2025年仮想通貨決済トレンド:北米はビットコイン急伸、アジアではステーブルコインが台頭

米国はBTC決済拡大、アジアはUSDTが急伸

2025年8月13日、仮想通貨決済企業のCoinGate(コインゲート)は、世界各地域の仮想通貨決済トレンドを分析した最新レポートを発表しました。

同レポートによると、米国を中心とする北米ではビットコイン(BTC)決済の利用比率が拡大し、一方、アジア地域ではテザー(USDT)などのステーブルコインが主要な決済手段となっています。

世界全体の統計では、2024年にUSDT決済比率が39.7%まで急増してビットコインの21.0%を上回りましたが、2025年前半にはビットコインが23.3%まで回復し、USDTは24.8%にとどまりました。

北米では依然としてビットコインが最大シェアを占める一方、アジアではUSDTの利用比率が高く、特にシンガポールでは居住者の約26%が仮想通貨を保有しているとのデータも示されています。

こうした傾向を踏まえ、グローバル企業や決済プロバイダーは各地域のニーズに応じた仮想通貨決済手段の提供を進めています。

CoinGateが分析する地域別2025年仮想通貨決済トレンド

北米はビットコイン決済が依然として優勢

北米地域ではビットコイン決済が依然として優勢で、特に米国では仮想通貨決済全体の約40%がビットコインで行われています。

CoinGateのデータによると、米国は2025年上半期の世界全体の仮想通貨決済注文数の約23.2%を占める最大市場です。ライトコイン(LTC)イーサリアム(ETH)USDコイン(USDC)も一定の役割を果たしているものの、ビットコインが主要な決済手段となっています。

加えて、米国はビットコインのLightning Network(ライトニングネットワーク)利用でも世界をリードしており、全ライトニング決済の54%が米国から送信されていると報告されています。

隣国カナダもビットコイン中心の傾向は似ていますが、決済に占めるイーサリアムの割合が17%に達する点が特徴となっています。

ヨーロッパ各国で異なる仮想通貨決済傾向

ヨーロッパでは国ごとに決済通貨の選好が分かれており、各国で異なる傾向がみられています。

ドイツでは、2023年は決済の約32%をBTCが占めていましたが、2025年にはUSDTが約22%、BTCが約21%とほぼ拮抗する状況に変化しました。これは手数料の安いトロン(TRON/TRX)ネットワーク上のUSDT利用が増えたことが一因とされています。

イギリスでは現在もBTC決済が全体の28%を占めていますが、イーサリアムやUSDCの比率も合計で20%を超えました。

オランダではBTCとUSDTがそれぞれ24%と23%で二分しており、ドージコイン(DOGE)やトロンの利用も各6%見られるなど、決済銘柄の多様化が進んでいます。

なお、欧州連合で成立したMiCA規制の影響により、USDTの利用は制限されています。その結果、2025年にはUSDT決済比率が急減する一方で、規制に準拠したUSDCが初めて決済シェア上位に入りました。

アジアで顕著なUSDT決済シェアの高さ

アジアではステーブルコイン決済への偏重が顕著であり、特にUSDTの存在感が際立っています。

インドでは仮想通貨決済の43%がUSDTで行われており、この割合は2023年の約2倍に拡大しました。一方、香港は2024年に決済の69%がUSDTでしたが、2025年前半には50%まで低下しています。

一方、日本では他のアジア諸国と比べて利用銘柄が分散しています。2025年時点のシェアはUSDTが30%でトップ、続いてトロンが16%、ビットコインが14%、USDCが11%、イーサリアムが9%と、比較的バランスの取れた構成です。

また、シンガポールは取引件数の世界シェアこそ約1%に留まるものの、取引価値ベースでは世界全体の6%を占めており、高額決済が多い点が特徴となっています。

アフリカ・豪州・南米の仮想通貨決済市場

アフリカ最大の仮想通貨市場であるナイジェリアでは、2024年に45%だったUSDT決済が2025年には23%まで低下しました。代わってライトコインが22%、USDCが10%へと拡大しています。

ナイジェリアではバイナンススマートチェーン(BSC)やTRONなど、手数料の安いブロックチェーンが好まれる傾向があります。

実際、同国からの決済はBNBで世界シェア8%、シバイヌ(SHIB)で7%を占めており、一部のアルトコインも国際的に無視できない存在感を示しています。

オセアニア地域のオーストラリアでは、世界全体に占める取引件数割合は1.2%と小規模ながら、ビットコイン(30%)・USDT(23%)・ライトコイン(22%)が三大決済銘柄となっています。また、他国では珍しいポリゴン(POL)決済が全世界の約7%を占めるなど、特異な動向も報告されています。

南米のブラジルでは、2024年にソラナ(SOL)の決済比率が世界全体の14%に達しましたが、2025年には2%へ急落しました。現在はUSDT(20%)とUSDC(15%)が主要な決済通貨となっています。

規制整備と技術革新が後押しする仮想通貨決済の拡大

こうした地域差を背景に、業界では各市場に適した決済手段の模索が続いています。企業の動向にもその姿勢が表れています。

米送金大手ウエスタン・ユニオンのデビン・マクグラナハンCEOは、2025年7月22日のインタビューでステーブルコインについて「脅威ではなくチャンスだ」と述べ、国際送金の効率化や自国通貨が不安定な新興国での価値保全手段として活用できる可能性を強調しました。

同社は既に南米やアフリカの一部地域でステーブルコインを用いた新たな決済手段の実証実験を進めており、伝統的な送金ビジネスにも仮想通貨を取り入れる姿勢を示しています。

シリコンバレーの著名投資家ティム・ドレイパー氏も、今年5月末の投稿で「ドルは絶滅しつつある」と警告し、価値が下がる米ドルに替わって小売業者がビットコイン決済を選ぶ未来が来る可能性を示唆しています。

また、同氏は「ビットコインが決済手段としてさらに普及すれば、人々も本格的にビットコインを使い始めるだろう」との見方も示しました。

これらの発言は、仮想通貨決済が一時的な潮流ではなく、世界的な決済インフラの変革に直結し得ることを示唆するものとして注目を集めています。

今後も技術革新や規制整備が進む中で、地域ごとの特性に応じた多様な決済エコシステムが発展し、国際取引の在り方を大きく変えることが期待されます。

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Source:CoinGateレポート
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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