
この記事の要点
- PayPalが2026年4月29日に3事業体制への再編を発表
- 仮想通貨を独立中核部門に格上げ、PYUSD決済と統合
- 加盟店は1窓口で法定通貨・仮想通貨決済が利用可能に
PayPal再編、仮想通貨が3本柱の1つに
米決済大手PayPal(ペイパル)は2026年4月29日、事業構造と経営陣の戦略的再編を発表しました。
同社は事業を「Checkout Solutions & PayPal」「Consumer Financial Services & Venmo」「Payment Services & Crypto」の3領域に再編し、決済・金融・仮想通貨(暗号資産)を統合的に扱う組織構造へと移行します。
中でも「Payment Services & Crypto」部門では、米ドル建てステーブルコイン「PYUSD」を含む仮想通貨サービスが決済インフラと統合され、これまで分離されていた領域が単一基盤として運営される体制となります。
エンリケ・ロレス社長兼CEOは今回の再編について「3つの強力な事業を軸に会社を整え、業務を簡素化し、実行力を高める必要がある」と述べています。
PYUSD、70市場で決済拡大へ
新3部門の陣容とPYUSD 70市場展開
決済処理と仮想通貨を単一部門に統合
発表によれば、新設される「Payment Services & Crypto」部門は、決済処理プラットフォームBraintreeをはじめ、中小企業向け決済や付加価値機能、PYUSDを含む仮想通貨事業を一つの組織に統合します。
同部門の暫定責任者にはジェフ・ポメロイ氏が就任し、決済処理と仮想通貨事業を一体で担当する体制が構築されました。
これまで、PayPalの仮想通貨事業は既存の決済インフラとは別系統で運営されてきましたが、今回の統合で加盟店はひとつの窓口から法定通貨決済と仮想通貨決済の両方にアクセスできるようになります。
新任4名・退任2名、経営陣を総入替
このほか、「Checkout Solutions & PayPal」部門にはフランク・ケラー氏がプレジデントとして着任し、消費者と加盟店の両エコシステムを統合的に管理する役割を担うとしています。
「Consumer Financial Services & Venmo」部門はアレクシス・ソワ氏が暫定的に率い、Venmo(ベンモ)を総合的な消費者向け金融サービスプラットフォームへと拡張する方針が示されています。
また、アントニオ・ルシオ氏が最高マーケティング兼コーポレートアフェアーズ責任者として入社し、アンシュ・バードワジ氏がAIトランスフォーメーション兼簡素化最高責任者に就任しました。
一方、Venmoの成長・収益化を推進してきたディエゴ・スコッティ氏と、中小企業・金融サービス部門を率いてきたミシェル・ギル氏の2名のEVPが退任することも明らかになっています。
PYUSD 70市場展開、加盟店に即時決済
こうした経営陣の刷新と並行して、PayPalはPYUSDのグローバル展開も積極的に進めてきました。
同社は2026年3月17日、PYUSDの利用可能地域をアジア太平洋・欧州・中南米を含む70市場に拡大しており、今回の組織再編はその展開を事業基盤として強化する動きとなっています。
加盟店はPYUSDを利用することで従来の決済サイクルより短い時間で売上金にアクセスでき、越境取引における資金繰りの改善が見込まれています。
ユーザーはPayPalアカウント上でPYUSDの購入・保有・送金・受取が可能であり、対象ユーザーには保有残高に応じた年率4%のリワードが提供されています。
仮想通貨決済の米国浸透度
PYUSD急成長と米小売の仮想通貨需要
PayPalは2026年3月、PYUSDの供給量が40億ドル(約6,300億円)を突破したと発表しており、ステーブルコイン市場での存在感を急速に高めてきました。
同社とNCA(全米仮想通貨協会)が2026年1月に公表した共同調査でも、米国の小売業者の約4割がすでに仮想通貨決済を導入しています。決済インフラと仮想通貨を一体運営する今回の組織再編は、こうした需要の広がりを受けた対応となっています。
PayPalは2026年5月5日の決算説明会で新しい事業モデルの詳細を公表する予定としており、各部門の収益構造やPYUSDの貢献度に関する説明に関心が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル= 157.12 円)
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Source:PayPal公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用






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