Polygon Labs、チェーン開発キットに「OP Stack」追加、zkとOptimism選択可能に

Agglayer CDKがマルチスタック化

Polygon Labs(ポリゴンラボ)提供のブロックチェーン開発キット「Agglayer CDK(アグレイヤーCDK:旧Polygon CDK)」が「OP Stack(OPスタック)」に対応し、マルチスタック化したことが5月7日に発表された。

「OP Stack」は、Ethereum(イーサリアム)レイヤー2ネットワーク「OP Mainnet(OPメインネット)」開発元のOPラボ(OP Labs)が提供するチェーン開発キットだ。「OP Stack」を用いることで「Optimistic Rollups(オプティミスティックロールアップ)」を採用した独自のレイヤー2ブロックチェーンを立ち上げられる。

「Agglayer CDK」ではこれまで、zkRollup(zkロールアップ)ベースのL2チェーンを構築するスタックとして「CDK Erigon」が提供されてきた。今回「Agglayer CDK」で新たに「CDK OP Stack」がサポート開始されたことにより、Polygon Labs提供のCDKからOptimism互換のL2チェーンも構築可能になった。

さらに「CDK OP Stack」で構築したチェーンにはゼロ知識証明(zkp)が導入される予定だという。これによりセキュリティが強化される他、従来の「Optimistic Rollup」で必要だった7日間の出金待機期間が不要となり、即時のファイナリティが実現されるとのこと。

また「CDK OP Stack」にて構築したチェーンは、「CDK Erigon」構築チェーンと同じく、デフォルトで「Agglayer(アグレイヤー)」に接続が可能となる。「Agglayer」は、Polygon Labs独自のマルチチェーン統合ネットワークだ。

ただしオプティミズム(Optimisim)プロジェクトが展開するマルチチェーン統合ネットワーク「Superchain(スーパーチェーン)」には接続できないようだ。

これについては「CDK OP Stack」構築チェーンは、「Superchain」に互換性があり、技術的には接続可能であるが、シーケンサー収益の還元やガバナンスへの参加が求められる。「Agglayer」を展開していることからも現時点でPolygon Labsからの「Superchain」への参加の意図は示されていない。

Polygon LabsのCEOであるマーク・ボイロン(Marc Boiron)氏は昨年8月、「Superchain」が競争上の理由で「Agglayer」には接続しないと説明。しかし反対に「Agglayer」は「Superchain」のビジョンと互換性のある方法で構築されていることから競争上の理由は存在しないと述べ、両エコシステム接続の可能性は否定していなかった。

なお先述したように「Superchain」接続には収益還元が求められるが、「Agglayer」ではそのような支払いは必要がないことが伝えられている。なお「Superchain」接続チェーンはチェーンの総収益の2.5%もしくはオンチェーン利益(手数料収入からL1ガスコストを差し引いた額)の15%どちらかが徴収される。

「CDK OP Stack」初期段階では「ソブリンモード(sovereign mode)」にてリリースされるとのこと。EthereumのL1に直接データを投稿せず、L1にもセキュリティを依存しない形を取るという。開発のスピードと柔軟性、またAgglayerとの相互運用性確保を優先するためであるとのこと。

Polygon Labsによると今後は、Arbitrum Orbit(アービトラムオービット)やABC Stack(ABCスタック)など、他のスタックも「Agglayer CDK」に統合する予定とのことだ。

なお前述した「Optimistic Rollup」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという「楽観的(オプティミスティック)」な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。

またzkRollup(zkロールアップ)とは、暗号技術を利用した証明技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」活用のロールアップだ。

ロールアップは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。 

 

 

参考:Polygon Labs
画像:iStocks/metamorworks

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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