テーパリング着手で上昇のカナダドルは、 材木相場の急騰で、さらに買い妙味アリ?

■テーパリングや活況な商品市況がカナダドルを後押し みなさん、こんにちは。
 前回のコラムでご紹介させていただいたように、4月21日(水)、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])がテーパリング(※)に着手したことにより、カナダドル高が続いてます。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●テーパリングに着手したカナダ。カナダドルは全面高! 次は、米国やオセアニア?(4月22日、西原宏一)
米ドル/カナダドル 日足(出所:IG証券)
 カナダドルが続伸している理由は、BOCのテーパリングがきっかけですが、商品が続伸していることもあげられます。
 以下は、ブルームバーグ商品スポット指数(原材料23品目が対象)の週足。
ブルームバーグ商品スポット指数 週足(出所:Bloomberg)
 昨年(2020年)3月から4月にかけていったん反落していますが、その後再びコモディティは急騰し、インフレへの道へ進んでいます。
 その中で、特に注目が集まっているのが、材木相場。材木相場が最高値を更新しており、新たなインフレの兆候として話題になっています。
米国の材木先物価格は、5日に一段と上げ、初めて1500ドル台を付けた。旺盛な住宅建設需要を受け、建設業者が木材確保に躍起となっていることが背景にある。
出所:Bloomberg
 材木といえば「カナダだろう」というのもシンプルすぎるような気もしますが、材木相場の急騰は、カナダドルにとって好材料であることは変わらず。
 この、材木相場をはじめとした商品相場の上昇が、カナダドルの上昇トレンドを支えています。
シカゴ材木先物 日足(出所:IG証券)
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■BOCに続き、テーパリングに踏み切るのはどの中銀か? 現在、マーケットではBOCに続いて、どの中銀がテーパリングに踏み出すのかが注目されています。
 カナダと同様に、資源国である豪州のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が筆頭に上げられそうです。しかし、豪州は早い時期に感染者ゼロとなり、ポストコロナ入りしていることから、豪ドルはすでに昨年(2020年)の安値から、対円でおよそ40%も急騰しています。
豪ドル/円 日足(出所:IG証券)
 そのため、ガイRBA副総裁が、通貨高(豪ドル高)がさらに進行することに懸念を抱いていることから、RBAのテーパリングはもう少し先になりそうです。
 そこで、マーケットが注目したのが、BOCが先月(4月)21日(水)に公表した金融政策報告書で取り上げたコメントでした。
 その金融政策報告書によれば、米国の2021年成長率見通しを、1月時点の5.0%から7.0%に大きく引き上げた模様。BOCは、米国経済分析(見通し)に定評があります。
 私の米国の友人も「米国の 4~6月期の成長率は約10%(前期比年率)ぐらいになるんじゃないのか?」と言っていました。
 新型コロナウイルスのワクチン接種も順調に進んでおり、次のテーパリングの可能性は米国のFRB(米連邦準備制度理事会)が浮上。
 米国のテーパリングによる米ドル高で、もっとも影響を受けそうなのは日本円。
 カナダドルは前述のように、BOCのテーパリング導入と商品相場の上昇により底堅く推移。結果、カナダドル/円が上昇する材料が整ってきています。
カナダドル/円 日足(出所:IG証券)
 以下は、過去1カ月の米ドルに対する主要通貨の騰落率。
(出所:Bloombergのデータを基にザイ投資戦略メルマガ事業部が作成)
 過去1カ月、米ドルに対してもっとも上昇したのがカナダドル。
ほぼ変わらないのが日本円でした。
 実際、過去1カ月主要通貨の中でもっとも上昇したのがカナダドル/円でした。
 このように、カナダドル/円が注目されており、実際に値を上げていますが、新型コロナウイルスからの脱却により、今後、次々と金融緩和縮小に踏み出す中央銀行が増えてくると予想されます。
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■もっとも金融緩和が遠い日銀…。円安継続を想定 日本はワクチン供給も遅れていますし、本稿執筆時点では、緊急事態宣言も延長されるとの報道も増えており、もっとも金融緩和に遠いのが日銀…。
 結果、主要通貨に対する円安は続くと想定されます。
主要通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 直近では、カナダドル/円が上昇、次が米ドル/円。その後は、欧州通貨が対円で上昇することになるのでしょうか?
 カナダドルや米ドル、そして主要通貨に対する円安トレンドの継続に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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