逆イールドを深刻に捉えすぎる必要はない!? 景気後退は早くても来年、当面ドル高維持

■「逆イールド」発生! 週末の日でも迎えたような雰囲気!? 最近、市場関係者や個人投資家の多くは「逆イールド」という単語を口にしたり、深刻な顔をしたりする。終末の日でも迎えたような重い口調で語る専門家もいるが、少なくとも目先では大袈裟だと思う。
 まず、2018年8月にも「逆イールド」云々と騒がれた。その時は米10年物国債利回りと2年物国債利回りの逆転だったが、今回は10年物国債利回りと3カ月物国債利回りの逆転で、市場関係者の多くはショックを受けた模様だ。なにしろ、一般論として逆イールドはリッセション、すなわち景気後退のシグナルとみられるからだ。
米10年物国債利回り(赤)と米3カ月物国債利回り(青) 日足 (出所:Bloomberg)
 難しい理論や話を避けたいので、簡単に言うと、国債の利回りは、満期までの期間が短いほどリターン(利回り)も低いはずだ。しかし、一時的にせよ、長期物の利回りが短期物の利回りを下回れば、これが逆イールドという現象になる。
 もっとも、逆イールドという現象自体、経済理論では説明できないものなので、経済学者の頭を悩ませてきたと言える。
■「逆イールド」が起きた理由とは? 経済理論では説明できない、または説明しきれないのであれば、これが発生する背景には市場関係者の心理的な要素が大きいのではないかと思われる。言ってみれば、諸要素により投資家たちの判断が感情的になり、その結果として逆イールドが作り出された、といった解釈が一番適切かもしれない。
 つまるところ、マーケットを左右するのは投資家の判断や思惑だ。その上、いわゆる市場センチメント、すなわち心理面の影響が大きい。経済理論上において「不条理」な現象を作り出すのも、結局、市場関係者の総意としての「相場のこころ」または、その「見えざる手」、ということである。
 したがって、相場が発した警告に耳を傾けるべきだが、神経質になったり、大袈裟に受け止める必要はない。なにしろ、相場の心理やこころは、人間と同じく行きすぎる可能性も大きいから、落ち着いてから、もう一度現実に照らして冷静に検証する、といったプロセスを踏んでいくのが大事だと思う。
 実際、昨年(2018年)8月に発生した逆イールドを大袈裟に扱っていたら、その後、10月初頭まで続く株高の局面を見逃し、また、間違った判断するリスクが大きかっただろう。
 米国株の状況で言えば、昨年(2018年)年末までの急落、また、2019年年初からのV字型回復があったからこそ、目下の逆イールドはより慎重にみるべきではないかと思う。
■逆イールドが認められてから景気後退までに1年のタイムラグ そもそも、市場関係者が言う逆イールドと、経済学者が言う逆イールドは違うかもしれない。
 多くの経済学者は、3か月と10年といった特定の年限だけを取り上げて比較したり、論議したりするのではなく、イールドカーブ(利回り曲線)全体でみるべきだと主張する。
 ここでも難しい話を避け、結論から申し上げるが、要するに、期間の異なる国債の利回りをつないだイールドカーブを全体的に見て、逆イールドの現象が認められない場合、特定の年限だけを取り上げ、景気後退の予兆と判断すること自体が大きな間違いである可能性は高い。
 また、特定の年限だけ取り上げる場合でも、逆イールド発生の期間や度合いによってそのシグナルの信憑性が違ってくるようだ。
 その上、より重要なのは、たとえ逆イールドが認められる場合でも、本格的な景気後退まではそこから約1年のずれがあり、仮に今回のシグナルが正しくても、米景気後退は早くても2020年になってからだと想定される、ということだ。
 実際、米利上げサイクルのトップアウトがあれば、その1年後に景気後退が発生するといった「規律」が米経済史において観察されており、別に驚くものではない。
 米国株の過去のパフォーマンスを見ると、「ホンモノ」の逆イールドのサインが発生してからリセッションまでの約1年において、実はすばらしかったという前例も多い。少なくとも目先、米国株に対し弱気スタンスに転換する必要はなく、むしろ、強気スタンスを強化する時期ではないかと思う。
 米ドルのパフォーマンスは、そもそも逆イールド…

参照元:ザイFX! 陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

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