グレイスケールのファイルコイン(FIL)投資信託、SEC登録申請を取り下げ
FILG登録申請の取り下げをSECへ申請
大手暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が、同社が運用するファイルコイン(FIL)の投資信託商品「グレイスケールファイルコイントラスト(Grayscale Filecoin Trust:FILG)」について、登録申請の取り下げを米証券取引委員会(SEC)に申請したと6月9日発表した。
発表の中で、グレイスケールはファイルコインが証券ではないと引き続き考えている姿勢は崩していないが、ファイルコインを証券だと指摘するSECからの度重なる登録申請の取り下げ要求に対し、今回応じる形となった。
グレイスケールは4月にSECに対し、1934年証券取引法第12条に基づいて「グレイスケールファイルコイントラスト」の登録申請(フォーム10-K)を行ったという。
しかしグレイスケールは、SECから「ファイルコインは連邦証券法に基づく証券の定義を満たしているため、この投資信託は1940年投資会社法に基づく投資会社の定義を満たしていると思われる」という見解を示す書簡を5月16日に受け取ったとのことであった。
またSECはグレースケールに対し、ファイルコインを有価証券だと認識しているため、登録申請を即座に取り下げるよう要請したという。
なおSECは6月5日、バイナンス提訴にて連邦地裁に提出した書類の中で、ファイルコインを証券として名指ししている。その後のグレイスケールとの書面によるやり取りで、SECは同社に対して「グレイスケールファイルコイントラスト」の登録申請の撤回を求める要求を再度示したという。
これを受けグレイスケールは6月6日、ファイルコインが有価証券に該当しないしないことをハウィー判例法(Howey case law)の分析を通して説明し、反論したとのこと。またその中で、グレイスケールはファイルコインが証券ではないと引き続き考えていると主張したと伝えている。
なおハウィー判例法は1946年に起きたSEC対W. J. Howey社事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めたもの。後年「ハウィーテスト(Howey test)」と呼ばれるようになった。「ハウィーテスト」とは、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストである。
ファイルコインについて
「ファイルコイン(Filecoin)」は、2020年にプロトコルラボ(Protocol Labs)のフアン・ベネト(Juan Benet)氏がローンチした、分散型ストレージネットワークだ。「IPFS(InterPlanetary File System)」と呼ばれる分散型ファイルストレージネットワークを利用して、ユーザー同士でストレージの貸し借りを行うことができる。
FILはこのシステムを利用する際に使用されるトークンだ。
なお2017年8月にはICOを実施しており、約282億円の資金調達に成功している。
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参考:グレイスケール
デザイン:一本寿和
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参照元:ニュース – あたらしい経済