
この記事の要点
- シューマー氏が「反汚職局」創設法案を米上院に提出
- 仮想通貨事業を含む公職者の利益監視制度を強化へ
反汚職局創設へ法案提出、トランプ氏にも照準
米上院民主党のチャック・シューマー院内総務は2026年7月30日、行政府の汚職を調査・摘発する独立連邦機関「反汚職局」を創設する法案を提出したと発表しました。
法案では、大統領や政府高官が公職を通じて得た不正な利益を調査するため、資金の流れを追跡する独立機関の新設を盛り込んでいます。
声明によると、法案が成立した場合には、大統領や政府高官が公職を通じて得た資金をめぐり、私人や州司法長官が米国を代表して返還訴訟を起こせるようになります。
「反仮想通貨で民主党は莫大な代償」
反汚職局法案が定める権限と提出の背景
法案は全5編で構成、3機関を統合
シューマー氏が提出した法案は「反汚職局創設法案」と名付けられ、目的や定義を定める冒頭部分に続き、全5編で構成されています。
この5編の柱となる第1編は、私人や州司法長官が大統領や政府高官らを相手に返還訴訟を起こす根拠となる民事訴権を定め、制裁として利益の吐き出し(ディスゴージメント)や3倍賠償を科す内容となっています。
こうした訴訟の受け皿となる反汚職局そのものは、第2編で上院の承認を受けた7人の委員が率いる体制と定められ、党派バランスの要件や任期の固定によって独立性が保たれます。
その7人が行使する権限を定めた第3編では、調査・召喚・監督・報告の各権限に加え、連邦選挙委員会(FEC)・政府倫理局(OGE)・特別検察官室(OSC)の3機関を統合して監視体制を一本化する内容が盛り込まれました。
統合後の組織を大統領側が骨抜きにできないよう、第4編と第5編では欠員時に連邦控訴裁判所D.C.巡回区の3判事部門が暫定委員を任命する仕組みと、課徴金や制裁金を原資とする専用基金が設けられています。
同法案には、ジェフ・マークリー、アレックス・パディーヤ、アンディ・キムの3人の上院議員が共同提案者として加わり、Public Citizen(パブリック・シチズン)やCREWなど6団体も支持を表明しました。
トランプ氏の年間収入、3分の2が仮想通貨事業
上院民主党は発表資料で、トランプ大統領が2025年の政権復帰以降に本人で20億ドル(約3,160億円)超、家族全体で40億ドル(約6,320億円)超の収入を得たとして、反汚職局創設の必要性を訴えています。
このうち仮想通貨事業からの収入を切り出した上院銀行委員会の民主党側スタッフの分析は、2025年だけで14億ドル(約2,210億円)超に上り、同氏の年間収入の3分の2近くを占めると指摘しました。
分析では、仮想通貨事業収入の内訳として、World Liberty Financial(ワールド・リバティ・フィナンシャル)が7億9,900万ドル(約1,260億円)、ミームコイン「TRUMP」が6億3,600万ドル(約1,000億円)を占めるとしています。
同分析は保有資産にも触れており、2025年の財務開示ではビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を少なくとも1億ドル(約156億円)保有していたことも明らかにされました。
倫理規定の執行は司法省に一元化
こうした大統領本人の保有や収益を公職にある間どこまで制限するかは、審議が続く仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」でも争点となってきました。
同法案を主導するシンシア・ルミス上院議員は2026年7月22日、公職者とその配偶者が対価を得てデジタル資産を発行・スポンサーする行為を禁じる倫理規定を盛り込んだ改訂版テキストを公表しました。
この倫理規定について、上院銀行委員会の民主党側は、執行権限が司法省に一元化され、州司法長官や私人による執行は禁じられていると指摘しました。
同分析はさらに、その執行権限もトランプ大統領の退任と同時に失効する点を挙げ、後任の司法省は在任中に起きた違反を追及できなくなると説明しています。
適用範囲についても、WLFトークンやステーブルコイン準備金、ミームコインのロイヤルティ経由の収益は対象外に置かれ、本人が発行・スポンサーしていない仮想通貨の保有や投資も制限を受けないと結論づけました。
CLARITY法案では司法省が執行を担う一方、シューマー氏の法案は州司法長官や私人による提訴も認めており、公職者の仮想通貨収益をめぐる執行の担い手が両案で分かれています。
100万の声が議会へ、採決へ圧力
倫理規定で民主党反発、業界は休会前の採決要求
CLARITY法案をめぐっては改訂版の公表後も与野党協議が大詰めを迎えており、ルミス議員は公表時の声明で数日以内の合意を目指す考えを示していました。
一方、民主党側ではエリザベス・ウォーレン上院議員が公表と同じ7月22日、倫理規定は骨抜きで腐敗を助長するとして、草案を廃案にすべきだと訴えました。
こうした反発が続くなか、業界側では支持団体Stand With Crypto(スタンド・ウィズ・クリプト)を通じた連邦議会への働きかけが100万回を超え、8月の休会入り前の採決を求める声が強まっています。
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Source:上院民主党声明
サムネイル:AIによる生成画像







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