Coinbase、ルクセンブルクでMiCAライセンス取得|欧州27カ国で仮想通貨サービス提供へ
Coinbase、MiCAライセンスでEU全域展開へ基盤確立
米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)は2025年6月20日、ルクセンブルクの金融当局であるCSSF(金融セクター監督委員会)から、EUのMiCA(仮想通貨市場規則)に基づくライセンスを取得したと発表しました。
このMiCAライセンスの取得により、CoinbaseはEU(欧州連合)加盟27カ国すべてで仮想通貨サービスを提供するための規制上の承認を得たことになります。
これに伴い、約4億5,000万人の欧州市場に対して、統一的な規制枠組みのもとでサービスを提供できる体制が整いました。
また、Coinbaseはルクセンブルクを新たな欧州拠点に位置づける方針も明かしており、同国を選んだ理由として、西欧の先進的な金融センターである点や、ブロックチェーン産業に対して寛容な政策を継続してきた点を挙げています。
今回のライセンス取得により、Coinbaseは米国の仮想通貨(暗号資産)取引所として初めてEU全域でのサービス展開が可能となり、規制整備が進む欧州市場において事業拡大の動きを一段と強めています。
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Coinbaseの欧州展開戦略
統一ライセンスによる業務効率化
Coinbaseはこれまで、ドイツやフランス、アイルランド、イタリア、オランダ、スペインなどの欧州各国で個別に仮想通貨サービスの許認可を取得してきました。
MiCAの施行により、これらの個別許認可は統一ライセンスに一本化され、EU全域での効率的なサービス提供が可能となりました。
この点についてCoinbaseは「今回の欧州拠点設立は当社にとって画期的な前進であり、欧州全域の4億5,000万人に包括的な仮想通貨サービスを提供できる」と述べ、統一規制の下で事業展開できるメリットを強調しています。
ルクセンブルクを選んだ理由について、同社は「同国は欧州の金融エコシステムにおいて常に重要な役割を果たしており、仮想通貨業界のニーズを理解して明確な規制を整えている」と評価しています。
ルクセンブルク政府は、これまでにブロックチェーン関連の政策を4件可決しており、官民一体となった推進姿勢を示してきました。
欧州経済と仮想通貨業界の連携を強化へ
こうした環境下で欧州に拠点を設立したCoinbaseは「欧州の活気ある経済に引き続き貢献し、この地域での成長と経済的自由の拡大を後押ししていく」と表明し、グローバル企業として規制遵守とイノベーションの両立に取り組む姿勢を明確にしています。
CoinbaseのCEOであるブライアン・アームストロング氏も欧州展開の重要性に言及しており、CNBCとのインタビューで「Coinbaseは欧州市場に全力を注いでおり、欧州全土で仮想通貨の未来を切り拓くことに尽力している」と強調しています。
MiCA規制下での競争優位性を確立
さらにMiCAライセンスの意義について「MiCAは規制の標準を打ち立て、ルクセンブルクはその事業者に配慮した姿勢と慎重な規制アプローチによって先導的役割を果たしている」との見解を示し、欧州の明確なルール作りが業界発展に寄与するとの考えを示しました。
実際、EUでは包括的規制枠組みであるMiCA法が2024年末から施行されており、これによって業界に法的な明確性がもたらされ、投資家保護と技術革新の両立が期待されています。
欧州の仮想通貨市場はこの規制整備を土台に安定した成長基盤を築きつつあり、Coinbaseも「MiCAによる統一規制環境が欧州の競争力強化に繋がる」として政策当局による更なる取り組みに期待を表明しています。
業界内では、明確なルールの下でサービスが提供されることにより利用者の安心感が高まり、新規参入者の増加や市場規模の拡大に繋がるとの見方も出ています。
Coinbaseの今回の動きは、仮想通貨経済の成長を後押しする起爆剤として注目されています。
一方で、地政学的リスクなどの外部要因も影響しており、現時点では仮想通貨価格の上昇には直結していません。それでも、欧州発の前向きな規制展開が市場の中長期的な発展にプラスに作用するとの見方が広がっています。
欧州にも広がるBTC国家戦略
欧州の仮想通貨サービスが活発化
大手取引所各社が欧州に本格参入
欧州におけるMiCA体制の整備を受け、他の大手仮想通貨取引所も相次いでライセンス取得に動いています。
OKXやCrypto.comは2025年1月にマルタ当局からMiCAライセンスを取得し、その後5月にはBybitがオーストリアでライセンスを取得しました。
また、米大手仮想通貨取引所Gemini(ジェミニ)も現在マルタでのライセンス取得を進めていると報じられています。こうした動きは、明確な規制体制を好機と捉えた事業者間の競争が激化していることを示すものです。
伝統銀行が仮想通貨市場に参入
欧州の伝統金融機関にも変化の兆しが見られます。
スペインの大手銀行BBVAは、富裕層顧客に対して資産の最大7%をビットコイン(BTC)などの仮想通貨で保有するよう推奨していることが明らかになりました。
仮想通貨を敬遠してきた銀行業界において、この助言は金融機関の姿勢転換を象徴する動きとして注目されています。
欧州ではMiCA施行後、銀行による仮想通貨の保管・管理業務(カストディ事業)への参入も進んでおり、規制整備が伝統金融の参入を後押ししているとの指摘もあります。
欧州一般投資家の仮想通貨購入意欲が上昇
一方、欧州各国では一般投資家の仮想通貨に対する関心も高まりを見せています。
2025年4月に発表された調査報告書によると、フランスでは国民の約33%が「年内に新たに仮想通貨を購入・保有したい」と考えていることが分かりました。
フランスを含む欧州全体で仮想通貨の認知度・興味は拡大傾向にあり、MiCAによって法的な不透明さが解消され、市場への信頼感が高まったことが背景にあると分析されています。
フランス人口の33%が購入・保有を検討
欧州の協調的な仮想通貨規制が市場成長を促進
実際、欧州連合における統一規制は投資家保護とイノベーション促進の両立を可能にし、各国で仮想通貨市場が安定成長する土台となりつつあります。
このような状況から、欧州発のポジティブなニュースが仮想通貨市場全体の追い風になるとの見方が広がっています。
各国の規制当局も国境を超えた協調的な規制のあり方を模索しており、欧州の健全な市場育成への取り組みが世界的に注目されています。
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Source:Coinbase公式ブログ
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用