米ドル/円やクロス円は押し目買いで。 2022年の一番確実なシナリオは円売り、 円が「独歩安」になってもおかしくない

2022年の年明けは、日米株の反落が目を引く 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 さて、2022年年明けからの相場は、目先、日米株の反落が目を引く。
NYダウ 日足(出所:TradingView)
日経平均 日足(出所:TradingView)
 無理もない。利上げと並行して資産圧縮――1月5日(水)公表の昨年12月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨はそのようなことを示唆。マーケットの想定よりタカ派姿勢だったことが明らかとなり、市場参加者は厳しい状況になると身構えた。
 FRB(米連邦準備制度理事会)の2022年3月利上げ、2022年後半から資産圧縮といった予想が主流になりつつある現在、リスクオン一辺倒な状況ではないことも明らかだ。
米国株急反落でも米ドル/円、ドルインデックスは高値圏で推移。ただ、米ドルが2022年の年間を通じて優位性を保てるかどうかは流動的 一方、為替市場への影響と言えば、目先までなお限定的だと思う。米国株の急反落があったにもかかわらず、円売りポジションの積み上げが懸念される中、米ドル/円は高値圏での推移を保ち、米ドル全体(ドルインデックス)も同様な底堅さを示している。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
 もっとも、FRB政策がどうであれ、円は最弱な外貨であることは大して変わりがないから、米ドル/円の反応はサプライズではないが、米ドル全体の話になると、やや複雑になるのも確かだ。
 米利上げ観測で米長期金利の上昇(米10年国債利回り1.72%乗せ)がもたらされたことが米ドル全面高につながるかと言えば、そう簡単にいかないようだ。
米長期金利(米10年国債利回り) 日足(出所:TradingView)
 そもそも防疫状況や雇用環境の変化など不透明な要因が多く、利上げや資産圧縮が、FRBの計画どおりにいくかどうかは定かではないから、今年(2022年)における米ドル全体のパフォーマンスを測るのも容易ではないと思う。
 というのも、前述のように、最弱の円に対して米ドルの優位性や強さが確保されても、対そのほかの通貨では、米ドルが2022年の年間を通じて優位性を保てるかどうかは流動的だからだ。
 米利上げ観測が強まっているうちは、米ドル買いが選好されがちだが、いったん利上げサイクルに入っていくと、その反動、すなわち米ドル安へシフトする局面が過去にはよく観察されてきたから、今年(2022年)もそのような反応パターンになる可能性がある。
 その上、コロナショックのせいで「双子の赤字」(財政赤字、貿易赤字)が膨らんでいる米ドルは、経済や金利が正常化されていけばいくほど、価値が低下していく懸念が強いと思われる。
 また、正常化されていけばいくほど、海外投資が活発化していくから、米ドルからの資金の流失も想定される。
ポスト・コロナ時代においては、先進国かつ資源国の通貨の優位性が高まりやすい 一般論として、ポスト・コロナ時代においては、赤字体質でない国家の通貨が相対的に買われやすく、また、タカ派姿勢の強い中央銀行を有する国家、特に先進国かつ資源国の通貨(カナダドル、豪ドルやニュージーランドドルあたり)は優位性が相対的に高まりやすいと推測される。
 英国が昨年(2021年)12月にサプライズ的な利上げを敢行し、FRBより先に利上げサイクルに入ったこともあって、2022年に利上げサイクルへ入るからと言って、米ドルが必ずしも強くなるとは限らない。
 実際、昨年(2021年)年末から目先まで、英ポンド/米ドルは切り返しが鮮明になっており、兆しはすでに表れているかと思う。
英ポンド/米ドル 日足(出所:TradingView)
 もちろん、それは対円以外の話であるが、実は米ドル全体が相対的にその地位を低下させる場合、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)、特に豪ドル/円、カナダドル/円や英ポンド/円あたりは強気変動を維持できる地合いが強まるのではないかとも推測される。
世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
 なぜなら、それらの外貨に対し米ドル安が進行する傾向となれば、外貨高・円安の波及効果を期待でき、米ドル/円の相対的な底固さと相まって、これらクロス円の上昇がみられるであろうからだ。
 円と同じ位置付けであるユーロに関しても、サプライズを警戒する必要がある。
 ロシアの対独天然ガス供給の取りやめで、ドイツをはじめ、EU(欧州連合)主要国のインフレ率が上昇傾向となっていることから考えると、EUが日本よりも金融引き締め政策へ転換する可能性を否定できないから、油断できない。
2022年前半は米ドル高・円安、諸外貨弱含み、その後、米利上げ局面に入ると… まとめてみると、2022年前半においては、米ドル高・円安、また米ドル高・諸外貨弱含み、といった市況になりやすいだろう。
 その後、米利上げ局面に入っていくと、政策期待の剥落効果もあって、米ドル全面高の頭打ち、また一転して米ドル反落局面への移行も想定される。
 ただしこの場合、前述のように主要クロス円、特に資源国通貨の対円での強気トレンド形成に寄与するから、全体像として2022年も円の「独歩安」が観察されてもおかしくなかろう。
 相場は常に現実より先に動く習性があるから、米ドル全体の状況で言えば、目先までの上昇ですでに大まかな頭打ち、また最初の頭打ちを果たした可能性もある。
 この意味合いにおいて、円相場の一時的な波乱があれば、むしろ歓迎されるべきであろう。
 何しろ、2022年のメインテーマとして、なお円売りには優位性があるからだ。一番確実なシナリオとして、米ドル/円やクロス円の押し目買いを徹底的に実行したい。
世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
 米ドル全面高のうちは主に米ドル/円を対象にし、米ドル全面高の終焉や米ドル全体の反落が強まる局面においては主にクロス円を対象にする、という対象分けができるのではないかと思う。  ロジックを優先するあまり、テクニカルの視点をあえて取り入れずに今回の話をまとめたが、具体的なポイントよりもシナリオを立てるロジックの方が、より重要だと思うゆえである。
 何しろ、テクニカル上のポイントは、毎週のコラムで随時提示できるうえ、マクロ的な視点において流動性や不確実性が多い2022年の見通しでは、具体的なポイントよりも、状況を把握するロジックの方が重視されるべきであろう。
米国株の波乱が為替に影響する可能性もあるので先入観を持たず、臨機応変に対応するのが望ましい 2022年の不確実性と言えば、米利上げサイクル入りとともに、米国株の動向も非常に重要であることは言うまでもない。
 2021年の相場基調が比較的把握しやすく、また、米ドル/円の上昇が比較的順調であったのも、ほかならぬ、米国株の上昇が順調であったことが大きな背景にあったことは再認識しておきたい。
 2022年、米国株の波乱があれば、テクニカル上のポイントも急速に変わりやすいから、先入観を持たず、臨機応変に対応するのが望ましい。市況はいかに。

参照元:ザイFX! 陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

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