double jump.tokyoがRIKYUを完全子会社化!その裏側をRIKYU高瀬氏に聞いた

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2026年7月10日、暗号資産会計システム「暗号会計RIKYU」を展開する株式会社RIKYUが、double jump.tokyo株式会社との間で株式譲渡契約を締結した。RIKYUはdouble jump.tokyoの完全子会社となり、新代表には同社代表取締役の松谷幸紀氏が就任する見込みだ。

株式会社RIKYUでは国内外の取引所取引およびオンチェーン取引の履歴を自動取得し、損益計算から仕訳生成までを一気通貫で支援する暗号資産会計システムを提供している。

NFTMediaでも2026年2月にYouTubeインタビューを行った。

【確定申告を超ラクに】暗号資産損益ツール「RIKYU」とは?操作方法を実践解説!

一方の買い手であるdouble jump.tokyoは、法人向けウォレット「N Suite」を軸にWeb3事業者向けソリューションを展開している。日本円建ステーブルコイン「JPYC」への対応など、法人の暗号資産管理を支える取り組みを加速させている。

今回のM&A交渉は、わずか1ヶ月でのスピード決着となったそうだ。なぜこのタイミングだったのか、何が決め手となったのか、そしてプロダクトとユーザーはこれからどうなるのか。契約締結直後の高瀬氏にNFTMedia編集部が聞いた。

【プロフィール】
株式会社RIKYU ファウンダー
高瀬 兼太(たかせ けんた)

2023年9月に株式会社RIKYUを設立。国内外の取引所取引・オンチェーン取引の履歴を自動取得し、損益計算から仕訳生成までを支援する暗号資産会計システム「暗号会計RIKYU」を個人・法人・士業向けに展開。日本ブロックチェーン協会(JBA)税制分科会にも参画し、暗号資産の会計・税制に関する業界標準づくりに取り組む。

一気通貫でのサービス提供を目指して

NFTMedia編集部(以下、編集部):では早速ですが、RIKYUの売却を考え始めたきっかけについて教えてください。

高瀬兼太(以下、高瀬):Web3業界の将来を考える中で、他社と連携する考えが生まれました。

2026年に入ってから、水面下でエンタープライズ向けのサービス開発を進めていました。

そしてユーザーからのヒアリングを重ねる中で、会計やウォレットをどうするか、秘密鍵の管理方法といった課題につまずいているケースが多く見られたのです。

そこでたどり着いた結論が、ウォレット、会計作業などのバックオフィス、そしてその前段となるコンサルティングを一連の体験として提供できる体制の重要性です。

編集部:一気通貫でのサービス提供が必要だと考えたのですね。

高瀬:そうです。そこでRIKYUが自社でウォレットサービスやコンサルティングを展開する展開と、ウォレット事業やコンサルティングを手がける事業者と提携する方策の2つが浮かびました。

両者のうちでいち早く一気通貫を実現できるのは後者だろうと思い至り、そこから資本提携を含めた検討を始めたという経緯です。

本格検討はわずか1ヶ月半前──異例のスピードで進んだ交渉

編集部:それでは、M&Aについての本格的な検討を始めたのはいつ頃だったのですか。

高瀬:1ヶ月前の2026年6月頃です。RIKYUとシナジーがありそうな企業に私からお声がけをして、その中で返信をいただいた1社がdouble jump.tokyoでした。

編集部:なるほど。double jump.tokyo側もRIKYUのサービスにかなり興味を持たれていて、シナジーが出ると判断されたということなんですね。

double jump.tokyoにとって、どういった部分が特に評価されたとお感じですか。

高瀬:これは私の推測なのですが、double jump.tokyoがRIKYUのユーザーであり、実際にプロダクトを使っていただいていた点も大きいと思っています。

他のサービスといろいろ比較した上で、RIKYUに価値を感じていただけたのかなと。その上でdouble jump.tokyo共同代表の松谷さんとコンセプトを含めた深い部分までお話をして、シナジーがあると感じていただけたのだと思います。

編集部:double jump.tokyoにおいて、既にRIKYUを活用してきた実績があったのですね。

高瀬さんとしては、複数社と交渉された中で最終的にdouble jump.tokyoと合意に至った決め手はどこにあったのでしょうか。

高瀬:double jump.tokyoが保有するアセット、特にto B向けにウォレットを提供している「N Suite」とのシナジーが明確だった点です。

N Suiteは企業向けのウォレットであり、企業活動において暗号資産を安全に管理できます。このN SuiteとRIKYUとの組み合わせによって、暗号資産の保有から管理、会計までが一気通貫で完結します。

編集部:N Suiteは企業向けウォレットですから、そこに会計の仕組みが組み込まれていくとなるとシナジーとして分かりやすいですね。

以下のYouTubeインタビューをした際にも、N Suiteを法人向けに展開していくとのビジョンが語られていました。

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高瀬:そうですね。「今後RIKYUをどう伸ばしていくか」をすごく具体的にイメージできた点が大きかったです。

ただ、今回は1ヶ月ほどという速いスピードで話がまとまったこともあり、今後の具体的な形はこれから話し合っていく段階です。

現時点では、N Suiteに統合されるというより、RIKYUは単体として独立してサービスを展開していく形になるのかなと予想しています。

ブランドもプロダクトも継続、開発は「むしろ加速」

編集部:現在、RIKYUは個人向け、法人向け、そして税理士・会計士向けでサービスを展開されています。今回のM&Aによって、ユーザーにとって何か変わることはあるのでしょうか。

