
この記事の要点
- Mastercardがカード清算をオンチェーン化、24時間清算に対応
- USDCやRLUSDなどステーブルコイン6銘柄・8チェーンに対応
Mastercard、カード清算をオンチェーン化
決済大手のMastercard(マスターカード)は2026年6月3日、カード取引の決済処理について、規制対応のステーブルコインを用いたオンチェーン決済に対応すると発表しました。
今回の仕組みでは、従来は銀行営業時間に依存していたカード取引の清算をブロックチェーン上で処理できるようになり、夜間や週末・祝日を含む24時間体制での決済が可能となります。
カード利用者の操作方法は従来と変わらず、清算に利用する通貨や実行タイミングはカード発行会社や加盟店側の決済事業者が選択できる設計となっています。
今回の拡張はまず米国と中南米で開始され、対応するステーブルコインやブロックチェーン、参加金融機関は2026年を通じて段階的に拡大される見通しです。
85社超のパートナープログラム始動
USDC・RLUSDなど6銘柄、8チェーンに対応
採用銘柄と利用可能チェーン
発表によれば、今回の決済基盤では規制当局の監督下で発行される6種類のステーブルコインが清算手段として採用されており、対応銘柄は以下の通りです。
| 発行体 | 対応するステーブルコイン |
|---|---|
| Circle(サークル) | USDC |
| Paxos(パクソス) | PYUSD(PayPal USD)・USDG・USDP |
| Ripple(リップル) | RLUSD |
| SoFi(ソーファイ) | SoFiUSD |
対象となるステーブルコインは複数のブロックチェーン上で利用できる設計となっており、Ethereum(イーサリアム)・Solana(ソラナ)・Polygon(ポリゴン)・Arbitrum(アービトラム)・Base(ベース)が対応ネットワークに含まれています。
これにXRP Ledger(XRPレジャー)・Canton(カントン)・Tempo(テンポ)を加えた計8チェーンで運用される予定で、利用企業は自社の環境に応じて清算ネットワークを選択できるようになります。
銀行時間に縛られない清算体制を実現
こうした構成が採用された背景には、銀行営業日に左右される既存の決済インフラが抱える時間的な制約があり、カード決済自体は24時間利用可能である一方、清算処理は銀行システムの稼働時間に依存していました。
そのため週末や祝日には送金指示と資金移動の間にタイムラグが生じやすく、加盟店や決済事業者は流動性を事前に確保する必要があるなど、運用面での負担を抱えていた経緯があります。
今回のオンチェーン決済ではブロックチェーン上で清算を実行できるため、従来は銀行営業時間に左右されていた決済処理を夜間や週末・祝日にも継続できるようになります。
こうした仕組みについて、同社のブロックチェーン・デジタル資産部門を統括するラジ・ダモダラン氏は「常時稼働するデジタル経済のなかで、パートナーが流動性を管理する手段を広げられる」と述べています。
銀行・決済事業者が相次いで参加表明
この仕組みを支える初期パートナーにはARQ(旧DolarApp)やCross River、Lead Bankなどの銀行・決済事業者が参加しており、まずはこれらの企業を通じて新たな清算基盤の運用が開始されます。
参加企業からは前向きな反応も相次いでおり、対象銘柄にRLUSDが採用されたことを受け、Ripple(リップル)のステーブルコイン事業統括ジャック・マクドナルド氏も今回の取り組みを評価しました。
同氏は「世界で最も重要な決済インフラにブロックチェーンが採用されたことを示す、節目となる検証だ」と述べ、規制対応ステーブルコインの利用が実際の決済処理へ広がり始めているとの認識を示しています。
なお、この仕組みは既存の法定通貨建て決済を置き換えるものではなく、決済事業者や金融機関が必要に応じて利用できる追加の清算手段として提供される予定です。
金融庁、3社の銀行間決済実証を支援
大手カード2社のステーブルコイン戦略
マスターカードは今回の発表に先立ち、2026年5月27日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスを取得しており、ステーブルコインを活用した決済・清算基盤の整備を進めてきました。
今回発表されたオンチェーン清算の仕組みはその延長にあり、同社は規制対応ステーブルコインを既存のカードネットワークへ組み込む取り組みを拡大しています。
こうした動きはマスターカードに限ったものではなく、Visa(ビザ)も決済企業Bridge(ブリッジ)と提携し、ステーブルコイン決済カードを100カ国規模へ広げる計画を進めています。
大手カード会社が相次いでステーブルコイン対応を進めるなか、ブロックチェーンを活用した清算基盤の実運用は決済業界全体へ広がりつつあります。
関連の注目記事はこちら
Source:Mastercard公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







コメント