
テキサス州、ビットコイン基金の恒久保護を法制化
テキサス州のグレッグ・アボット知事は2025年6月21日、ビットコイン(BTC)を恒久的な州の準備基金として保護する「準備金保護法案(HB-4488)」に署名しました。
この法律により、対象となるビットコイン準備金などは、州の一般会計に編入されたり解散されたりすることなく保護されることになります。また、この措置により、2025年に予定されていた自動解消の対象からも除外されます。
一方、ビットコイン準備金設立法案(SB-21)については、記事執筆時点で署名は行われていませんが、州法の規定により、22日までに署名もしくは拒否権の行使がなければ、自動的に法律として成立する見込みとなっています。
テキサス州のビットコイン準備金法案
テキサス州で進む仮想通貨保有計画
ビットコインを州の恒久基金として法的に保護
HB-4488(準備金保護法案)は、テキサス州議会で5月末に可決された法案です。
同法は、州の特定基金が一定期間後に自動的に消滅して一般財源に取り込まれる事態を防ぐため、これらの基金を恒久的に存続させることを目的としています。
今回アボット知事が署名したことで、ビットコイン準備金が将来的に設立された場合でも、州の一般収入には繰り入れられず、恒久基金として法的保護が保証されることになりました。
HB-4488は、ビットコイン準備金に加え、テキサス先端原子力開発基金や湾岸保護勘定なども保護対象に含めており、各基金がその設立根拠法に基づき州会計内外に個別に設置されることを規定しています。
BTC準備金法案、知事署名なしで成立の可能性
一方、現在知事署名待ちのSB-21(ビットコイン準備金設立法案)は、州政府が実際にビットコインへの投資を行い「テキサス戦略的ビットコイン準備金」を創設するための法案です。
SB-21法案は2月に共和党のシュベルトナー上院議員によって提出され、3月に上院で全会一致可決、5月には下院本会議でも101対42の賛成多数で通過しています。
アボット知事は以前より「テキサス州をブロックチェーン・仮想通貨の世界一の拠点にする」と公言し、法案提出時にも自身のX(旧Twitter)で関心を示していました。
こうした経緯からSB-21への署名は確実視されていますが、知事が6月22日までに署名・拒否の意思を示さなかった場合でも、州法により自動成立する見込みとなっています。
SB-21が正式に成立すれば、ニューハンプシャー州に続き、テキサス州はビットコインを州の公的準備資産として保有できる全米で2番目の州となります。
アボット知事による今回のHB-4488署名は、このビットコイン準備基金を州の恒久的な財政資産として守る枠組みをひと足先に用意した形であり、テキサス州当局の仮想通貨に対する前向きな姿勢を示す動きと見られています。
押収仮想通貨活用の準備法案が可決
米国各州で拡大するビットコイン導入政策
テキサス州に限らず、ビットコイン準備金の創設を検討・推進する動きは2025年に入り全米各州で広がっています。一方で、各州の対応は明暗が分かれています。
全米初、州政府のBTC投資を法制化
ニューハンプシャー州では5月、共和党のケリー・アヨット知事が州の公的資金の一部をビットコインなどに投資できる法案(HB302)に署名し、州政府によるビットコイン準備金の法制化が実現しました。
同法は可決から60日後の7月初旬に施行される予定で、ニューハンプシャー州はビットコインを正式に州準備資産として保有できる初の州となります。
アリゾナなど複数州で法案不成立
これに続く形でアリゾナ州議会もビットコイン準備基金関連法案(SB-1025)を4月末に可決しましたが、民主党のケイティ・ホッブズ知事が5月初旬に拒否権を行使し成立を阻止しました。
ホッブズ知事は拒否の理由について「退職年金基金は、実績のない資産で試験的な運用を行う場ではない」と述べており、仮想通貨への投資に対するリスクを理由に挙げています。
また、フロリダ州でも州政府資金の一部をビットコインに投資する法案(下院法案HB-487および上院法案SB-550)が今会期に審議されましたが、最終日の5月2日までに可決に至らず「審議終了・取り下げ」と記録され、事実上の無期限延期となりました。
さらにモンタナ州でも仮想通貨の価格変動リスクを理由に州レベルのデジタル資産準備基金構想が見送られるなど、複数の州で類似法案が行き詰まりました。
仮想通貨業界がビットコイン備蓄を支持
このように公的資金によるビットコイン投資には慎重な声も多い一方、仮想通貨業界からは導入を支持する声が上がっています。
米大手取引所Gemini(ジェミニ)の共同創業者キャメロン・ウィンクルボス氏は「国家の安全保障や競争力を維持するためにもビットコインの備蓄は不可欠だ」と強調しています。
また政策ウォッチャーの「Bitcoin Laws」が集計したデータによると、2025年5月末時点で全米26州で合計47本のビットコイン準備金関連法案が提出されており、連邦レベルでも13本が審議中と報告されています。
ビットコインを政府資産として保有するアイデアは既に一部州で現実化しつつありますが、一方で慎重姿勢や反対も根強く、今後も州ごとに対応が分かれると見られています。
仮想通貨先進国である米国では、州政府レベルでの取り組みが進んでおり、テキサス州のビットコイン準備金保護法成立とSB-21の動向も含め、各州の仮想通貨政策の動向に国内外の注目が集まっています。
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Source:テキサス州議会サイト
サムネイル:AIによる生成画像




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