米ドル/円の上昇トレンドは維持されている。 クロス円で進んだ調整も、いったん完了か?

米ドル/円は上昇トレンドを維持、これから115円を突破していくだろう 米ドル/円の上昇は、115円の壁にいったん阻まれたが、上昇トレンド自体は維持されており、これから115円を突破していくだろう。
 同じように、ドルインデックスの上昇トレンドも維持されるはずだが、スピードを弱める可能性が出てきたので、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における調整波の進行もいったん完了したのではないかとみる。
 本日はこのあたりに絞って、「小学生でもわかる」ように解釈したい。
 ドルインデックスはいったん96.27までトライしてから反落したものの、なお高値圏に位置する。
 7月、8月、9月高値で連結された元レジスタンスラインを突破したあと、同ラインがサポートラインと化す可能性から考えて、上昇一服があっても高値圏での保ち合いに留まるだろう。
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルの下落スピードがいったん弱まれば、ユーロ/円のいったん底打ちも想定されやすい これに呼応するように、このところは、主要外貨のうち、ユーロ/米ドルがもっとも下落している。
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)
 当たり前と言えば当たり前だが、米ドル高の受け皿としてユーロがもっとも売られてきた。ゆえに、ドルインデックスの上昇一服があれば、ユーロの下落一服があってもおかしくなかろう。
 ただし、ドルインデックスの高値圏での保ち合いと同様、ユーロ/米ドルの下落一服があっても、安値圏での保ち合いに留まる可能性が大きい。
 しかし、トレンド自体は変わらなくても、そのスピードさえ抑えられれば、ユーロ/円にとって、反落波のいったんの終焉につながる。
 なぜなら、最近のユーロ/円の反落は、明らかにユーロ/米ドルの下落スピードにつられた側面が大きく、米ドル/円の上昇スピードはユーロ/米ドルの下落スピードより遅かったから、ユーロ/円の反落加速がもたらされた。
 よって、ユーロ/米ドルの下落スピードがいったん弱まれば、ユーロ/円のいったん底打ちも想定されやすいかと思う。
ユーロ/円 日足(出所:TradingView)
 直近3日において、ユーロ/米ドルの日足は「明けの明星」を形成。往々にして下落一服を示唆するサインとして解釈される。
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)
 ここから早期安値更新さえ回避できれば、たちまち下落加速していくような市況は想定しにくい。
 繰り返しとなるが、ベア(下落)トレンド自体は修正されない上、あくまでスピード調整となるが、下落一服さえあれば、ユーロ/円にとってプラスだ。
米ドル/円は元レジスタンスラインがサポートラインと化している可能性大 肝心の米ドル/円だが、下のチャートが示しているように、元レジスタンスラインのブレイクを果たしたあと、逆戻りしてきたが、現時点ではこの元レジスタンスラインがサポートラインと化している可能性が大きい。一昨日(11月17日)の大陰線を過大解釈すべきではないことを暗示している。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 このまま再度、高値更新があれば、むしろ一段と上昇が加速する原動力になるから、米ドル/円の頭打ちを想定するのは性急であろう。
ユーロ/円は下落一服の兆し、ただし当面限定的か そうなると、10月高値から大きく反落、8月安値からの全上昇幅のほぼ78.6%の値幅を削ったユーロ/円だが、昨日(11月18日)の切り返しをもって、まず下落一服の兆しを示した可能性がある。
ユーロ/円 日足(出所:TradingView)
 一昨日(11月17日)と「インサイド」のサインを形成しているところもあって、これから上放れを果たせば、一段と反落波を修正していくだろう。ただし、ユーロ/米ドルのベアトレンドが続く限り、ユーロ/円の切り返しがあっても当面限定されることも容易に推測される。
英ポンド/円の切り返し先行は当然の成り行き 一番弱いユーロでさえ、対円の反落が一服してくる可能性があるのならば、ユーロに対して優位性を持つ英ポンド/円の切り返し先行はむしろ当然の成り行きだ。
英ポンド/円 日足(出所:TradingView)
 実際、英ポンド/円の9月安値はいったん8月安値を下回ったが、同安値から10月高値までの全上昇幅に対し、目先の下落が61.8%程度の押しに留まったところも、ユーロ/円に対する英ポンド/円の優位性を示している。
 ゆえに、両方戻ってくる場合、英ポンド/円の戻りがより確実視される。ただし、11月4日(木)の大陰線が目先支配的な存在で、同日高値156.28円の更新なしでは、まだ完全な強気変動に復帰しきれない可能性がある。
反落幅の小さかった豪ドル/円は反落一服がもっとも有力視される 最後に、同じ視点で豪ドル/円を見ればわかるように、8月安値から10月高値までの全上昇幅に対する反落は、38.2%程度に留まっており、豪ドル/円の内部構造の強さを示唆している。
豪ドル/円 日足(出所:TradingView)
 押しが弱ければ、これから元のトレンドへ復帰するハードルも低くなるから、豪ドル/円の反落一服がもっとも有力視される。
 もちろん、11月16日(火)のいったん高値トライが結果的に「ダマシ」だったことから考えると、84円台以上に定着しないうちは、なお下値リスクが残るはずだが、下落一服の機運が高まりつつあることを指摘しておきたい。
 いずれにせよ、主要クロス円における反落は、トレンド進行途中のスピード調整として値幅を拡大してきたが、そろそろいったん底打ちが図られるタイミングにあるのではないかと思う。市況はいかに。
(14:00執筆)

参照元:ザイFX! 陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

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