
この記事の要点
- モルガン・スタンレーが2026年4月15日決算で発表
- トークン化を資産移動・助言基盤の中核へ転換方針
- 運用資産1,430兆円規模でオンチェーン化計画を始動
- 大手金融機関のデジタル資産インフラ整備競争が本格化
まずはRWA(現実資産)トークン化を詳しく
ウォール街の巨人MS、トークン化事業を本格始動
モルガン・スタンレーは2026年4月15日、第1四半期決算説明会において、トークン化をブロックチェーン・インフラを活用した資産移動と助言配信の中核に据える方針を発表しました。
同行はウェルスマネジメントと投資管理を合わせて9兆ドル(約1,430兆円)超の顧客資産を抱えており、CFOのシャロン・イェシャヤ氏はトークン化を「顧客資産の移動と助言の届け方を変えるインフラ的変化」と位置付けています。
2026年内にはトークン化エクイティの統合とオンチェーン融資商品の提供を始動させる計画で、今四半期にはゼロハッシュ社との提携によるデジタル資産パイロットも正式に動き出しています。
顧客資産9兆ドルのうちごく一部がオンチェーンに移行するだけでも市場に影響が生じる可能性があり、自社ブランドのビットコインETF「MSBT」を立ち上げた流れに続く、大手金融機関によるデジタル資産インフラ整備の本格化を示す動きとなっています。
「史上最大級ローンチ」MSBT始動
トークン化2軸、モルガン・スタンレーのオンチェーン戦略
過去最高益が後押し、トークン化へ踏み込む
発表によれば、モルガン・スタンレーのウェルスマネジメント部門は今四半期、収益85億ドル(約1.3兆円)と過去最高を更新し、純新規資産流入も1,180億ドル(約18.7兆円)に達しました。
好業績を背景に、同行は次の成長軸として資産管理サービスのデジタル化を本格推進する段階へ移行しており、CFOのイェシャヤ氏はトークン化を「ウェルスプラットフォームの構造的な進化に不可欠な要素」と説明しています。
同行は今四半期、1,000億ドル(約15.9兆円)超の資産を米国銀行エンティティへ移管するバンク再編を実施し、資金調達コストの競争力と将来的な成長余地を高める構造改革を完了しました。
こうした銀行機能の再整備によって、オンチェーン融資商品の展開が現実的な事業戦略として動き出しており、トークン化を事業モデルの中心に据える方針を明確にしています。
融資商品とエクイティ、2軸で始動
同行は2026年内に、オンチェーン環境での融資商品提供とトークン化エクイティの統合の2軸を計画しています。
融資商品のオンチェーン化は、既存のバンクローン機能をブロックチェーン上で運用することで決済速度と担保管理の効率化を図るとしています。
トークン化エクイティは、株式などの資産をトークンとして発行・流通させることで、流動性の低い資産クラスへのアクセスを広げる構想を示しています。
この2軸を支える貸出基盤も今四半期に拡大しており、バンクレンディング残高は1,860億ドル(約29.5兆円)と前四半期比50億ドル増、家庭向けローン浸透率も5年前の14%から18%へ上昇しています。
この貸出基盤をオンチェーン化することで、担保評価や融資条件の設定がリアルタイムで可能になるとしています。
また、ゼロハッシュ社(デジタル資産の決済インフラ事業者)との提携を通じて一部のE*Trade(イートレード)顧客がデジタル通貨取引を利用できる環境を整えており、個人投資家層へのデジタル資産サービス提供の実証として位置付けられています。
1.2兆ドルの個人基盤、トークン化商品の受け皿へ
トークン化エクイティの統合が実現すれば、機関投資家は株式・不動産・プライベートクレジットといった資産を24時間決済可能なトークンとして運用し、担保として複数用途に活用できる環境が整います。
個人投資家層に対しては、アドバイザー主導のウェルスプラットフォーム上でトークン化商品へのアクセスが提供される見通しです。
アドバイザー主導のワークプレイスおよびイートレード資産は1.2兆ドル(約190.7兆円)と全アドバイザー主導資産の約20%を占めており、この顧客基盤がデジタル資産サービスの主要な受け皿となるとみられています。
ただし、オンチェーン融資商品やトークン化エクイティはいずれも規制当局の承認を要する領域であり、機関・個人を問わず実際に恩恵を受けられる時期は規制対応の進捗に委ねられています。
「世界初」のオンチェーン株主投票へ
米国債トークン化が牽引、RWA競争激化
モルガン・スタンレーのトークン化方針は、大手金融機関によるデジタル資産インフラ整備の競争が本格化するなかで示されました。
RWA(現実資産)トークン化をめぐっては、米国債トークン化市場がすでに2兆円規模へ拡大しており、機関投資家が24時間決済と担保の複数活用を目的に採用を進めています。
同行がトークン化エクイティと融資商品のオンチェーン統合に動くなか、他の大手金融機関も独自のトークン化戦略を加速させており、機関向けデジタル資産インフラの整備競争が広がっています。
同行はすでに自社ブランドのビットコインETF「MSBT」を立ち上げ、デジタル資産分野への本格参入を進めており、今回のトークン化方針はその延長線上に位置づけられています。
2026年内のオンチェーン機能の始動と規制当局の承認がどのタイミングで重なるか、機関投資家市場におけるトークン化の普及がどう加速するか、市場関係者が注視する展開となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.77 円)
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Source:モルガン・スタンレー発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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