米ウェルジスティクス、医療業界初の「XRP財務戦略」を採用|決済透明化とコスト削減へ
米ウェルジスティクス、XRP採用で医療決済改革へ
米国ナスダック上場のヘルスケアインフラ企業ウェルジスティクス・ヘルス(Wellgistics Health)は2025年5月8日に、仮想通貨「XRP」を決済インフラおよび財務準備資産として導入する新たな戦略を発表しました。
公式発表によると、この取り組みが実現すれば「XRPを企業財務戦略に組み込む初の上場医療企業の1つになる」としており、市場から5,000万ドル(約72.5億円)の株式信用枠によって資金が調達されたことが報告されています。
同社のブロックチェーン決済プラットフォーム開発計画は、多くの上場企業がデジタル資産や分散型台帳技術の導入を進める中、具体的な活用事例として注目されています。
財務戦略にBTC・XRPを採用
医療業界が注目するXRP財務戦略の狙い
ウェルジスティクス・ヘルス社がXRPを財務戦略に組み込む最大の狙いは「金融プロセスの効率化と透明性の向上」にあるとしています。
決済の迅速化とコスト削減
同社が特に強調しているメリットは、従来の銀行送金では数日かかっていた決済時間が、XRP利用によりわずか数秒に短縮される点です。
これにより、資金決済をリアルタイムに近い形で実行でき、企業間取引のスピードが大幅に改善されると期待されています。
また、送金手数料の大幅な削減効果も強調されています。
従来の銀行を通じた国際送金では、1取引あたり約10〜30ドル(約1,400〜4,300円)の手数料がかかるのに対し、XRPを利用した場合は0.0002ドル(約0.03円)未満と格段に安く、医療サプライチェーンの取引コストを大幅に削減できると説明しています。
透明性の向上とグローバル決済対応
さらに透明性の向上も挙げられており、XRPの取引はすべて改ざん困難な分散型台帳(XRP Ledger)上にリアルタイムで記録されるため、法令遵守(コンプライアンス)や割戻金(リベート)追跡、監査作業が簡単かつ確実になるとしています。
ウェルジスティクス・ヘルス社は公式発表の中で「こうした特徴が医療業界における資金の流れを明確にし、取引の信頼性向上につながる」と述べています。
加えて、XRPのグローバルな即時決済機能により、外国為替取引や国際送金にかかる手数料と時間を大幅に削減でき、世界中の取引先へ迅速に支払いができるメリットも強調しています。
さらに同社は、XRPを担保とした信用枠の柔軟な活用により、特に独立系薬局などの中小医療事業者に対する資金調達支援が可能になるとの見通しも示しました。
ラテンアメリカで人気の決済手段に
XRP導入で実現する医療決済の効率化
具体的な活用例として、製薬メーカー、医薬品卸売業者、薬局間での即時決済や、ブロックチェーン技術を活用した自動値引き計算システム(スマートリベート)の導入が挙げられています。
また、XRPを活用した信用枠の設定により薬局の資金繰りが改善されること、さらには国際的な取引先への支払いを低コストかつ迅速に実施できるようになる点も期待されています。
さらに、分散台帳の改ざんがほぼ不可能であるという特徴を利用し、コンプライアンス対応を強化することも説明しています。
XRPを活用した戦略について、同社のCEOであるブライアン・ノートン氏は「今後、ヘルスケア業界で勝者となるのは、大規模な施設を持つ企業ではなく、最も迅速な決済ネットワーク、最も正確で信頼できるデータ、最も効率的なプラットフォームを持つ企業だ」と語っています。
また、同社CFOのマーク・ディシエナ氏も、「XRPを基盤としたインフラにより、同業他社よりも迅速でスリムな運営が可能となり、財務管理の柔軟性や透明性が向上する」と自信を示しています。
日本企業もXRP決済を導入
ウェルジスティクス社のXRP戦略に慎重論も
今回の発表に対し、仮想通貨(暗号資産)コミュニティや医療業界関係者から様々な反応が寄せられていますが、一方で専門家の中には慎重な見方もあります。
ブロックチェーン専門誌Ledger Insightsは、今回の5,000万ドルの信用枠はXRP開発元のRipple(リップル)社から提供されたものであり、同社がXRPの実需拡大を狙っている側面があると指摘しました。
ウェルジスティクス株は発表直後に急騰したものの、その後は発表前の水準を下回る約3ドル(約430円)まで急落しました。この値動きから、投資家はXRP導入戦略に対して慎重な評価をしていると見られています。
また、Ledger Insightsは「米国内の企業間取引で米ドルではなくXRPを利用することには実務上の課題が多い」と指摘しており、たとえコスト削減効果があっても、複雑な会計処理など新たな業務負担が生じる可能性があると述べています。
ただし、医療業界では既にブロックチェーン技術をサプライチェーンの透明化に活用し始めており、分散台帳技術への抵抗感は少ないとも言われています。
米国での仮想通貨規制整備が進む中、XRPなどの仮想通貨を実需や企業財務戦略に組み込む企業が増加する可能性も示唆されており、医療業界におけるウェルジスティクス・ヘルス社のXRP活用事例は先駆的な取り組みとして大きな注目を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.98円)
仮想通貨決済に関する記事はこちら
Source:Wellgistics Healthプレスリリース
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像