
英大手銀行が仮想通貨取引を提供へ
イギリスの大手銀行スタンダード・チャータード銀行は2025年7月15日、企業や資産運用会社などの機関投資家を対象に、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物取引サービスを開始すると発表しました。
この取引サービスの開始により、スタンダード・チャータード銀行は、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)として、機関投資家に仮想通貨の現物取引サービスを提供する初の金融機関となります。
この新サービスは、仮想通貨に対する機関投資家の需要拡大に応えるもので、同行は規制に準拠した安全な取引環境の整備に注力するとしています。
仮想通貨取引を既存システムに統合
この仮想通貨取引サービスは、同行の既存プラットフォームと統合されており、機関投資家は従来の外国為替(FX)取引画面を使って、ビットコインやイーサリアムの売買が可能になっています。
また、仮想通貨の保管先としては、顧客が選択した外部の資産保管機関に預ける方法に加え、同行が提供するカストディサービスを利用することもできるとしています。
仮想通貨取引サービスの拡充も計画
スタンダード・チャータード銀行は、今回の現物取引サービスに続き、NDF(差金決済型先物取引)の提供も計画していると明らかにしています。
同行のビル・ウィンターズCEOは公式発表の中で、顧客からの仮想通貨需要が加速しているとした上で「規制に準拠しつつ、安全かつ効率的にリスクを管理できる手段を提供していく」と強調しました。
アジアで仮想通貨事業を本格化
世界の銀行業界に広がる仮想通貨サービスの波
スタンダード・チャータード銀行による今回の現物取引サービス参入は、仮想通貨分野に参入する世界の銀行の流れの一部とみられています。
ドイツ最大級銀行が仮想通貨取引に参入
ドイツ最大級の銀行グループであるスパルカッセン・フィナンツグループ(貯蓄銀行グループ)は2025年6月末、約5,000万人の個人顧客を対象に、2026年夏までに仮想通貨の直接取引サービスを開始する方針を発表しました。
報道によると、同グループの顧客は、各行のモバイルアプリを通じて銀行口座から直接ビットコインやイーサリアムを売買できる仕組みの導入が予定されています。
これまで同グループは慎重な姿勢を保っており、仮想通貨事業への本格的な参入に方針を転換した動きとして注目を集めました。
香港のHSBCで仮想通貨ETF取引が可能に
英大手銀行HSBCは2023年、香港でビットコインおよびイーサリアムの先物ETF(上場投資信託)への投資サービスを開始しました。
香港の銀行としては初めて、個人顧客向けに仮想通貨関連ETFの取引を提供する事例となりました。
香港では現在、規制当局による仮想通貨取引所向けのライセンス制度整備が進むなか、銀行をはじめとする伝統的な金融機関による仮想通貨サービスの展開が広がりを見せています。
米FRBのガイダンス撤回で仮想通貨サービス拡大へ
米国では2025年4月、米連邦準備制度理事会(FRB)が銀行による仮想通貨関連業務を制限していたガイダンスを撤回しました。この決定により米国の大手銀行も仮想通貨サービスに参入しやすくなったとの指摘があります。
米大手銀行のJPモルガン・チェースは、仮想通貨ETFを担保とした融資サービス導入の準備を進めていると報じられました。
専門家は「規制環境の整備が進むことで、伝統的な金融機関による市場参入が加速し、これまでCoinbase(コインベース)のような仮想通貨取引所が担っていた領域をを銀行が取り込み始める可能性が高まっている」と指摘しています。
今回のようなスタンダード・チャータード銀行を含む大手金融機関の参入は、グローバルな仮想通貨市場の信頼性を高め、今後の資金流入を後押しする要因になると期待されています。
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Source:スタンダード・チャータード銀行公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用





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