購入方法には触れず(詳細はJPYCとは?の解説記事をご覧ください)、オンチェーンデータをもとに、発行から半年経ったJPYCの今を読み解いていきます。
\100円から始められる&各種手数料0円/
発行から半年のオンチェーンデータ
まず、2026年4月下旬時点の主要データを整理します。参考にしたのは、JPYCのオンチェーンデータをまとめているJPYC InfoとJPYCダッシュボードです。


| 指標項目 | 数値 |
| 累計発行額 | 約22.58億円 |
| 累計償還額 | 約17.52億円 |
| 流通残高 | 約5億円 |
| 保有アドレス数 | 約60,000 |
| 1アドレス平均保有額 | 約8,327円 |
| 直近7日間の発行額 | 約1.03億円 |
ここで押さえておきたいのが、累計発行額と流通残高の区別です。報道や二次情報では両者が混同されることが多いですが、プレスリリース等で語られる「累計〇〇億円突破」というのはあくまでフロー(発行総量)であり、現在の発行残高ではありません。

上のグラフは日次の発行量(青)と償還量(オレンジ)の推移を示したものですが、正式発行から現在に至るまで、双方がほぼ毎日対称的に動き続けていることがわかります。
直近7日間の発行額は約1.03億円で、流通残高(約5億円)の2割近くが毎週入れ替わっている計算です。1アドレスあたりの平均保有額も約8,327円と少額で、大口の資産運用よりも日常的な少額利用に使われている実態がうかがえます。
また、累計発行額の時系列を追うと、2025年11月の2億円突破から2026年4月下旬の22億円超まで、半年で11倍以上のペースで成長しています。特に2026年に入ってから加速しており、直近3ヶ月では約2.6倍のペースで成長していることがプレスリリースで発表されました。

3チェーンに生まれた自然な役割分担


JPYCは現在、Polygon・Ethereum・Avalancheの3チェーンで発行されています。
同じ1JPYC=1円のステーブルコインであっても、チェーンごとの利用実態を見ると、少しずつ役割の違いが見え始めています。
- Polygon:少額利用の主要レール
- Ethereum:大口・DeFiの基盤
- Avalanche:意外な躍進
発行から半年が経過した時点で、それぞれどのような使われ方をしているのかを見ていきます。
Polygon:少額利用の主要レール
Polygonは、発行開始からほぼ毎日チェーン別総流通量で最大シェアを占めており、JPYCの主要な利用レールの一つとして存在感を高めています。
ホルダー数は34,787人で3チェーン中最多ですが、そのうち97%が1万JPYC以下の少額保有層です。低いガス代と処理の速さから、数千円単位の送金や決済に向きやすいチェーンといえます。
実店舗では千房でJPYC決済が始まり、HashPort Wallet for BizによるQRコード決済も導入されました。(後述)
今後、こうした店舗決済やキャンペーン配布など、一般ユーザーに近い少額利用の受け皿として、Polygonの重要性はさらに高まりそうです。
Ethereum:大口・DeFiの基盤
Ethereumはホルダー数は1,316人と3チェーン中最少ですが、少数のホルダーで一定の流通量を支えており、大口利用やDeFiとの接続が想定されるチェーンとしての性格が見えます。
ガス代の面では少額決済に向きにくい一方、オンチェーン金融との接続では依然として重要な位置にあります。実際に、Secured FinanceなどJPYC建てのDeFiプロトコルが登場しており、さらにx402プロトコルを使った自動決済の実装も進んでいます。
Ethereum上のJPYCは、日常決済よりも資金移動、DeFi、AIエージェント決済のような高度な用途で使われる余地が大きいといえます。
Avalanche:意外な躍進
Avalancheは、Polygonに次ぐホルダー数を抱えており、その多くが少額保有層です。
一見するとPolygonと似た構造にも見えますが、特徴的なのは特定サービスとの接続です。たとえば、次世代クレジットカード「Nudge」では、JPYCによる返済に対応しており、Avalanche上のJPYC送金でカード利用分を支払える仕組みが用意されています。

