
米主要銀行の過半数が仮想通貨受け入れ準備へ
2025年8月9日、米国の大手銀行上位25行のうち過半数が、仮想通貨(暗号資産)サービスへの参入を本格化させ、計画策定や限定的な提供を開始していることが明らかになりました。
米ビットコイン関連企業RIVER(リバー)社がX(Twitter)で公開したデータによると、上位銀行の半数以上が仮想通貨の保管(カストディ)や取引サービスを「検討段階」から、運用準備や一部顧客向けの提供へと移行したとされています。
この変化は、仮想通貨関連サービスが伝統的金融機関の業務に本格的に組み込まれ始めたことを示すものです。
これらの銀行の多くは当初、仮想通貨市場を静観していましたが、RIVER社は「米銀行がビットコイン(BTC)を受け入れ始めている」とコメントしています。
13 of the top 25 banks in the US are building bitcoin products for their customers.
First they ignore it. Then they fight it.
Now they’re starting to embrace Bitcoin. pic.twitter.com/pvFU9OWzYY
— River (@River) August 8, 2025
米国のトップ25銀行のうち13行が、顧客向けにビットコイン関連商品を開発しています。
最初は無視し、次に対抗していました。
今、彼らはビットコインを受け入れ始めています。
現時点で仮想通貨サービスの対象は富裕層やアドバイザリー顧客に限定され、一般ユーザーに広く開放された状況ではないものの、米国の大手銀行が新時代の金融インフラとして仮想通貨を積極的に取り入れる動きが鮮明になっています。
米銀行、仮想通貨の保管・取引が可能に
米国主要銀行で加速する仮想通貨サービス拡大
モルガン・スタンレーの現物ビットコインETF戦略
投資銀行大手モルガン・スタンレーは2025年4月、約1万5,000人の財務アドバイザーに対し、富裕層顧客への現物ビットコインETF推奨を許可する方針を検討していることが明らかになりました。
同行が現物ビットコインETF(上場投資信託)を顧客に積極提案するのは初めてで、リスク管理や投資比率の上限設定などの体制整備が進められていたと報じられています。
従来は顧客の要望に応じる形に限られていましたが、今回の計画では勧誘を可能にし、販売の拡大を図る方針とされています。
仮想通貨取引も検討か
チャールズ・シュワブがBTC・ETH取引参入を表明
オンライン証券大手チャールズ・シュワブのリック・ワースターCEOは、7月18日のCNBCインタビューでビットコインおよびイーサリアム(ETH)の現物取引サービスを「近く追加する」と明言しました。
同社ではビットコインETFなど仮想通貨関連商品に約250億ドル(約3.7兆円)の顧客資産が配分されており、これは全資産の0.2%に相当します。
ワースターCEOは「顧客資産の98%以上がシュワブで管理されている一方、残余は外部プラットフォームに分散している」と述べ、そのうえで、資産の一元管理ニーズに対応する姿勢を示しました。
同社は米取引所大手Coinbase(コインベース)で取引する顧客資産を自社に呼び戻す方針を公言しており、今後は米最大手取引所との直接競合が予想されています。
BTC・ETH現物取引を近日開始へ
PNCフィナンシャルがコインベースと仮想通貨取引で提携
地方銀行大手PNCフィナンシャル・サービスは7月、顧客向けの仮想通貨サービス拡充を目的に、コインベースと提携したと発表しました。
PNCはコインベースの企業向け仮想通貨プラットフォームを活用し、同行顧客が口座内で直接ビットコインなどを購入・保管・売却できるサービスを開発中と伝えられています。
両社は、銀行サービスとコインベースの技術を統合し、双方の強みを生かしたサービスモデルを構築する計画です。
デムチャックCEOは「安全でシームレスな仮想通貨アクセスを提供できる」とコメントし、需要拡大への対応に意欲を示しました。
JPモルガンがトークン化預金の試験開始
JPモルガン・チェースは6月、米ドル建て預金を即時移転可能にする「トークン化預金」のパイロットをBaseブロックチェーン上で開始しました。
さらにジェイミー・ダイモンCEOは7月、独自のステーブルコイン決済サービス試験導入を発表しています。
同社は、オンラインバンキング利用者が外部プラットフォームを介さずに、コインベース経由で仮想通貨を直接購入できる機能も実装しました。
ダイモンCEOは依然としてビットコインに懐疑的とされる一方、送金や預金管理などの実務領域でブロックチェーン活用を拡大し、複数分野での導入を並行して進めています。
「懐疑的だがステーブルコイン参入は必要」
大手カストディ銀行が進める仮想通貨戦略
ステートストリート銀行は2024年7月、決済効率化を目的に、独自ステーブルコインやトークン化預金の発行を念頭に置いた仮想通貨プロジェクトへの参画を検討していることが明らかになりました。
同行は傘下の運用会社を通じ、国債やマネー・マーケット・ファンドのトークン化にも取り組みを広げていると伝えられています。
BNYメロンはブラックロックのビットコイン現物ETFで信託管理者兼資金カストディを担い、Ripple(リップル)社の米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の準備金保管も担当しています。
シティグループのジェーン・フレーザーCEOは2025年7月、第2四半期の決算発表後に行われた電話会議で、独自のステーブルコインを発行する計画を検討中であることを明らかにしました。
こうした取り組みは、RIVER社が指摘する「銀行が仮想通貨への水路を開く」動向を裏付けるものであり、金融インフラが次段階へ移行していることを示すものとみられています。
米国上位500社でブロックチェーン活用が急増
行参入で拡大する仮想通貨取引とサービスの未来像
米国の大手銀行による仮想通貨サービス参入は、現時点では提供範囲が限定的であるものの、金融機関の業務基盤に仮想通貨が組み込まれる重要な転換点を迎えています。
規制整備と技術革新が進むことで、これまで富裕層中心だったサービスは一般利用者へ段階的に広がる見通しです。これに伴い、取引量と市場規模の拡大が期待されています。
銀行と仮想通貨企業の連携が拡大し、トークン化資産やステーブルコインの発行事例が増えることで、伝統金融と仮想通貨市場の融合は一層加速するとみられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.82 円)
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Source:RIVER X投稿
サムネイル:AIによる生成画像









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