米SEC、証券トークン化の規則緩和を検討。免除制度の可能性にも言及

DLTによる証券発行に「条件付き免除」検討

米証券取引委員会(SEC)のヘスター・パース(Hester Peirce)委員は、暗号資産(仮想通貨)規制の見直しの一環として、伝統的な証券のトークン化をより自由に行えるよう規則変更を検討していると述べた。5月8日のスピーチでパース委員が表明した。

パース委員はスピーチの中で、SECの暗号資産タスクフォースが2月に実施したパブリックコメント(意見募集)を踏まえ、分散型台帳技術(DLT)を用いて証券の発行・取引・決済を可能にする「条件付き免除命令」を検討していると述べた。

トークン化の民間による取り組みを後押しするにあたり、パース委員は他国で導入されている「規制サンドボックス」制度に着目したという。

このような制度では、企業が制御された環境下で技術のテストを行い、既存の法規制が必ずしも適用されない中で迅速に市場参入できる仕組みが整えられている。多くの場合、テスト対象の技術が誕生する以前に制定された規則に準拠する必要がないため、イノベーションに適した柔軟な規制対応が可能になる。

パース委員は、これらのサンドボックスが企業に試験的な活動の場を提供するだけでなく、規制当局が既存ルールを見直し、トークン化された証券取引の拡大に向けたルール整備を行う際の参考にもなると述べた。

なお、免除対象の企業には、詐欺防止措置、適切な開示義務、財務的健全性の維持などが求められる。

パース委員は「検討中の免除は条件付きであり、詐欺や市場操作を防ぐための健全性基準を企業は順守しなければならない」と強調した。

加えて、プラットフォームに関しては、製品・サービス・運営・利益相反・リスク(スマートコントラクトリスクを含む)に関する重要情報の開示、記録保持・報告義務の履行、SECによる監視・検査への対応、十分な資金の確保などの要件が課される可能性があるとパース委員は説明。

また、リスクの開示義務や運営の透明性の確保、投資家保護のための取引量上限設定なども免除の条件に含まれる見込みだ。

ちなみにこれら免除の概略は現在検討中であるため、市場参加者やその他の利害関係者、自国で規制サンドボックス枠組みの設計・実施に携わった人からのフィードバックを歓迎するとパース委員は述べている。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権以降、SECは暗号資産規制の方針を転換。暗号資産政策の見直しを目的としたタスクフォースを設立した。

SECの新委員長であるポール・アトキンス(Paul Atkins)氏は4月25日、これまでの数年間における規制の不透明さが暗号資産分野のイノベーションを抑制してきたと指摘。「この技術に取り組む市場参加者には、明確な規制ルールが必要」との姿勢を示している。

参考:スピーチ
画像:Reuters

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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