対ユーロで上昇余地が拡大している豪ドル。 豪ドル/円も85円に向けて上昇再開!

■ロビンフッダー騒動はゲームストップ株暴落で鎮静化 みなさん、こんにちは。
 前回のコラムで取り上げた「reddit民VSヘッジファンドの決戦」については、先週(1月25日~)末、多くのメディアでこの話題が取り上げられ、マーケット関係者以外でも注目を集めました。
【参考記事】
●ロビンフッダー対ヘッジファンドが話題に。ユーロ/米ドルの下値余地が拡大中!!(1月28日、西原宏一)
 その結末ですが、500ドルに迫る高値へと急騰したゲームストップ(GME)株が2月3日(水)には100ドルを割り込んで暴落し、沈静化の動きを見せています。
ゲームストップ株 日足(出所:IG証券)
 ゲームストップ株が大暴落したきっかけは、ロビンフッドによる取引制限。
実態とかけ離れた水準に株価が上昇し、今週、ファンド勢は相次ぎ損失計上を迫られた。

その流れをいったん止めたのがロビンフッドによる28日の取引制限だ。ゲームストップなど乱高下した銘柄の新規の買いを停止。対象銘柄は急落し「ファンドを守るために我々を犠牲にした」と個人の猛反発を招いた。民主党の若手リーダー、オカシオコルテス下院議員も「ファンドが空売りできるのに個人の買いが停止されるのは容認できない」と強く批判した。
出所:日経新聞
 記事にあるように、AOC(オカシオコルテス下院議員)らの猛反発を呼ぶなど、ロビンフッダー(※)騒動は大問題に発展しましたが、ゲームストップ株が暴落した事は変わらず。
(※編集部注:ロビンフッダー(Robinhooder)とは、米国のロビンフッド証券が提供するスマホの株式取引アプリ「ロビンフッド」で売買を行う個人投資家のこと。1人あたりの投資額は少額ながら、新型コロナウイルスの影響で在宅を余儀なくされた若者を中心に爆発的な増加を見せており、株価を動かす要因とされている)
 空売りしていたヘッジファンドは、ゲームストップ株が暴騰したことにより、大損害を被ったわけですが、買い煽ったreddit民の一部も急騰後の大暴落で、大きな損失を出したものと思われ、痛み分けの様相を呈しています。
 そして、この騒動で一時急落していた米国株ですが、事態が沈静化を見せると、再び堅調に推移しています。
NYダウ 日足(出所:IG証券)
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■RBA理事会の見方割れるも、豪ドル/円は85円へ上昇再開 前回のコラムでご紹介させていただいたユーロ/米ドルは、今週(2月1日~)もじり安に推移しており、本稿執筆時点では1.2020ドルレベルで推移。節目の1.2000ドル割れをうかがう展開となっています。
【参考記事】
●ロビンフッダー対ヘッジファンドが話題に。ユーロ/米ドルの下値余地が拡大中!!(1月28日、西原宏一)
ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券)
 一方、豪ドル/円は底堅く推移。
 きっかけは、2月2日(火)に発表されたRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])理事会の内容。
 まず、RBAは政策金利を0.10%に据え置き。そして、現行の債券購入プログラムの4月半ばの終了に伴い、1000億豪ドル(約8兆円)相当の国債を追加で買い入れる方針を発表しました。
 ロウ総裁は声明で、「政策委員会は実際のインフレ率が持続的に2-3%の目標レンジで推移するまでキャッシュレートを引き上げない」と改めて確認。
 この発表を受け、マーケットは下記のように「極めてハト派である」と豪ドル売りに回ります。
RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、アルビン・タン氏は「市場はテーパリングの兆しに備えていたようだ。国債追加購入はそうした期待に明らかに反している上、メッセージもハト派的だ」と語った
出所:Bloomberg
 ただ、豪州の10年国債利回りが底堅く推移していることで豪ドル/米ドルは下げ渋り。
豪ドル/米ドル 日足(出所:IG証券)
 豪州の10年国債利回りが下げ渋っている要因は、RBAがプライスターゲットを3年債まで0.1%に設定したこと。一部のマーケット参加者の間では、もっと長い期間でもプライスターゲットを決めるというウワサも拡大していたようで、筆者の豪州在住の友人は、今回のRBAはハト派ではないとコメントしていました。
 このように、今回のRBAの見方は分かれていますが、豪州の10年国債利回りは1.22%と上昇。呼応して、豪ドル/米ドルは再び0.7630ドル水準へと上昇しています。
 豪ドル/円は、再び80円台を回復し、85円に向けて上昇再開!
豪ドル/円 日足(出所:IG証券)
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■対ユーロで豪ドルの上値余地が拡大している そして、豪ドル/円に加え、筆者が注目しているのがユーロ/豪ドル。
 前述のように、ユーロ/米ドルがじり安に推移する一方、豪ドル/米ドルが底堅い展開であれば、結果的にユーロ/豪ドルは下落することになります。
 本稿執筆時点の10年国債利回りをチェックすると、豪州は1.22%、そして、ユーロ圏はマイナス0.46%となっています。
 視点を新型コロナウイルスの状況に移せば、豪州の新規感染者は実質ゼロ。
【参考記事】
●2021年はユーロ/豪ドルの動向に熱視線!? 欧米と豪州で新型コロナの感染状況に差(2020年11月26日、西原宏一)
 現在、全豪オープン出場のため豪州に滞在しているプロテニスプレイヤーの錦織圭選手が、「外に出て一番驚いたのは、マスクなしで皆が歩いていたこと。アメリカも日本も全員マスクをしているので、不思議な感覚だった」と発言していて、状況の違いに戸惑ったようです。
 一方、欧州では感染者拡大とロックダウン(都市封鎖)の延長という報道が目立ちます。
 今後の経済活動の拡大期待から考えれば、「豪州>欧州」ということになり、ユーロ/豪ドルは続落し、1.5000豪ドルを目指すのではないでしょうか?
ユーロ/豪ドル 週足(出所:IG証券)
 10年国債利回りの格差に加え、新型コロナウイルスの感染状況も明暗が分かれる格好になっている豪州と欧州。
 85円への上昇過程にある豪ドル/円に加え、1.5000豪ドルへと下落余地が拡大しているユーロ/豪ドルの動向に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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