「残高は見せず、取引は証明」XRPレジャー向け機密転送プロトコル、仕様論文を公開

この記事の要点

  • RippleXの開発者3名が2026年3月27日に新プロトコルを発表
  • XRPL上のトークン残高を暗号化し、取引正当性を検証可能に
  • 機関投資家のポジション情報漏洩リスクを回避できる設計
  • 規制対応と透明性維持で、XRPLの機関参入基盤を強化

「残高は見せず、不正は防ぐ」XRPLの機密転送プロトコル

Ripple(リップル)の開発者・技術推進部門RippleXは2026年3月27日、XRPレジャー(XRPL)上で発行されるトークン向けの新しい機密転送プロトコル「Confidential MPTs(機密マルチパーパストークン)」の仕様を暗号学論文として公開しました。

この設計により、口座ごとのトークン残高や送受信額は暗号化されて非公開となる一方、総供給量は公開台帳上で引き続き検証できる状態に保つこと可能となります。

機密性を保ちながら規制上の透明性要件を同時に満たす設計で、残高を外部に見せずに取引の正当性だけを証明できる仕組みとなっています。そのため「機関投資家が懸念してきたポジション情報の漏洩リスクを回避しつつ、XRPLを活用できるようになる」と説明されています。

この仕様はRippleXの研究者ムラット・チェンク氏、アンチャル・マルホトラ氏、ジョセフ・A・アキニエレ氏の3名が共著しており、参照実装「mpt-crypto」もオープンソースで公開されています。

ゼロ知識証明・フリーズ・選択的開示、機関向け設計の三層構造

バリデータが残高を見ずに不正を防ぐみ

Confidential MPTsは、口座残高の保存形式を平文から「EC–ElGamal暗号文」に置き換える方式を採用しているとしています。

この暗号方式は「加法準同型性」と呼ばれる性質を持ち、バリデータが残高の中身を復号しなくても加減算の整合性を確認できます。

この性質を活用することで、送金の正当性・残高の十分性・総供給量の上限遵守という3条件を、ゼロ知識証明によって同時に担保するとしています。

証明の生成には「Bulletproofs(バレットプルーフ)」と呼ばれる非インタラクティブなゼロ知識証明方式が用いられており、バリデータは復号を行わずに取引の正当性だけを検証できます。

その根拠として論文では、離散対数問題の標準的な計算困難性を前提とした安全性証明も提示されており、暗号学的な堅牢性を正式に示しています。

なお、機密化の対象はあくまで取引額と残高に限定されており、送金者と受取人の識別情報はこれまで通り公開されます。XRPLのアカウントベースの実行モデルとの互換性は維持されており、ネットワークの基本的な透明性は引き続き保たれるとしています。

暗号化残高に対応したフリーズ・クローバック

また論文では、残高が暗号化された状態でも、トークン発行者によるフリーズおよびクローバック(強制回収)の操作を、機密性の仕組みを崩さずに実行できると説明がなされています。

既存仕様との整合性も確保されており、XLS-33トークン標準との完全な互換性が維持されているといいます。

公開残高と機密残高は同一プロトコル上で共存でき、発行ルールや発行者の指定セカンドアカウントの扱いも変更なく、段階的な移行に対応しているとしています。

「見せる相手を選べる」開示モデル

規制当局や監査人向けには、オンチェーンの「選択的開示モデル」が設けられています。

この仕組みでは、複数の暗号文表現と等価証明を組み合わせることで、指定した相手にのみ残高や取引額を開示できるとしています。

より簡易な発行者仲介型の監査モデルとも互換性があるとされており、規制環境の異なる複数の法域でのRWA(現実資産)トークン運用を視野に入れた設計としています。

実用性の面では、参照実装「mpt-crypto」を用いた実験的評価により、証明サイズと検証コストの両面でXRPLのバリデータ性能制約内に収まることが確認されています。この結果から、Confidential MPTsは本番環境への適用可能性を備えた設計であることが示されています。

XRPレジャーの機関対応インフラが審議段階へ

RWAトークン化をめぐっては、各国の規制当局や中央銀行が実証実験を本格化させており、プライバシーと透明性の両立が制度導入の前提条件として浮上しています。

リップルもこの動きに対応しており、シンガポール金融管理局(MAS)が主導する「BLOOM」プロジェクトに参加し、XRPLを活用したプログラマブル決済インフラの実証を進めています。

今回の論文公開はこうした取り組みの技術的裏付けとなる一方、あくまで査読前の公開段階であり、XRPLへの正式統合には開発者コミュニティでの審議とネットワーク合意が必要です。

参照実装のオープンソース公開とバリデータ性能制約内での動作確認が済んでいることから、実装審議に向けた環境はすでに整いつつあります。

機密転送プロトコルの実用化が進めば、XRPLは機関投資家が求めるプライバシー水準と、規制当局が求める監査可能性を両立できる基盤として位置づけられる可能性があります。

技術基盤の整備と規制対応の進捗が、今後のXRPLへの機関資金流入の行方を左右する局面を迎えています。

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Source:暗号学論文
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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