
この記事の要点
- アイルランド財務省が初のAML国家戦略を発表
- 仮想通貨の送金審査を厳格化し個人ウォレットも対象に
初のAML戦略で仮想通貨送金を厳格審査
アイルランド財務省は2026年8月13日、仮想通貨やギャンブル業界を規制対象に含む、同国で初めてとなるマネーロンダリング対策(AML)国家戦略を公表しました。
新たな戦略では、仮想通貨(暗号資産)サービス事業者に対する送金確認や取引審査を厳格化し、資金の流れをより詳細に把握できる体制を整える方針が打ち出されています。
規制強化はセルフカストディウォレットとの送金にも及び、仮想通貨事業者にはこれまで以上に慎重な確認が求められることになります。
こうした措置を打ち出した背景には犯罪組織による暗号資産や複雑な国際金融網の悪用があり、サイモン・ハリス副首相兼財務大臣は「アイルランドは犯罪収益を洗浄する安全な場所にはならない」と強調しました。
同戦略は2026年6月にまとめられたリスク評価と30項目の行動計画を土台としており、仮想通貨やギャンブルを含む幅広い分野で2030年までにマネーロンダリング対策の改革を進める方針となっています。
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仮想通貨とギャンブルにAML規制を拡大
個人ウォレット送金の確認を厳格化
仮想通貨分野では、送金者と受取人の情報を送金時に共有するFATFのトラベルルールに沿って、EU資金移転規則(TFR)を国内で完全実施するための対応が進められています。
アイルランド財務省によると、同規則の大部分はすでに実施されており、残る対応として個人ウォレットとの送金確認を強化するとともに、海外事業者との取引には厳格なデューデリジェンス(本人確認・審査)を導入する方針です。
なかでもセルフカストディウォレットは、取引所やカストディ事業者を介さず利用者自身が資産を管理するため、従来は把握しにくかった資金の移動経路を確認できるようにすることが今回の措置の狙いとなっています。
カジノにもマネロン対策の枠組みを拡大
こうした資金の追跡を強める措置はギャンブル業界にも及び、仮想通貨による入金を受け入れる事業者には、資金の出どころを確認する仕組みが求められることになります。
その具体策として、アイルランド政府は6月の優先行動計画で、アイルランドギャンブル規制局(GRAI)に対し、仮想通貨による入金時の資金源を確認する業界基準を2027年までに策定するよう求めました。
入金後の資金移動についても追跡できるよう、ギャンブル事業者には顧客への出金を入金時と同じ決済口座から行う「クローズドループ」決済が義務づけられます。
対象はオンラインでの入出金に限らず、マシンを用いたギャンブルを運営するカジノクラブにも広がり、より厳格なマネーロンダリング対策の枠組みに組み込まれる方針となっています。
2027年から匿名口座の提供を禁止
国内でこうした改革に着手する以前から、アイルランドはEUのMiCA(暗号資産市場規則)への対応を前倒ししており、多くの加盟国より早い段階で移行を進めてきました。
既存事業者に認められた経過措置(グランドファザリング)についても、EUが認める最長18カ月ではなく12カ月を採用し、2025年12月末で移行を終えたため、今回の新たな義務はMiCA認可済みの事業者に課されることになります。
EU全体でもAML規制の厳格化が予定されており、2027年7月からは仮想通貨事業者による匿名口座の提供や匿名化コインの取り扱いが禁じられ、新設のAMLA(EUマネーロンダリング対策当局)が監督を担います。
ただし、秘密鍵へのアクセスや管理を行わないウォレット提供者は規制対象から外れるため、利用者自身が資産を管理する仕組みそのものは引き続き認められています。
暗号資産詐欺対策を業界に要請
仮想通貨を「重大リスク」に分類
アイルランドがAML体制の見直しを進めるなか、EUでも仮想通貨をめぐる規制の再検討が続いており、欧州委員会は2026年5月にMiCA規制の見直し協議を開始しています。
こうしたなか、アイルランドが2019年以来の見直しとして2026年に公表した国家リスク評価では、仮想通貨がマネーロンダリング・テロ資金供与の「非常に重大な」リスクに分類されました。
この評価を受け、アイルランドは今後予定されるFATF(金融活動作業部会)の相互審査に備えて官民の連携や監督体制の整備を進めており、一連の対策が実際のリスク低減につながっているかが審査で検証される見通しです。
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Source:アイルランド財務省
サムネイル:AIによる生成画像





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