これは、JPYCが単なる保有や送金にとどまらず、クレジットカード返済という生活に近い用途へ入り始めていることを示しています。
Avalancheは、特定ユースケース起点で伸びるチェーンとして見ておきたい存在です。
半年で広がった「点」から「面」へのユースケース
では、ここから実際に起きた主な展開を紹介します。
- 実店舗決済の始動
- マイナウォレットによる決済実証の広がり
- 大手金融機関との連携
- LINE経済圏への接続
発行開始から半年が経過したJPYCは、単発の決済事例にとどまらず、実店舗、カード会社、金融機関、メッセージングアプリなど、複数の接点へ広がり始めています。それぞれ具体的に見ていきます。
実店舗決済の始動
2026年4月7日、お好み焼きチェーン「千房」の千日前本店・有楽町ビックカメラ支店でJPYC決済が開始されました。
飲食チェーンとしては国内初の事例で、HashPort Wallet for BizによるQRコード決済を採用。手数料無料で、来店客にはSBTも付与されました。
これは、JPYCがオンチェーン上の送金やDeFi利用だけでなく、実店舗での支払いにも使われ始めたことを示す動きです。まだ対応店舗は限られますが、少額決済の実用性を検証するうえで重要な一歩といえます。
マイナウォレットによる決済実証の広がり
マイナウォレット関連では、ステーブルコイン決済の社会実装に向けた実証実験が複数進んでいます。
デジタルガレージ、JCB、りそなHDとの実証では、実店舗「Pangea Café & Bar」において、マイナウォレットを活用したステーブルコインQRコード決済が実施されました。対象アセットには、Base上のUSDCとともにPolygon上のJPYCが含まれています。
また、三井住友カードとの連続実証では、マイナンバーカードや公的個人認証を活用しながら、ステーブルコイン決済をイベント会場などで検証する取り組みが進められています。第一弾はライジングゼファーフクオカのホームゲーム、第二弾は北九州メッセで実施されており、JPYCが実店舗・イベント・カード決済の文脈に接続され始めている点が注目されます。
大手金融機関との連携
2026年3月2日、ソニー銀行との基本合意書が締結されました。
銀行口座から直接JPYCを即時購入できる仕組みの構築を検討するもので、ソニーグループのエンタメIPでの活用も視野に入れています。
また、三菱UFJ信託銀行が受託する形でMUFG・SMBC・みずほの3メガバンクによる信託型ステーブルコインの共同発行実証も動き始めており、円建てステーブルコイン市場全体の制度整備・実証が進む中で、JPYCもその流れの中に位置づけられます。
LINE経済圏への接続
2026年2月27日、LINE NEXTとのJPYC採用が正式決定しました。
LINEアプリ上のWeb3ウォレット「Unifi」へのJPYC搭載が予定されており、LINE経済圏を通じた大規模ユーザー接点の獲得が視野に入っています。
さらに、第2のチェーンとしてKaiaネットワークの追加も検討されています。Unifiのローンチが実現すれば、JPYCはWeb3に慣れたユーザーだけでなく、より一般層に近い導線へ広がる可能性があります。
AIエージェント決済:構想ではなく実装フェーズへ
JPYCの広がりは、人がウォレットを操作して送金・決済する用途だけにとどまりません。AIエージェントがAPI利用料やデータ取得料、サービス利用料等のコストを自動で支払う「AIエージェント決済」の文脈でも、具体的な実装が進み始めています。
開発者向けにははやっち氏よりjpyc-cliが提供されています。同ツールは、ウォレット作成、送金計画、コントラクト操作などをローカルのCLIから実行できる仕組みです。
JSON出力やschema introspectionにも対応しており、人間が画面を操作する前提ではなく、AIエージェントが必要な情報を読み取り、決済処理につなげやすい設計になっています。
さらに、Coinbaseが提唱するx402プロトコルは、AIエージェントやWebサービスによる自動決済の文脈で注目されています。JPYCでも、こうした自動決済を見据えた実装・連携が進み始めており、2026年4月のAI EXPOでも、AI決済領域での活用可能性が紹介されています。
JPYC周辺では、①開発者向けツール(jpyc-cli)、②自動決済プロトコル(x402連携)、③デモを通じた検証といった取り組みが進みつつあります。AIエージェント同士の決済が拡大する可能性を見据え、実装面での準備が始まっている段階といえます。
シリーズB累計約46億円に見る支援者層の広がり

