
PayPal、仮想通貨統合の新送金機能を発表
米国の決済大手PayPal(ペイパル)は2025年9月15日、新機能「PayPal Links(ペイパル・リンクス)」を発表しました。
公式発表によると、この機能により、ユーザーはパーソナライズされた一度限りのリンクを作成し、テキストメッセージやメールなどあらゆる会話の場で共有するだけで、簡単に送金や支払いのリクエストを行えるようになります。
この新機能「PayPal Links」は米国では同日から利用可能となっており、今月末からは英国・イタリアなど海外市場にも順次拡大予定とされています。
また、新しいP2P(個人間送金)フローには仮想通貨(暗号資産)が直接統合されることも報告されており、近く米国ユーザーはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、PayPal USD(PYUSD)などをVenmo(ベンモ)で送金できるようになる見通しです。
仮想通貨決済機能を店舗向けに提供
新機能「PayPal Links」で推進する次世代送金エコシステム
PayPal Linksによる簡単で安全な送金プロセス
同社の発表によれば、PayPal Linksは従来の「PayPal.Me」と異なり、特定の金額にひも付いた一度限りの支払いリンクを生成できる点が特徴です。
ユーザーはPayPalアプリで支払いや請求の詳細を入力してリンクを作成し、それをチャットやSNSなどで相手と共有します。
受取人は送られてきたリンクをタップして、支払いを完了するか受け取りを行うことができ、未請求のリンクは10日後に自動失効する仕組みとなっています。
加えて、リンクは取引ごとに固有でプライバシーも保護されており、有効期間中は送金者がリマインド送信やキャンセルも可能です。
仮想通貨決済インフラとしてのPayPalの挑戦
PayPalは2020年頃から米国で仮想通貨の売買サービスを開始し、2023年には独自の米ドル連動型ステーブルコイン「PYUSD」を発行するなど、分野拡大を進めてきました。
2025年7月には店舗向けの新機能「Pay with Crypto」を発表し、100種類以上の仮想通貨による即時決済が可能なサービスの提供を開始しています。
同サービスでは、支払いに用いられた仮想通貨が自動でステーブルコインや法定通貨に転換され、加盟店への支払いがリアルタイムで完了する仕組みを提供しています。
また、PayPalは自社ステーブルコインPYUSDの普及促進にも注力しており、今年4月には米大手取引所Coinbase(コインベース)との提携拡大を通じて、個人・機関投資家によるPYUSDの売買・送金手数料を免除する措置を取りました。
今回の「Links」の導入は、こうしたPYUSDを含む仮想通貨対応の取り組みをさらに拡張するもので、送金サービスの利便性向上を目指す狙いがあるとみられています。
PayPal Links導入で実現する新たな送金体験
PayPalのコンシューマー部門GMであるディエゴ・スコッティ氏は、今回の発表について「創業から25年間、人と人とのお金のやり取りを革新してきた当社が、いま次の大きな一歩を踏み出す」と述べています。
さらに同氏は、テキストやメッセージ内で「会話にお金が追従する世界」を実現するビジョンを語っており「利用者がどのアプリ上でも友人や家族への支払いを手軽に行えるようにしたい」との考えを示しました。
なお、PayPalおよびVenmoを通じた個人間(友人・家族間)送金については従来通り税務報告フォーム(1099-K)の対象外とされています。
ギフトや立替金の清算など個人的な送金には税務上の報告義務が生じないことも確認されており、利便性の向上だけでなく安心して利用できる仕組みも提供しています。
SOLとLINKのサポートを開始
仮想通貨・ステーブルコイン決済が世界で拡大
VisaとXが進める次世代デジタル送金サービス
米Visa(ビザ)は2025年7月末、ステーブルコイン決済インフラの大幅拡張を発表しました。
同社は、PayPal USD(PYUSD)・USDG・Euro Coin(EURC)の3種類のステーブルコインと、アバランチ(Avalanche/AVAX)およびステラルーメン(Stellar/XLM)の2つのブロックチェーンネットワークのサポートを新たに追加しています。
また、X(旧Twitter)は「X Money」と呼ばれる決済サービスの提供に向けVisaと提携しています。2025年後半にもデビットカードと連携する個人間送金機能や、Visa Directを活用した即時資金移動サービスを開始する計画です。
アフリカ市場で拡大するBTCライトニングネットワーク送金
さらにアフリカのフィンテック大手Chipper Cashは9月11日、ビットコイン送金にLightning Networkを活用した結果を公表しました。
同プラットフォーム上のビットコイン取引の半数以上がライトニングネットワーク経由で処理されていると報告しています。
高速かつ低コストな決済技術の実用例として注目されており、世界の決済業界で仮想通貨やブロックチェーン技術を取り入れる動きが加速しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.47 円)
仮想通貨決済関連の注目記事はこちら
Source:PayPal公式発表
サムネイル:AIによる生成画像







コメント