
法的確実性や相互運用性が課題、市場拡大に伴う金融リスクも
国際通貨基金(IMF)の職員らが、トークン化金融の拡大に必要な条件と金融安定への影響について、10月8日付のIMF公式ブログで分析を公表した。
同ブログは、「国際金融安定性報告書(GFSR)」2026年10月版の第3章「トークン化の拡大:新たな効率性と脆弱性(Scaling Tokenization: New Efficiencies, New Vulnerabilities)」に基づく。
トークン化とは、株式や債券などの資産を分散型台帳上のトークンとして表す仕組みだ。発行や取引、精算などを共通基盤で扱い、コスト削減や処理の自動化につなげられる可能性があるという。
職員らは、市場拡大の課題として、「法的確実性」、「規制の明確化」、「相互運用性」、「安全性・健全性・拡張性を備えた精算環境の整備」の4点を挙げた。トークン保有者の権利や所有権の移転が法的に認められることや、既存の規制がどのように適用されるかを明確にする必要があるとした。
また、取引基盤が互いに接続されなければ、流動性が分散する。異なる基盤をつなぐ仕組みと、安全で広く受け入れられる貨幣による精算環境が求められるという。流動性の低さが大口投資家の参加を妨げ、市場を厚くするために必要な参加者が増えにくいという課題もあるとした。
さらに、実務上可能で利用できる場合には、中央銀行マネーを用いた精算の重要性を指摘した。一方、トークン化預金やステーブルコインなどの民間精算資産には、発行者の信用・流動性リスクが伴うとした。
同報告書によると、2026年7月時点で、公開データに基づくトークン化された現実資産(RWA)の残高は約650億ドル(約10兆2,720億円)に達した。この数値には、レポ取引やステーブルコイン、非公開のトークン化市場は含まれない。
同報告書は、2発行者による米国株・株価指数関連の5種類のトークンを、11の取引基盤で分析した。分析対象のトークン化株式では、取引量の半分超が米国の通常取引時間外に発生した。また、約8割の取引が1株未満で行われ、24時間取引や小口投資への需要が確認されたという。
一方、流動性は従来の株式市場より低く、実際の値動きから算出する「実現ボラティリティ」は約1.5倍だった。ただし、トークン化市場は夜間や週末も取引されるため、その時間帯の値動きも比較に含まれている。同報告書は、市場が初期段階にあるため、分析結果の解釈には注意が必要だとしている。
資産と資金を同時に受け渡す精算は、取引相手が資産や資金を引き渡さないリスクを減らす。一方、即時に精算する設計では、資金を用意する時間的余裕や取引を相殺する機会が減り、事前に必要な資金を確保する負担が増える可能性があるという。
職員らは、市場拡大に伴う市場間のつながりの強まりやレバレッジの増大が、投げ売りや資金の一斉引き出し、他市場への金融ショックの波及を増幅する可能性も指摘した。
ただし、同報告書は、現時点では普及規模が小さいため、金融システム全体へのリスクは限定的とした。職員らは、技術にかかわらず同様の活動を一貫して規制し、市場拡大に合わせてリスク管理を整える必要があるとしている。
なお、IMFブログは、IMFの職員や関係者が経済・政策上の課題について意見を述べる場だ。同ブログに示された見解は著者のものであり、必ずしもIMFおよびその執行委員会の見解を代表するものではない。
参考:IMF公式ブログ・国際金融安定性報告書2026年10月版・第3章
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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