資金調達面でも、半年間で大きな変化が起きています。
2026年2月のシリーズB 1stクローズではアステリアがリード投資家として参画し、総額17.8億円を調達しました。さらに、2026年4月の2ndクローズではメタプラネット、北洋銀行、住友生命系ファンド、NCBベンチャーキャピタル、テクミラホールディングスなどが加わり、28億円を追加調達。シリーズB全体の累計調達額は約46億円に達しています。
ここで注目したいのは、単に調達額が積み上がったことだけではありません。上場企業や金融機関、地域金融に近いプレイヤー、保険会社系ファンドなど、JPYCを支える顔ぶれが広がっている点です。
円建てステーブルコインは、暗号資産・Web3領域だけで完結するテーマではありません。決済や金融、地域経済、企業間取引など、既存の金融インフラ・事業会社との接続が欠かせない領域です。その意味で、シリーズBを通じて支援者層が厚みを増していることは、JPYCが実証段階から社会実装へ進むうえで重要な意味を持ちます。
なお、既存投資家であるUSDCの発行元・Circle社も引き続き支援を継続しています。海外ステーブルコイン事業者からの支援と、国内の金融・事業会社からの支援が重なり始めている点も、JPYCの現在地を示す材料といえるでしょう。
JPYCが直面している課題と想定リスク
発行から半年でJPYCは着実にユースケースを広げていますが、成長を正確に評価するには、課題とリスクにも目を向ける必要があります。
主な論点は以下の4つです。
- 実店舗利用の広がりはまだ限定的
- ウォレット操作のハードルが残る
- 金利環境に左右される収益構造
- 信託型ステーブルコインとの競争
それぞれ具体的に見ていきます。
実店舗利用の広がりはまだ限定的
普及面では、実店舗でJPYCを利用できる場所がまだ限られている点が課題です。
千房での決済開始やマイナウォレット関連の実証など、実用化に向けた動きは出ていますが、日常的に使える決済手段と呼ぶには対応店舗数の拡大が欠かせません。
飲食店や小売店など、一般ユーザーが自然に使える接点をどこまで増やせるかが今後の焦点になります。
ウォレット操作のハードルが残る
ユーザー体験の面では、MetaMaskなどのウォレット設定や、ガス代用トークンの準備が依然としてハードルになります。
Web3に慣れたユーザーであれば大きな問題にならない一方、一般の人にとっては、チェーンの選択や送金操作だけでも離脱要因になりかねません。
LINE NEXTや銀行口座との連携のように、ユーザーがブロックチェーンを意識せず使える導線の整備が重要です。
金利環境に左右される収益構造
収益構造の面では、JPYCが発行・償還手数料を取らないモデルであるため、裏付け資産である円預金や日本国債の運用収益に依存しやすい点がリスクになります。
金利環境が追い風の間は収益化しやすい一方、金利低下や運用環境の変化が起きれば、事業継続や収益性に影響する可能性があります。
決済手数料を抑えながら、持続的な収益基盤をどう作るかは重要な論点です。
信託型ステーブルコインとの競争
競合面では、SBI HDとStartaleによる円建てステーブルコイン「JPYSC」の動きに注目が集まっています。
現時点では、個人向け・パーミッションレス型のJPYCと、法人向け・パーミッション型のJPYSCはすみ分けが進む可能性があります。
ただし、JPYSCが金融機関や事業会社との連携を通じてBtoC領域にも広がれば、競争環境が変わる可能性があります。
まとめ
発行から半年が経過したJPYCは、累計発行額や保有アドレス数だけを見れば、まだ市場全体を大きく変える規模には達していません。しかし、累計発行と償還が日々回転し、Polygon・Ethereum・Avalancheの3チェーンで異なる使われ方が生まれ始めている点を見ると、使われるデジタル円として動き出していることがわかります。
この半年で、実店舗での決済、マイナウォレットを活用した実証、ソニー銀行との連携、LINE NEXTへの採用、AIエージェント決済など、JPYCの接続先は着実に広がりました。さらに、シリーズBを通じて上場企業や金融機関、保険会社系ファンドなど支援者層も厚みを増しています。
一方で、実店舗で使える場所の少なさ、ウォレット操作の難しさ、金利環境に左右される収益構造、JPYSCとの競争など、解決すべき課題も残っています。
JPYCが本格的に普及するかどうかは、次の半年でどれだけ一般ユーザーが意識せず使える導線を作れるかにかかっています。発行から半年の現在地は、完成形ではなく、社会実装に向けた入口に立った段階といえるでしょう。
\100円から始められる&各種手数料0円/
The post 発行から半年で累計発行22億円超──JPYCの今をデータで読み解く first appeared on NFT Media.
参照元:NFT Media
GMOコインでETHを購入する
Hash Portと連携し、


コメント