マイニングの聖地「パラグアイ」に逆風|複数の理由で事業者撤退の動き
電気代値上げと違法マイニングの横行
ビットコイン(BTC)マイニングの聖地とも呼ばれたパラグアイで、業界の先行きに不安の声が上がっていることがスペイン語のニュースサイト「ABC Color」によって2024年8月24日に報告されました。
パラグアイ国営電力会社(ANDE)は今年6月下旬、大口電力消費者向けの料金を9%から16%引き上げると発表しました。この措置で、多くのマイニング事業者が収益悪化に直面し、事業縮小や撤退を検討せざるを得なくなっています。
パラグアイフィンテック協会のフェルナンド・アリオーラ会長は、以下のような警告を発しています。
このままでは、パラグアイは仮想通貨マイニングの世界で主要な地位から転落し、存在感のない国になってしまいます。
一方で、電気代の上昇を背景に、電力泥棒によるマイニングが急増しています。当局の報告によると、これらの不正行為による損失は年間約90億円にも達するとのことで、今年に入ってからすでに1万台以上のマイニング機器が押収されているようです。
マイニング業界の苦境と経済への影響
パラグアイには、Penguin、Muiden、Bitfarmasといった大手マイニング企業が進出し、多額の投資と雇用を生み出してきました。しかし、状況の変化を受け、これらの企業も事業戦略の見直しを迫られています。
例えば、Penguin Infrastructureは以下のような対応を取っています。
- ブラジルで400MWの電力確保のための投資を実施
- パラグアイでの事業規模縮小を検討中
こうした動きは、パラグアイ経済に少なからぬ影響を与えそうです。外国投資の減少や雇用機会の喪失が現実味を帯びてきました。
パラグアイ政府の対応と業界の行方
パラグアイ政府は、電力インフラへの過度な負担を減らすため、以下のような対策を講じています。
- 違法マイニングの取り締まり強化
- 電力供給の安定化に向けた取り組みの推進
これらの措置がマイニング業界に与える影響は大きく、パラグアイがマイニング天国としての地位を失う可能性が高まっています。
豊富な水力発電を背景に発展してきたパラグアイのマイニング産業ですが、電気代の上昇と不正行為の蔓延により、その将来は不透明です。政府の規制強化と業界の対応、そして新たなビジネスモデルの模索など、今後の展開に目が離せません。マイニング業界の変容が、パラグアイの経済にどんな影響を及ぼすのか、引き続き注目が必要であると考えられます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.86円)
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Souce:ABC Color報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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