ステーブルコインPYUSD「ソラナ展開で急成長」USDTの王座は揺るがず
2024年8月11日現在、仮想通貨市場において、ステーブルコインの覇権争いが新たな局面を迎えています。PayPal USD(PYUSD)が2024年5月29日のソラナ展開以来、時価総額を150%増加させ6億8400万ドルに到達する一方、業界最大手のTether USD(USDT)は1150億ドルを突破し、その地位を強固なものとしています。
USDTは仮想通貨取引に留まらず、幅広い取引やユースケースで「デジタルドルの選択肢」として採用が増加しています。特に2024年に入ってからの新興国での利用拡大が顕著で、通貨切り下げに対処するために、従来の貯蓄口座や当座預金口座の代替としてUSDTの利用が急増しているとの報告があります。
一方、後発のPYUSDは、2024年5月末のソラナへの展開を契機に急速な成長を遂げています。2024年8月時点でのPYUSDの使用状況は、ソラナとイーサリアムでほぼ均等に分散されており、それぞれ49.51%と50.49%を占めています。
ソラナのDeFiエコシステムにおけるPYUSDの躍進は、Kaminoなどのアプリケーションで2024年6月から7月にかけて実施されたインセンティブキャンペーンと関連している可能性があります。2024年8月現在、ソラナベースのマネーマーケットでは、PYUSDが担保として供給される際の年間利回り(APY)が最も高く、借入金利が最も低い状況となっています。
しかし、PYUSDの成長は目覚ましいものの、2024年8月時点でのソラナのステーブルコイン市場全体では依然として後塵を拝しています。市場価値のシェアを見ると、USDCが70.5%、USDTが20%を占める中、PYUSDは3位で約9%にとどまっています。
PYUSDの2024年5月以降の急成長は、ステーブルコイン市場に新たな競争をもたらしています。一方で、USDTの強固な地位は、特に2024年前半の新興国市場での採用拡大により、さらに強化されつつあります。
2024年後半に向けて、各ステーブルコインがどのような戦略で市場シェアを獲得していくのか、また、2024年に予定されている各国の規制環境の変化がこの競争にどのような影響を与えるのか、業界関係者の注目が集まっています。
ステーブルコインは、仮想通貨市場の安定性と流動性を支える重要な要素です。2024年に入ってからのPYUSDのような新興勢力の台頭は、市場に新たな選択肢をもたらすと同時に、既存の大手にもさらなるイノベーションを促す可能性があります。
2024年後半から2025年にかけて、仮想通貨市場の発展とグローバル金融システムへの統合が一層進むと予想される中、ステーブルコイン間の競争は、デジタル経済の未来を占う重要な指標となりそうです。この競争の行方が、仮想通貨エコシステム全体の発展にどのような影響を与えるのか、今後も注視が必要です。
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