高瀬:今後もサービスを継続して提供していくため、変更はありません。

プロダクトラインは変わらず、さらに開発を加速して提供していく形になると思っています。個人版のRIKYUも継続して提供していく予定です。

編集部:これまで通り利用できるのですね。RIKYUが掲げてきた「99%以上の取引取得精度」や「新チェーンへの対応スピード」といった強みは、double jump.tokyoの傘下に入った後も維持できる体制なのでしょうか。

高瀬:問題なく引き継げます。むしろ、double jump.tokyoのエンジニアチームと協調して開発を進められるので、より安定するのではないかと考えているほどです。

我々が蓄積してきたオンチェーン分析のノウハウも双方のチームで共有するので、スピードも精度もさらに向上するはずです。

編集部:それは素晴らしいですね。RIKYUでは、freeeやマネーフォワードなど、幅広い会計ソフトと中立的に連携してきた経緯があります。このスタンスも引き継がれるのでしょうか。

高瀬:ここはRIKYUの価値の一つだと思っているので、今の方式を継続して進めていけると考えています。

ビジネス的な観点からも、特定のグループに閉ざすのではなくオープンな連携が続くと考えています。

編集部:今後も中立的な運営は維持されるのですね。ちなみに、将来的な事業展開において大きく変わりそうな点はありますか。

高瀬:今後の展開については、現在double jump.tokyoと協議中です。

今回のM&Aにより、ブロックチェーン黎明期から業界を支えてきたdouble jump.tokyoの松谷さんや上野さんと共に戦略を立案できるようになりました。これからは新しいアイデアも生まれてくるはずなのでチームとして話し合いながら戦略を練っていきます。

高瀬氏はアドバイザーとして継続関与

編集部:M&Aの契約条件について、アーンアウトや経営陣のロックアップはどうなっているのでしょうか。

高瀬:私がRIKYUからすぐに離れるということはありません。

編集部:ということは、高瀬さんご自身は今後もRIKYUに携わるのですね。

高瀬:はい。アドバイザーという形でコミットし、RIKYUのサービス提供やお客様のサポート、事業戦略の立案も含めて関与します。また、RIKYUのCTOである阿部将久も引き続きアドバイザーという形で開発をサポートしていきます。

なお、株式会社RIKYUの代表にはdouble jump.tokyoの松谷幸紀さんが就任予定です。

double jump.tokyoがウォレットと会計を両方持つ企業グループに

編集部:Web3スタートアップのM&A事例はまだまだ事例が少ないです。そのようななかで、今回RIKYUが契約成立に至ったのにはどのような要因があるとお考えですか。

高瀬:現在のRIKYUがユーザーの要望全てに応えきれているわけではないのですが、ユーザーと対話しプロダクトを磨くことを心がけていました。

暗号資産やステーブルコインの会計や税制には業界としてまだまだ課題が残っていて、市場を支えきれているプロダクトが少ないです。そのため、会計領域が最後のボトルネックの一つになる。──これを解消するという気持ちでこれまでやってきました。

だからやるべきことは、改めてちゃんと目標を立てて、プロダクトを磨き込んで、ちゃんとユーザーに届ける。このシンプルなことをやり続けることが大事なんじゃないかと思います。

編集部:業界のニーズをしっかりつかんで、そこにピンポイントで刺さる尖ったプロダクトを作り込んだことが今回のM&Aにつながったということですね。

高瀬:ユーザーに刺さっている状態は、やはり必要だと思います。

また、今回1ヶ月という短期間で話がまとまったのも、double jump.tokyoが実際にRIKYUを使っていただいていたユーザーだったからだと言えます。

編集部:double jump.tokyoとしても、一人のユーザーとしてRIKYUの強みを認識していたのですね。では最後に、Web3業界の関係者の方へメッセージをお願いします。

高瀬:今後、法人がウォレットを持つ、自社の資産としてステーブルコインを持つのが、強力なユースケースの一つになると思っています。

そしてステーブルコインを持つことは、単に口座を開くだけの話ではなく、オンチェーンの監査・会計・トラッキングが必要不可欠になる。これは確信しています。

従来は「ウォレットは○○社、会計は○○社、コンサルティングは○○社」と各社に連絡する必要があり、そもそも窓口が分からない状況だったと思います。

今回、RIKYUのグループインにより、double jump.tokyoはウォレットサービスと暗号資産会計システムを両方持つ国内唯一の企業グループになりました。

「ステーブルコインをどうしよう」、「会計に問題はないか」という疑問も含め、とりあえずお問い合わせいただければ、ワンストップでスピーディーにサービスを提供できます。

私がこれまで蓄積した会計やバックオフィスのノウハウも還元していきたいので、お気軽にご連絡いただけると嬉しいです。

編集部:本日はありがとうございました。

インタビューを終えて

日本のWeb3スタートアップにおけるM&Aはまだ少なく、業界にとって貴重な参考事例となるだろう。RIKYUのケースでは、暗号資産の会計・税制という「最後のボトルネック」を真剣に解決しようとする姿勢が、結果的に買い手の信頼と迅速な意思決定につながったようだ。

ステーブルコインの社会実装が進む今、ウォレットと暗号資産会計を両輪で持つ国内唯一の企業グループの誕生は、法人のWeb3参入のハードルを大きく下げる可能性を秘めている。

今後、統合後のビジョンと戦略がさらに明かされる予定なので、続報にもぜひ注目してほしい。

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